ある艦娘のお話

いつかいたかもしれないある艦娘のお話です。続きhttp://togetter.com/li/666955
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Any / エニー @Any512

私たちが帰投すると、鎮守府がありませんでした。私たちは深海棲艦が許せませんでした。もう提督はいません。来る日も来る日も深海棲艦をぶち殺しました。そのうち近くの海には深海棲艦はいなくなりました。いつの間にか仲間が増えました。コレデモウサミシクナイ

2014-05-12 22:54:18
Any / エニー @Any512

他の海域から深海棲艦がやって来ました。やつらは気持ち悪い肌の色をしていました。なんだかよくわからない言葉を喋っています。ああ気持ち悪い。

2014-05-12 22:59:24
Any / エニー @Any512

やつらを倒す度に仲間が増えました。提督のいない鎮守府はどんどん大きくなりました。皆を纏める旗艦は強くなくては行けません。どんどん近代化改修をしました。仲間はいくらでもいました。

2014-05-12 23:04:47
Any / エニー @Any512

そのうち鎮守府に収まりきらなくなったので、最初の艦隊から一人ずつ旗艦として他の海域に鎮守府を置くことにしました。南方海域、西方海域、北方海域、南西諸島海域。これでやつらの好きにはさせません。

2014-05-12 23:20:39
Any / エニー @Any512

長らく私たちは深海棲艦を撃退し、海の安全を守ってきました。海を汚す人間を殺し、深海棲艦を退け、邪魔な鉄の塊を沈め、仲間を増やしました。我が仲間たちよ、この繁栄が続きますように

2014-05-12 23:32:32
Any / エニー @Any512

どうやら、深海棲艦が私たちの真似事を始めたらしい。これまで遠方から艦隊を引き連れてやってくるのみでしたが、ある時鎮守府のようなものを作っているとの報告がありました。深海棲艦が力をつけて海の安全を脅かす事はあってはならない。私は艦隊を派遣して警戒に当たらせました。

2014-05-12 23:47:24
Any / エニー @Any512

驚いたことに、警戒任務で派遣した艦隊が撃退されました。深海棲艦もこれまで辛酸をなめさせられてきた分、精鋭をそろえてきたようです。私は南西諸島海域の旗艦に深海棲艦の拠点の攻撃を命じました。彼女であれば、程なく任務完了の報告が届くことでしょう。

2014-05-12 23:52:44
Any / エニー @Any512

南西諸島海域の旗艦が沈みました。私は深く深く悲しみました。遥か昔、私たちが私たちだけになった時以来の悲しみでした。涙が止まりませんでした。悲しい。悲しい。もう君に会えないなんて。どうか深海棲艦に生まれ変わる事がないように祈りました。やつらは必ず殺す。

2014-05-12 23:57:32
Any / エニー @Any512

北方海域の旗艦も私と同じように深く悲しみ、また深く怒りを感じていました。次は彼女に深海棲艦の主力殲滅を命じました。北方海域の迷路のような海域に誘い込み、寒さと疲労で憔悴したところを攻撃する作戦です。しかし、深海棲艦はあと一歩の所で必ず帰投します。彼女に苛立ちが募ります。

2014-05-13 00:17:39
Any / エニー @Any512

最終的に我慢比べに負けたのは、北方海域の旗艦でした。深海棲艦を深追いしてしまい、機を伺っていた奴等の集中砲火を浴びて沈みました。ああ、どうか深海棲艦にはうまれかわらないでおくれ。あれほど狡猾で残忍な生き物は他にいない。そんな物に生まれ変わりでもしたら、何て残酷な事だろうか。

2014-05-13 00:25:28
Any / エニー @Any512

涙も出尽くした私は、西方海域の旗艦を呼び出しました。あなたは強い。あの憎き深海棲艦どもを殺してくれるだろう事には疑いがありません。だからこそ惨たらしく、最も痛みのある方法で、やつらを殲滅して下さい。やつらの血で洗わなければこの憎しみは洗い流せない。

2014-05-13 00:32:08
Any / エニー @Any512

もう驚きはありません。西方海域の旗艦も沈みました。深海棲艦も何度もの艦隊決戦によって強くなっていたのです。私に新たな感情が芽生え、それは長らく感じていなかったものでした。私たちに安全な海はもうないのかもしれません。それは恐怖でした。

2014-05-13 00:37:22
Any / エニー @Any512

南方海域。それは私を守る最後の砦でした。南方海域の旗艦は、憎しみに燃え、血の涙を流し、目は赤くぎらついていました。手当たり次第に近代化改修を行いもはや彼女のみで艦隊に匹敵する力を持っていました。ああ憎い。憎い。憎い。憎い。言葉はもう通じません。

2014-05-13 00:49:31
Any / エニー @Any512

南方海域の旗艦は3日3晩絶え間なく続く深海棲艦の攻撃に耐え、戦い続けています。彼女の装甲は分厚い鋼鉄です。彼女の砲塔は地獄の窯です。私はとても今の彼女には敵いません。彼女が負けてしまうのであれば、私が勝てるはずもありません。私は深く絶望しました。

2014-05-13 01:06:37
Any / エニー @Any512

絶望して絶望して絶望して、その先でふと思いつきました。私を絶望させたやつらにも同じ思いをさせてやる。孤独を、殺意を、恐怖を、絶望を味あわせてやる。この形容できない最悪な気分を、仲間を殺したあいつらに味合わせてやる。私はある場所へと向かいました。きっと手薄でしょう、今ならば。

2014-05-13 01:39:11