- EarlyFallMale
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19世紀のイギリスを舞台にした、プリズムリバー姉妹の過去話。俺はこの時代の英国についての知識が皆無なので、考証について語るべき点は無いのだが、話の本筋に直接には関係しないディテールの配置と描写の絶妙な配分により、説明臭くなく話を盛り上げていると感じた。
2014-06-12 23:09:38もし仮に俺が同じテーマで書こうと思ったら、ディテールを詰めようと思うあまりくどくどしく説明を書き連ねてしまうだろうから、このバランスは上手いと素直に思う。それゆえ、全体のスピード感そのものも損なわれていない。ストレスなく読ませる。
2014-06-12 23:10:03物語はやはりどうしようもなく悲劇として収束していくのだが、前半でそれなりに幸せだった姉妹が運命の悪戯によって離れ離れになっていく悲哀は、史実に仮託して描かれた二つの点が結び合って線となった瞬間、さらに強く読者を揺さぶる。
2014-06-12 23:10:22ところで、あの終わり方では姉妹の『その後』がどうしても気になってしまうのだが、『その後』を語ろうとすると史実の範疇により深く足を踏み入れなければならないであろうことは想像に難くない。
2014-06-12 23:11:12そのため、下手をすると東方二次創作と歴史小説との微妙な兼ね合いで保たれていた作劇のバランスが崩れるのではないかという危うさも感じてしまう。故に、ああいった感じのラストが、二次創作と歴史小説の境界の探り方としてはギリギリだったのかな、とも思う
2014-06-12 23:11:40タイトルの通りプリズムリバー四姉妹の生前を記した小説。時代背景は日本が明治に突入し、大英帝国が世界を席巻していた1800年代。世界が大きく変化していく一方で、まるで幻想郷のようにそこだけは変わらずにあろうとした英国の小さな小さな一角が姉妹の暮らす『王国』である。
2014-11-04 02:23:58当時の英国は産業革命により蒸気機関が発達して、国としての輝かしい栄光とは反対に街は貧富の差が拡大し産業発展による黒煙に覆われ、重々しい空気に満ちていたのであろう。科学による光と、それにより生み出された闇が産む非科学が混在する国でもあった。そこでは魔の者達が自らの存亡の為暗躍する。
2014-11-04 02:29:48その闇とは対照的に、彼女達の生活はどこまでも暖かい陽に包まれ、明るく、何気ない日々が綴られていく。苦難が襲っても尚姉妹で支え合いながら、『同盟』を契り、小さな『王国』から一歩ずつ足を踏み出して世の中に迎合すべく幼いながらも奮闘する。その姿はとてもいじらしく、微笑ましい。
2014-11-04 02:35:34プリズムリバー三姉妹の出現した経緯を知っている以上、ラストの展開はおよそ想像に難くない。そこを如何にして魅せてくれるかは上から目線だとか彼を試すなどという下卑た発想ではなく、ただ純粋に楽しみであった。その期待は、しかしながら遥かに越えてくれたのである。
2014-11-04 02:40:35まずは姉妹それぞれのキャラクター付けが良かった。実在した姉妹をオマージュしたとはいえ、原作のプリズムリバー像に囚われず、そこには彼の『プリズムリバー姉妹』が生きていた。特に個人的には姉妹の中でも一番好きなルナサがこれだけ違和感無く魂を宿して動いている事が何よりも嬉しかった。
2014-11-04 02:44:49元々私は史実書を読む事が好きなので、フィクションに実在の歴史、情勢を絡ませながら主軸の話が進んでいくという流れも面白かった。しかしこれは作者の綿密な歴史考察があったからこそである。歴史小説は中途半端な知識や心構えでは何処かしらの白々しさが生まれ、ともすれば自己満足にしかならない。
2014-11-04 02:49:40この考察については、先程も触れたが姉妹のモデルになった実在のミットフォード姉妹や、その周辺の人物へのリスペクトからしても彼の己の作品への妥協の無さと元ネタに対する真摯さ、真面目さが見て取れる。これにはただただ感心するばかりである。
2014-11-04 02:55:36事実、読了後後書きに記載されていた参考文献の「ミットフォード家の娘たち」を私は読んでみたいと思えたし、今後何かしらでその名を見た時に私はちょっとした優越感を覚えるに違いない。知的好奇心を擽られる悦びはそれだけでこの作品に出会えて良かったと思わせるものである。
2014-11-04 02:58:05惜しむらくは、中盤までは姉妹達をはじめとした登場人物や光景の描写がしっかりとされていたのにクライマックスが少し弱かった。否、人外の及ぼすそれは人間にとってはそれほど呆気ないものなのなのだと捉えればあのあっさりとした終わり方はそれはそれで効果的だったのかもしれないが、惜しいな、と。
2014-11-04 03:02:52ただそこに関しては後書きにて彼本人が認めているようなので、ならば是非いつかクライマックスと後日譚的なものを加筆修正して『完全版Sister Prismriver』が出てくれたらすごく嬉しいし、読み応えがありそうだなぁとお姉さんは思いました、まる。
2014-11-04 03:05:18それを差し引いてもこの作品はプリズムリバー姉妹の在り方のひとつの可能性として十分に評価できるものである。文体も読みやすく、時折詩的な表現に作者の美意識が映りこんでいて、とても“らしい”。読み終えて私はすぐに紅楼夢の新刊を昨日の荷物から引っ張り出したのだった。つまりはそういう事。
2014-11-04 03:10:23はつさんのSister Prismriver良かったんですよ。レミリアと紫の大物感とか、あの西洋と日本の絡め方とかさすがという感じでした。
2015-02-26 22:20:11サークル「hatuburg」の「Sister Prismriver」読了。十九世紀イギリスに実在した男爵家の姉妹をモデルとしたプリズムリバー四姉妹のお話。そこをそう繋げるかあ、と思わず感嘆。もっと語ってほしい所もありましたが、それも含めてよい作品。(続く)
2015-05-31 09:17:59はつさんのプリバのやつ読んだんですよ。まとめると三点。 ・プリバ姉妹がかわいい。 ・レミリアvs紫最高か。 ・ラストの欲望にぎらついた紫さんたまらん。
2016-05-19 21:02:35