選ばれし者喫茶

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U @ebleco

「選ばれし者喫茶でーす。よろしくお願いしまーす」 「選ばれし者喫茶」 「如何ですかー?」 「具体的にどういう店なんですか?」 「……ほう、具体的に訊いて来るとは、中々いいセンスをしている」 「何か始まった」 「……っ!? まさか、お前『今のが聞こえて居た』のか!?」 「ええ!?」

2014-05-25 16:22:30
U @ebleco

「選ばれし者喫茶でーす。よろしくお願いしまーす」 「はぁ」 「如何ですかー?」 「具体的にどういう店なんですか?」 「……っ!? まさか、お前『俺が見えている』のか!?」 「ええっ!?」 「馬鹿な! 考えられん! 未覚醒のただの人間が『店内』に入りもせずに我々を認識するなど!!」

2014-05-25 16:26:43
U @ebleco

「いらっしゃいませ、ようこそ、選ばれし者喫茶へ」 「結局ついてきてしまった」 「……あら、珍しい。人間のお客様なんて、何年ぶりかしら」 「あ、やっぱ店内もこれで行くんだ」 「人間のお客様に出せるコーヒーなんて、あったかしら」 「もう何なんだよこの店」 「はい、メニュー」 「はぁ」

2014-05-25 16:35:58
U @ebleco

「じゃあ、このコーヒーを、ひとつ。うわ、単価高いなこの店」 「はいはい、コーヒーね。かしこまり……待って、あなた、今、『何の説明も無しにそのメニューを読めた』って言うの?」 「あ、普通は読めない奴だったんだこれ」 「あなた、何者なの?」 「もう俺が知りたいよ。何者なんだよ俺は」

2014-05-25 16:42:11
U @ebleco

「ご注文のコーヒーよ……認めざるを得ないようね。あなたも、この『選ばれし者喫茶』へ入れてしまったのだから」 「はぁ」 「持って行きなさい。この店の『許可証』よ」 「ポイントカードだよね」 「刻まれた『縁』は、あなたをこの店に再び導くわ」 「この『選ばれし者セット』って何なんだよ」

2014-05-25 16:55:58
U @ebleco

「お会計860円でーす」 「クソ高ぇ」 「選ばれし者喫茶の『許可証』はお持ちですか?」 「さっき貰ったわ」 「本日は烙印1つになりまーす」 「500円ごとに烙印押される」 「では、またのご来店をお待ちしております……来れるものならな」 「あ、クッソ今ちょっと楽しいと思っちゃった」

2014-05-25 17:18:49
U @ebleco

「いらっしゃいませ。ようこそ、選ばれし者喫茶へ」 「うわ今日の店員すげぇ格好だな」 「こちらのお席にどうぞー」 「あれ、今日はあの人居ないの? ほら、眼鏡掛けた背の高い」 「ああ、主様ですか」 「主様ときたか」 「主様のシフトは月木なんですよー」 「あいつもバイトなんじゃねぇか」

2014-05-25 17:27:02
U @ebleco

「いらっしゃいませ。ようこそ、選ばれし者喫茶へ。……あら、人間のお客様なんて何年ぶりかしら」 「それ毎回言ってるのか?」 「この店の時間では何年も経ってるのよ」 「だから何なんだよこの店は」 「むしろ、ただの人間が何度もこの店に来れる方がおかしいのよ」 「だから俺も何者なんだよ」

2014-05-25 17:42:22
U @ebleco

「お会計2870円でーす」 「絶対この店高い」 「選ばれし者喫茶の『許可証』はお持ちですかー?」 「はい」 「本日は烙印5つになりまーす」 「大分溜まったな」 「またのご来店を……選ばれし者、か。全く、物好きな人間も居たものだ」 「あ、ポイント溜まったらレジの接客態度変わったぞ」

2014-05-25 17:59:42
U @ebleco

「いらっしゃいませ。ようこそ、選ばれし者喫茶へ」 「ほら、『許可証』だ」 「……手慣れたものね」 「流石に何度も来れば、慣れるさ」 「何度会っても、不思議な人間ね。こっちよ、席に案内するわ」 「やれやれ」 「――馴染んでる!! 常連になってしまっている!! 何やってんだ俺!!」

2014-05-25 18:24:12