茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1251回「最初は、激烈だった」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月30日の連続ツイート。 本日は、けさ、コーヒーを飲みながら思い出していたこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1251回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、けさ、コーヒーを飲みながら思い出していたこと。

2014-05-30 06:40:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(1)JSバッハという人は、マジメだと思われているけど、案外愉快な人だったと思う。ワイン好きだったらしいし、決闘もしたし、女子禁制の教会のコーラスにガールフレンドをこっそり入れたりした。そのバッハの作品の中でも、もっとも好きなものの一つが「コーヒーカンタータ」。

2014-05-30 06:41:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(2)コーヒーカンタータ(この演奏 youtube.com/watch?v=YC5Kpm… はなかなか面白い)は、バッハが1732年から1735年くらいに作曲したと言われている曲。コーヒーに夢中になっている女の子に対して、父親が、「そんなにコーヒーばかり飲むな!」と言う。

2014-05-30 06:42:59
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茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(3)すると、女の子が、「だって、キスよりも、コーヒーの方がいいんですもの」みたいなことを言う。言うこと聞かないで、コーヒーに夢中になっている女の子に対して、父親は、「そんなこと言っていると、お嫁に行けないぞ。旦那さん探してあげないぞ」とか言って脅す。

2014-05-30 06:44:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(4)女の子は、「旦那さんはほしい!」と言って、父親に、コーヒーを飲むのやめると約束する。しかし、最後に、彼女は、「旦那さんが来たら、コーヒー飲ませてくれるように頼むわ」なんて言う。結局コーヒーが好きなのだ。この下らない内容に、JSバッハは凄い曲つけちゃんだから神だ。

2014-05-30 06:45:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(5)インドネシアからオランダへのコーヒーの輸入が本格的に始まったのは1711年だという。コーヒーカンタータが作曲されたのは、ちょうどヨーロッパがコーヒーという新しい飲み物に夢中になっていた時で、今でも私たちはコーヒー好きだけと、当時はゲキレツだったのだと思う。

2014-05-30 06:47:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(6)何でも、最初は激烈だというのは、誤差信号を表す脳のドーパミン系の動作を考えても頷けることだ。ファミコンも、最初に登場した時は激烈だったことを覚えている。街を歩いていても、マリオの電子音が聞こえると「おっ」と人々が振り返ったし、コントローラ操作しながら身体が傾いてた。

2014-05-30 06:49:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(7)ビートルズが登場した当時は、記録映像で見ると、女の子たち、マジで悲鳴を上げて失神していた。悲鳴を上げる、というのは、ビートルズが不良バンドだと主張したい人たちによくやり玉に上げられていたが、そうではなくて、本当に新しいものを見た時の人々の自然な反応なのだろう。

2014-05-30 06:50:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(8)映画『第9地区』には、ヨハネスブルク上空に巨大UFOが浮かんでいるのが当たり前になってしまった「後」のことが描かれているが、最初は「ウッソー、UFO!」みたいな激烈な反応を引き起こしたものも、そのうち人間は慣れてしまって、あくびするようになる。歴史はそういうもの。

2014-05-30 06:52:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

さげ(9)新しいものが登場した時は、激烈だったんだろうなと時折思い起こしてみるのはいいことだし、これからも「うっそー!」とか、「きゃあ!」と悲鳴を上げるような新しいものが、人類の歴史に出てほしいと思うけど、今朝はとりあえずコーヒーカンタータ聞いてコーヒーをお祝いすることにしよう。

2014-05-30 06:53:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1251回「最初は、激烈だった」でした。

2014-05-30 06:53:29