- mabo_to_fu
- 826
- 0
- 0
- 0
「私が何者か、ですか?」困ったような顔で、三日月が問い返す。 「何について答えたら良いんです?」 「幾つかある。貴女は元々深海棲艦だった…と言うのはわざわざ聞くまでもないけど、その前があったりするのかも知りたいの。嫌じゃないならね。」 初めに質問した叢雲が言う。 #NW鎮守府
2014-05-30 01:12:57三日月は今度は少し眉根を寄せて言った。 「しっかり覚えている訳ではないんです。大きな波に飲まれた事ぐらいしか。」 ふーん、と叢雲じゃ呟く。 「深海棲艦の時の記憶も殆どありません。覚えているのは最後に叢雲さんと戦ったことだけですね。」 #NW鎮守府
2014-05-30 01:13:49「そう。…じゃ、嫌でなければもう少し別のこと聞きたいのだけど」 「構いませんよ?」 コップに注がれた麦茶に口をつけながら、三日月が言った。 #NW鎮守府
2014-05-30 01:14:24叢雲からすると、三日月のどことなく困ったような表情はなんとも解り難いのだった。そのせいか、叢雲は一々嫌では無いかと聞いてしまう。 それに、今からする質問は叢雲自身にも関わりのある話であり、実は非常に重大かもしれない話でもあった。 #NW鎮守府
2014-05-30 01:14:50「じゃあ、『今』の『戦い中』の貴女について聞きたいわ。」 「あ、なるほど」 三日月は合点が行った、と言うような表情になった。 「本来艤装に主導されるはずの素体意識の覚醒について…なんて変な言い方になりますけど。私は叢雲さんと同じです。」 #NW鎮守府
2014-05-30 01:15:18言葉を一旦切り、コップの中身を一口飲んで三日月は続ける。 「夕張さんなんかとは違います。戦闘中にあらゆる判断をしているのはこの三日月自身です。艤装は…頭のなかに何かイメージを出してくるだけです。」 「イメージ?」 #NW鎮守府
2014-05-30 01:15:39「例えば…単装砲の残弾限界が近ければ『単装砲のトリガーを引いても弾が出ない』みたいなイメージが頭に浮かぶんです。」 叢雲は唸ってまた黙りこむ。 「後は視界補佐や各種機能や情報の表示…これは艤装の仕様通りです。って、どうしたんですか。」 #NW鎮守府
2014-05-30 01:15:59難しい顔のまま叢雲は返す。 「私の場合はね、視界内のメッセージが出てきたの。『私も叢雲』って。」 「色々パターンがあるんですかね…?」 「かもね。」 #NW鎮守府
2014-05-30 01:16:16「この状態になった心当たりって、叢雲さんにはあるんです?」 「無いわ。」 叢雲は即答する。実際、最初からそうであって、まるで理由に関する心当たりはなかった。 #NW鎮守府
2014-05-30 01:16:56「…と、なると何が原因なんでしょうね。」 「さあ…とりあえず聞きたかったのコレぐらいよ、気になってた事も判ったし。」 「はは、じゃあ少しはお仕事もお願いしますよ?」 「それはまた別の話ねー」 #NW鎮守府
2014-05-30 01:17:15