ある女医の青春

別れよう、そう決断した彼女。その後の猛勉で医師になって勤務医を経た後に開業。地域医療に尽くすのだがそこに…
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土曜日 @doyoubi
#twnovel 「仕事で幸福をつかむ女たち」なる本の広告を見つけてちょっと考え込んでしまった。国文科で源氏物語を専攻しているのだけど、こんなの一生の仕事にならないよなあ。作家・評論家になれるような才能もないし進路を過ったのかも。もっと大問題は彼。このままでは出口はないのだ。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 彼とは2年になる。最初は遊びのつもりだったのにあの優しさが私を本気にしてしまった。私を気遣ってくれてあの時も上手に導いてくれる。彼の胸の中で彼の匂いに包まれて私は幸福。甘えたり拗ねたり泣いたりしてもいつも優しく微笑んでいる。彼に家庭さえ無ければもっと幸福なのに。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 最近、奥さんが気づいたみたいで彼、責められている。優しくて優柔不断だからその話を聞いてる私まで辛い。別れよう。愛しているからこそ別れる。優しいのはあなたの罪よ。その罪を私が引っ被ってあげる。そうだ、私は仕事に生きよう。猛勉強して医者になると私は決めた。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 彼に簡単な手紙を書いてアパートを引っ越し。彼はどう思うだろう、捜してくれるだろうかなどと考えつつ郵便局に住所移転/転送依頼、住民登録も変更。結局、彼とはそれっきり。あのままで時間が止まったのだ。一方、進路変更に関して親の説得。私の決意ぶりに親は屈服した。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 彼に簡単な手紙を書いてアパートを引っ越し。彼はどう思うだろう、捜してくれるだろうかなどと考えつつ郵便局に住所移転/転送依頼、住民登録も変更。結局、彼とはそれっきり。あのままで時間が止まったのだ。一方、進路変更に関して親の説得。私の決意ぶりに親は屈服した。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 医学部入試に向けて数学物理化学中心に猛勉開始。情より理、彼のことを忘れるためにも猛勉。数学物理の理論の世界の美しさに感動もした。恋愛と別れ、そして科学。私は人の何倍も豊かな青春を送っているのだと自分に言い聞かせた。受験期間だけという条件で援助してくれた親に感謝。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 努力の甲斐あって一発合格。その後のバイトしながらの医学勉強、国家試験。我ながらよくやったなあ。私からのあの悲しい別れがバネになったんだ。これは自分で選んだ道なんだ。誰のせいでもない、私が引き受けた人生だ。そして、彼との愛の時間は私の中で永遠に生き続けているのだ。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 大学病院から公立病院と勤務医を13年続けた。その間に経験と資金を蓄積して銀行融資も受けてクリニックを開業した。自分の力と裁量で地域の皆さんに接して貢献する、それが医者としての夢になっていたんだ。夢を実現して勤務医時代以上の多忙な日々。未婚のままだが充実している。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 言い寄ってくる男は何人もいたけど全て冷たく跳ね除けた。私の中の愛の氷塊を大切にしたいから。だが今、振り返るとあれは何だったのだろう。私は愛してるからこそ別れたのだろうか。自分の夢を実現したいから振り切ったのだろうか。真実はわからない。真実はその時々で違うのかも。
土曜日 @doyoubi
#twnovel 「先生、初診の患者さんです」「はい、どうぞ」。診察室に入って来たのは彼だった。一瞬驚いた彼はすぐに表情を崩して「やあ」と小さく声を上げた。私の愛の氷塊を大事にしよう、この患者さんは見知らぬ人だ。そう決めて私は「どうかしましたか」といつものように冷静に訊いた。

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