西河原公園90度滑り台物語

武蔵小杉最強伝説 @musakosu_saikyo

安威川の近くに171号線が走っていて、その近くに西河原公園というのがあるんです。その西河原公園の目玉に90度スベリ台と云うのがあり小学生の頃の僕は友達と自転車に乗ってよく滑りに行きました

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よく考えてみると90度スベリ台ってネーミングはおかしいんですが。小学生の頃の僕達は全くそのおかしさに気付かず来る日も来る日も90度スベリ台と言っていました。

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ある日、僕はクラスメイトの女の子から、こっそりと「90度スベリ台に連れていって」と頼まれました。その女の子はクラスでも目立たない子で病弱でよく学校を休んでいた子でした。僕とは新学期クラス替えがあった日、偶然席が隣になり。家も近所だったのでよくお話しをしたり下校したりしていました

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僕はその女の子から頼まれたので「うん、いいよ」と答えました。女の子の表情は今迄見たことが無いくらいに明るく。とても嬉しそうにうなづけました。その日の放課後さっそく家に自転車を取りに帰りその女の子の家に誘いに行きました

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その女の子は徒歩で行くもんだと思っていたようで自転車で来た僕に「わたし自転車に乗れないから行けないのかな…」と言いました。その女の子は病弱なので自転車に乗る練習が出来なかったらしいです。僕は90度スベリ台を早く滑りたかったので「僕の自転車のうしろに乗りなよ」と女の子に言いました

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その女の子は恐る恐る僕の自転車のうしろに乗り二人乗りで西河原公園まで行きました。僕の自転車は自慢じゃないが6段変速でした。 西河原公園に着くと僕はその女の子に「あれが90度スベリ台だよ。90度あるでしょ」とスベリ台を指差し言いました。

おれおわた @oreowata

90度すべり台 pic.twitter.com/sx8xKLXJY0

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僕とその女の子は90度スベリ台のてっぺんまで登った。その女の子は高さに怯えていた。僕は「滑るコツは勇気！先に滑るからついておいで」と声をかけ飛び出すようにスベリ台を一気に滑って降りた。スベリ台の下から上にいる恐怖でただ立ち尽くしているその女の子を見上げ「勇気！」と僕は声をかけた。

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その女の子は決心したらしく「勇気！」と云う声をあげ一気にスベリ台へと飛び出した。その女の子はスベリ台の下についてから暫くはその場で呆然としていた。僕はその女の子の方に駆け寄り「ほら」と手を差し伸べた。その女の子は僕の手を取り立ち上がりながら目をキラキラさせ「とても楽しい」と言った

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僕は「もう一度滑ろう」とその女の子を誘ったが「ううん、ちょっと胸がドキドキしているから一休みする。下で見ているから滑ってきて」と言った。僕はもう一度上まで行きジャンプするように一気にスベリ台を滑り降りた。ちょうどその女の子の前辺りに到着し「どうだった？」と立ち上がった。

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すると、その女の子は急に顔を赤らめ無言で僕の方に駆け寄り僕の股間を両手でおおい隠した。なんと半ズボンの脇から、おちんちんがポロリと出ていたのだ。その女の子は他の誰かに見られないように僕のおちんちんを手で隠してくれたのだ。僕も赤面し照れ笑いをしながらそっとおちんちんを閉まった。

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その日以降も僕とその女の子は放課後に西河原公園に自転車に二人乗りで行っていた。90度スベリ台を滑り終えると「おちんちん大丈夫？」とその女の子は冗談も言うようになってきた。クラスでは他の子と必要以上にはお喋りしない物静かのその女の子も僕と西河原公園に来ているときはよく話した。

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その女の子は病弱でよく学校を休むのだが、その時は家で本を読んでいるらしい。そして将来は作家になりたいとも。そういえば休み時間いつも本を読んでいた。「どんな本が好き？」と僕は尋ねたことがある「江戸川乱歩」とその女の子は答え「その中でも"算盤が恋を語る話"が好き」と言った。

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僕は「少年探偵団なら知ってるよ！怪人ニ十面相だよね！」と言うと、その女の子は「そう。貸してあげようか？江戸川乱歩。読んでみて」と言ったので「うん！」と僕は答えた。その日の帰り道その女の子は江戸川乱歩の短編集を貸してくれた。その中に"算盤が恋を語る話"は入っていた。

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だが、そんな日も長くは続かなかった。はじめて西河原公園に行った日から一月程たったある日の朝礼。担任の先生はその女の子が手術のため入院したことを告げた。そして長期欠席することも。僕はただただ呆然とした。放課後、その女の子の家に行ってみたが家には人がいなかった。次の日もその次の日も。

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僕は気になりつつも、いつもと同じ日常を過ごしていたある日、その女の子のお母さんが学校にやってきた。僕は職員室に呼ばれお母さんと会った。「もし良かったら病院にきてあの子とお話しくれないかな？」とお母さんは言った。お母さんが言うには、その女の子はいつも僕の事を楽しく話していたらしい。

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勿論、おちんちんが見えた話しも知っていた。いつもお母さんに笑いながら嬉しそうに話していたらしい。今まではそんな事は無かったらしい。だからその女の子に元気を出してもらう為、僕にお願いしにきたらしい。そして今かなり容態が悪く手術成功の確率20％と云うことも、その時お母さんから聞いた。

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僕はその女の子のお母さんと一緒に病院に行った。 その女の子は病室で眠っていた、体中に管が通っていた。鼻に入っている管は痛そうだな、なんて思いながら顔を見つめていると、ボロボロと涙が出てきた。辛そうな姿を見て悲しい気分になったのと、ずっと会えずにいた人に会えた嬉しい気分、半々の涙だ

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お母さんがその女の子に僕が来ていることを告げながら起こしてくれた。眠りから覚めたその女の子は僕の顔を見ると力無くニッコリと微笑み「ありがとう」と言った。話すのが辛そうだった。僕は精一杯明るい笑顔で学校であったことなどを話した。その女の子は頷いてくれたが笑顔は力無いものだった。

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病院を去る時に僕は 「夏には西河原公園にホタルが出るんだ。一緒にホタルを見に行こう」と言った。 その女の子は「うん。連れてってね」と言った。 そして、その女の子は僕にメモ用紙を渡した。メモ用紙には「124532222272」と書かれていた。恐らく暗号なんだろけど僕には解読不能だ。

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その後、その女の子は手術は成功したが術後の経過が思わしくなくアメリカの病院へと転院していった。ホタルは結局見れなかった。その女の子とも病院で会ったのが最後だった。 10何年か経ち僕は親元を離れるため部屋の片付けをしていたら江戸川乱歩の短編集が本棚から出てきた。

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その女の子に返すのを忘れていたらしい。当時の僕には難しくて挫折し、そのまま本棚へと置いていたのだ。何気に本を開き"算盤が恋を語る話"を読み始めた。この話しのあらすじは密かに想いを寄せる同じ職場の女子社員に算盤を使い仕事で使っている暗号を元に好きだと云う気持ちを伝えるというものだ。

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算盤には「124532222272」とはじかれ、その意味は「イトシキキミ」。 僕は10何年も経って、あの時、病院で貰った、その女の子のメッセージを解読出来た。随分と長い間、気付いてやれなくてゴメン。 でも「124532222272」と書かれたメモ用紙はいまだ僕の大切な宝物だ。

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それから、また何年か経ち、僕は東京で働き出すようになっていた。 その女の子は、その後、アメリカでの治療が上手くいきすっかり体も良くなって日本に帰国後、必死の努力のもと夢だった作家になったらしい。 僕は、その女の子の作品も勿論読ませてもらった。

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あの時、西河原公園の90度スベリ台で見た僕のおちんちんを忘れられないでいるらしい。作品には僕のおちんちんの事も出ていた。 その女の子の作家名は 「ペニス文学」 そう僕の初恋の人はペニス文学さんなのだ。 西河原公園90度スベリ台物語－完－