飴売り＠空想の街

黎沓 @Re_TnoiSa

空想の街、#見習い飴細工職人 は、ちょいとタグが長いので #飴売 を使おうと思います。文が短い時は前のを使うかもしれません。まだまだ街を知らないので、何処かでふらふら歩いています。急にお尋ねするかもしれません。その時はどうぞよろしくお願いいたします。

黎沓 @Re_TnoiSa

からころ屋台を引きずってようやく街の中心部らしいところへ来た。「はてさてどうしたものか…」と一息つく。飴売りは芥子色の甚兵衛に深緑の三角巾をしていた。「こんな格好で来るんじゃなかったな…」そう思いつつもこれが一番作業しやすいのだ。仕方ない。 #空想の街 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

屋台を隅に置いて街を眺める。風船が配られているのかあちらこちらで見かける。それにしては多すぎないか…?そう思いながら飴売りは風船型の飴細工を思い出していた。あれは熱いうちに均等に息を吹き込まなければならない。完成品からは想像できないほど難しい代物だ。 #空想の街 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

「よっと、どこやったかな」飴売りは風船を作るための道具を屋台から探し出した。「ん…?」「うさ耳姉妹…？」飴売りは屋台についている引き出しの、それも滅多に使わない一番奥の引き出しから見覚えのないメモを見つけた。 #空想の街 #仕立屋 #飴売 @naholograph

SAIKI @saiki_vc

受け取った風船はシンプルなものだった。とは言え可愛いもの好きとしては、アレンジしたいという欲に駆られる。早く店に帰ってこれを……と妄想を膨らませているところで見慣れない屋台を見付けた。「#飴売？」 #空想の街 #雑貨屋

黎沓 @Re_TnoiSa

「おっと」ほどけ落ちた三角巾を掴んで自分の手を眺める。「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ」飴売りの手にはたくさんの水ぶくれがあった。熱い飴を触って様々なものを形作るのだ。無理もない。 #空想の街 #飴売

SAIKI @saiki_vc

「もしかして、飴細工をされているのですか？」屋台の様子を見てそっと話し掛けてみた。色とりどりの飴細工が、きらきらと屋台に並んでいた。興味津々に覗き込む。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

ただ、屋台を引いて商売する職人にこんな手の人はいない。この飴売りも、かつては水ぶくれなんてない綺麗な手で飴に命を吹き込んでいた。「こんな手は6、7年ぶりだ」飴売りは少し笑って三角巾を結び直した。「さて、まずは情報収集だな」 #空想の街 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

「え？あっ、はい！そうです！」急に話しかけられたので素っ頓狂な声を出してしまった。「まだまだ修行中なんですけどね」と付け加えたずねる。「何かお気に召したものがありましたか？」 #空想の街 #雑貨屋 #飴売 @saiki_verse_s

SAIKI @saiki_vc

飴細工。綺麗で、可愛い。思わずにやけそうになるのを堪えながら、「このうさぎの飴がとても可愛らしくて、つい声を掛けてしまいました」いや、どの飴細工も私の目には輝いて見えるのだけれど。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

「可愛らしい」誰かにそういってもらうのは久しぶりだった。うさぎは飴細工の基本的な形で、だからこそ長くやってる分自信があるのだ。嬉しくて思わず声が弾んでしまう。「あの、よかったら、このうさぎ、もらってやってください！」 @saiki_verse_s #空想の街 #雑貨屋 #飴売

SAIKI @saiki_vc

私が気に入ったこのうさぎ、どうやら #飴売 さんからいただけるらしい。渡されて反射的に受け取った。じっくり見てもやっぱり可愛い。耳をぴんと立てているうさぎは今にも動き出して跳ね出しそうだ。「あ、えーとお代お代」財布を取り出す。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋

黎沓 @Re_TnoiSa

「あ、いや"今回は"結構ですので！」財布を出したお客の手を止める。こちらから押し付けたのにお代は受け取れない。「また、今度来た時に買ってください。」飴売りはそういって笑った。「明日には風船型のを売ろうと思ってるんです」 @saiki_verse_s #空想の街 #雑貨屋 #飴売

SAIKI @saiki_vc

思わぬご好意。素直に甘えさせていただくことにする。「風船の飴ですか」なんて素敵なのだろう！「じゃあ明日も来ます！あの、私の風船を飴細工で作っていただく、なんてことはできるのでしょうか？」明日にはこの風船も可愛らしくなる予定だ。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

風船を飾る…これは難題だ。飴売りは自分の技量を考え、断ろうと思った。「あの…」けれど目の前の瞳にそんなこと言えなかった。なにせこの街で初めてのお客さんだ。「あの、ぜひ、飾らせてください！」 @saiki_verse_s #空想の街 #雑貨屋 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

屋台をおいて時計台のそばに歩いた。「立派だなぁ」思わず飴売りの口からこぼれた時、風船を渡された。「氷涼祭ははじめてですか？」 #空想の街 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

「え、あぁ、はい。ヒョウリョウサイ、ですか…?」飴売りが尋ねると相手は親切に答えてくれた。ヒョウリョウサイ。漢字だと氷涼祭。死者が帰ってくるお祭りで、家に風船を飾るらしい。お礼を言って飴売りは風船を屋台へ持ち帰った。「あぁ、だからこんなにも風船があったのか」 #空想の街 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

ならば先ほどのお客さんは。飴売りは気づいた。とんでもないものを引き受けてしまったのではないか。死者をお迎えするための風船を飾るなど！ #空想の街 #飴売 #雑貨屋

SAIKI @saiki_vc

まさか無理を聞いてくれるとは。びっくりしながらも #飴売 さんにお礼を言う。これは明日が楽しみだ。気合いを入れて風船を仕上げなければ。「ではまた明日。もうすぐ夜になりますので、早めに帰った方が良いですよ」死者達が帰ってくる前に。 @Re_TnoiSa #空想の街 #雑貨屋

黎沓 @Re_TnoiSa

「ありがとうございます」と飴売りが言うとお客さんは嬉しそうに帰って行った。場所は決めなかったけれど、必ず明日何処かで会えるだろう。「また明日」その言葉が飴売りには嬉しくて「また明日、また明日」と何度も呟いた。 @saiki_verse_s #空想の街 #雑貨屋 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

暗くなってきて人通りが急に静かになった。先ほど「早く帰った方がいい」という言葉が蘇り飴売りを急かす。「あぁどうしよう」泊まるところがない。野宿でもすれば、と甘くみていた。よりによってこんな大切な時期に訪れてしまうなんて。 #空想の街 #孔雀荘 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

飴売りは比較的明るい方へ歩いた。運よく誰か泊めてくれないかな。せめて祭りのことをもう少し知ることができたなら。#仕立屋 の前に置かれた冊子を見つけた飴売りはそれを手に取った。「あおいとり…?」どうやらタウン誌らしい。 #空想の街 #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

タウン誌に #孔雀荘 という宿を見つけ飴売りは喜んだ。「ここなら、泊めてもらえるかもしれない…!」屋台に戻り、引きずりながら地図に書かれた場所へ向かう。南区。ここからそう遠くないはずだ。 #空想の街 #飴売 @ueto_rika

十浦　圭 @ueto_rika

やっとの思いで辿り着いて二茅姉に荷車を引き渡して、はあああ、と悟は大きく息を吐いた。「疲れたー」ぼやいて顔を上げて。「あれ？」さっきまでの自分と似た、屋台と人のシルエットを発見。「こんばんは！うちをご利用ですか？」　#空想の街　#飴売　#孔雀荘へようこそ @Re_TnoiSa

黎沓 @Re_TnoiSa

目的地のあたりに着いたとき、少年に声をかけられた。うち、という語を使う彼はきっと飴売りが探し求めていた人だろう。「えぇ、孔雀荘というのはこちらですか？できれば今晩泊めていただきたいのですが」飴売りは丁寧に尋ねた。 #空想の街 #孔雀荘へようこそ #飴売 @ueto_rika