という設定が降ってきたのでこの線でのんびりやってみるかな。外にお使いにいけば他のお店にも行けるし、絡むの無理ならこもってられるし。 *空想の街
2014-06-25 17:55:28執事っていうと洋館のイメージだけど、日本の小さな一戸建ての感じで、洋間二つに和室もひとつ。あとはリビングとキッチン。二階の洋間二つはメイドと執事の部屋。一階の和室は主人の部屋。家族扱いされていた。 *空想の街
2014-06-26 12:52:23南区の外れ(外郭沿い、西区寄り)にある小さな庭付き一戸建て。住んでいるのは、青年型機械(アンドロイド)の執事【矢車】と少女の外見だが中身は長命の化け猫であるメイド【李】。年に一回、帰ってくる主人を待って日々を過ごしている。 *空想の街
2014-06-26 23:10:50「もうすぐご主人様がお帰りになりますね」晴れた空を眩しそうに見上げて矢車は言った。外見は人間に模してあるとはいえ機械の瞳は光量を自動調整するから眩しいと感じることはないはずだが、年々人の仕草がうまくなる。李にはそれが面白い。彼は人よりも人らしくなっていく。 #空想の街 #待人館
2014-07-02 20:14:51空想の街、フライングしてます。リアルタイムでご主人が帰ってくるとこやるなら(実際にはずれるけど)、数日前からお迎えの準備する二人が書きたかったので。あと、うちのスマホの下書き機能を信用してないから、思い付いたら流すしかなくてwうるさかったらミュートかリムよろしくです。 #待人館
2014-07-02 21:19:10斯く言う己はと言えば、これもまた人に近くなっている気がする。李は庭に立つ矢車の元へ駆け寄った。メイド服はすっかり板について、ご主人が面白がったから癖になってしまった十二歳くらいの少女の姿も少しも違和感がなくなってしまった。 #空想の街 #待人館
2014-07-02 22:35:02#空想の街 、機械執事と化け猫メイドは #待人館 (まちびとやかた)にて展開します。街ができた頃亡くなった主人を毎年待っている、年を取らない従者たちです。
2014-07-03 20:29:25「おはようございます」仲良くなった小鳥さんたちの餌台にご飯を置きながら、矢車は挨拶した。小鳥さんたちは矢車の肩や頭にとまってその青銀の髪をくちばしで引っ張って遊ぶ。機械の体は痛みを感じないので、矢車はなすがままだ。「そなた、ちょっとマヌケじゃぞ?」 #待人館 #空想の街
2014-07-04 07:08:51「ワタリじゃな」李が空を見上げた。「そうですね。風船はここに」なにも持っていなかったはずの矢車の手にポワンと風船が二つ。「帯につけておきますよ?」「頼む」今日のために李が用意した浴衣は、何故か今時の裾の短いレースのついたものだった。「お似合いですよ」 #待人館 #空想の街
2014-07-04 12:23:36「そなた、口までうまくなっておるのう」ぶつぶつと呟きながら李も矢車の帯に風船をつける。「そういえば、つけるのは明日でいいんじゃないですか?」「いいのじゃ。どうせ扉のそばでうろうろするに決まっておるのじゃから」一年、待ったのだ。気分は遠足前の子供である。 #待人館 #空想の街
2014-07-04 12:28:26「準備は万端じゃ」李はくるくると動き回り、家中の掃除と花を飾る。矢車は料理と洗濯をして、時々李の金朱の髪についたほこりを払う。夜が来るまであと少し。李の尻尾がそわそわしている。 #待人館 #空想の街
2014-07-04 18:14:57「主様!」「ご主人様」視線の先には懐かしい笑顔。亡くなった時そのままの少し白髪の混じった髪を照れたようにかきあげて、彼は笑うと二人を抱き締めた。「会えて嬉しいよ」「我もじゃ」「私もです」七夕のように一年に一度の逢瀬。風船が三つ、じゃれあように風に揺れた。 #待人館 #空想の街
2014-07-05 07:42:47「主様、銀氷じゃ」「ああ、本当だね」居心地のよいリビングで、矢車はご主人と自分達のためにお茶を入れる。とっておきのチーズケーキはこの一年練習してきた自信作だ。ゆっくりとここから銀氷を眺めるのももう数十回になるが、毎年飽きることはない。 #空想の街 #待人館
2014-07-05 15:50:20李はメイドではあるが、むしろ猫が飼い主を慕うように主人を慕っている。猫の気質だから、大っぴらに甘えたりすねて見せたりする。最初からそうだから矢車にとってはそれはとても自然で見ていて嬉しくなる暖かさがある。それを見るのが矢車は好きだった。 #空想の街 #待人館
2014-07-05 16:01:41自分はと言えば、機械だから表情は豊かではないしそもそも感情プログラムも旧式で穴だらけのはずなのだが、やはり主人が手を伸ばして髪の毛をくしゃりとかき回してくれると、泣きたいような、恥ずかしいような、それでいてすごく嬉しい気持ちになるのだ。 #空想の街 #待人館
2014-07-05 20:27:45それもすべて、この人が自分を拾ってくれたからだと思うのだ。だから自分はここを守り、動けなくなるまでここでこの人を待つのだと矢車は心に決めたのだ。 #空想の街 #待人館
2014-07-05 20:30:44「おはよう」「主様、おはようなのじゃ」「おはようございます」三人でおはようを言って、笑いあう。ずっとしてきたように穏やかな朝が始まる。コーヒーとトーストはこの時期だけしか食卓にはのぼらない。矢車は食べないし、李は和食党だからだ。だからこそ、最高の逸品を。 #待人館 #空想の街
2014-07-06 10:38:01「時間だね」主人の言葉に矢車と李ははっとして顔を見合わせた。「そうですね」「主様、来年はもっと可愛い我をお見せするからの」「李はいつでも可愛いよ。矢車、李を頼む」「かしこまりました」「主様、我が矢車の面倒をみているのじゃぞ?」 #空想の街 #待人館
2014-07-06 20:00:04毎年変わらぬ別れの挨拶の後、三人は庭に出た。最初は、新しい生き方を見つけたらもう呼ばなくていいと言っていた主人も、もうそう言うことはない。「また来年」ふわりと風船が空に舞った。李と矢車は空を流れていく風船たちを旅立つ人を見送るように見つめていた。 #空想の街 #待人館
2014-07-06 20:05:08#待人館 、今回はご主人と離れたがらないせいで家にこもりっきりでした。次はご主人を連れて街を散策もいいかな、と思っています。涙雨の後、矢車は #喫茶馬頭琴 に行ったかも知れません。中の人的には、時系列やリアルタイムでの呼応を意識しすぎて手を出せなかったです。 #空想の街後書き
2014-07-07 12:22:44喫茶馬頭琴に行きたい、行くだろう、と呟いていたら、行った場面を書いていただけました!
「いらっしゃいませ矢車様。オイルですか?」 「はい。そろそろなくなるので」 「でしたら最近入荷したコチラはどうですか。『MR―232』です。純度の高い機械オイルに貝の眠りを混ぜたものです。今までのものより湿気に強い」 「それは良いですね」 #待人館 #喫茶馬頭琴 #空想の街
2014-07-07 12:40:15