140709_バングラデシュの製薬事情

tanaka hideki(@md_tanaka)さんのバングラデシュ製薬業界に関するつぶやきをまとめ
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国内政策とTRIPS協定の後押しにより薬代が安くなり、貧困層でも薬が買えるようになったバングラデシュ。新興国の医薬品問題として興味深い事例です。

世界一薬代が安い、バングラデシュ

tanaka hideki @md_tanaka

バングラデシュの薬代は世界一安いと言われている。LDCでありながら知的所有権の適用外にありなおかつ自国生産できているから。風邪薬一本20円で買える。抗生物質も100円程度で買えるものがある。このおかげで貧困層でも薬へのアクセスが可能になった。

2014-07-09 04:53:31
tanaka hideki @md_tanaka

独立したばかりのバングラデシュでは人口の1/3以上が結核や寄生虫その他の感染症を患っていた。薬を飲めば治るのに、外国企業の販売する薬は高くて庶民の手には届かなかった。

2014-07-09 04:57:31
tanaka hideki @md_tanaka

NGOが配布する結核の薬を子供達に食料を食べさせるため街で売ってしまう寡婦がいた。自分自身の病気が治らない限りまともな仕事にはつけない。でも、病気を治す前に目の前に腹をすかせた子供がいる。どうしようもない負の連鎖。NGOのワーカーは泣きながら彼女を説得。こんなのはもう昔の話。

2014-07-09 05:01:07

バングラデシュ製薬業界は国内企業寡占、トップシェアはSquare社

tanaka hideki @md_tanaka

バングラデシュの製薬業界は意外なことに国内企業によるマーケット独占状態にあり、なおかつ輸出までしている。中でもSquareはトップシェアを誇り、昨年度の売り上げ200億タカ(260億円)。Squareは創業当初四人の投資家によって始められたためこの名前がついた。ゲーム会社とは別。

2014-07-09 03:59:58
tanaka hideki @md_tanaka

Squareは1958年設立。バングラデシュの独立1971年までは町の薬売り程度の規模だった。主な商品はアユールヴェーダからヒントを得た整腸剤。独立前のバングラデシュの医薬品マーケットは外資企業が70%のマーケットシェアを持っていた。独立後、政府は国内企業の保護政策を打ち出す。

2014-07-09 04:08:02
tanaka hideki @md_tanaka

創業者Samson H Cowdhuryはバングラでは一代で財をなした立志伝中の人物として知られる。しかも人格者で彼を慕う人は非常に多かった。彼とスクエア躍進の最初のきっかけはジアウルラーマン政権時代。外国企業と提携してライセンス生産を始めたところ、政府系の病院が優先的に購入。

2014-07-09 04:14:12
tanaka hideki @md_tanaka

さらに1982年のエルシャド政権開始直後作られた、NDP-2医薬品統制法により、決定的な転機が訪れる。外国企業の製造販売に制限をかけ、地元企業に非常に有利な仕組みを作った。

2014-07-09 04:18:09
tanaka hideki @md_tanaka

因みに1982年の医薬統制法は当時の欧米外国企業から大きな反発があったが、戒厳令下で秘密裏に策定が行われ、ロビイ活動をやる猶予がなかったから奏功したらしい。民主主義政権だったら、ひっくりかえされたかもしれないくらいロックンロールな法律だった。

2014-07-09 04:40:45
tanaka hideki @md_tanaka

スクエアの創業者はエルシャド時代の躍進に当たり政治力も多いに活用した。彼らの本社所在地は政府所有の土地で、この土地を取得するのに、エルシャド大統領と一緒にゴルフをやってる時におねだりしたという噂がある。政府系病院の薬剤の販売も相当便宜を計ってもらったようだ。

2014-07-09 04:33:06
tanaka hideki @md_tanaka

ちなみにエルシャド時代のゴルフ仲間でビジネス上の便宜を計ってもらったことで躍進した会社は他にもあってBeximco, Akijなど今では大企業どころか財閥化している。スクエア含め、彼らはエルシャド政権崩壊時にあっさり離れて保身をはかれたので今の地位があるw

2014-07-09 04:36:32

TRIPS協定が後押し

tanaka hideki @md_tanaka

また、TRIPS(Trade related Aspects of Intellectual Propetty Rights)知的所有権の貿易的側面に関する協定という国際規約も彼らを後押しする。途上国への人道的観点から、知的所有権のある薬品でも特許料を支払ずに製造が可能。

2014-07-09 04:25:11
tanaka hideki @md_tanaka

TRIPSは①LDCであること、もしくは②薬剤の十分な生産設備を持っていない国に適用される。バングラは①の立場にあるが、同時にこの協定を生かして②の国へ輸出をすることができる。昨年度の医薬品の輸出実績は60億円。

2014-07-09 04:29:20
tanaka hideki @md_tanaka

医薬業界の目下の課題は原薬(API)の輸入比率の高さ。現在は80%を中国やインドから輸入している。それを自国内で生産できるようにしたい。これは政府主導で経済特区が作られているところ。ただ、2年前に完成予定だったが、例によって遅れていて、来年には完成するとか、しないとか。

2014-07-09 04:46:11

※ツイート順を編集させていただいています