アンダー・ザ・ブラック・サン #6

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
2
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コルセアは論理煙を吐き出した。「……奴はな、今でも守っておるのよ。少なくともそういう話だぜ」「何を?」「奴自身も忘れちまったんだとさ。あの様子じゃあ、さもありなんよ」シルバーキーとユカノは顔を見合わせた。コルセアは水面を見た。「潮の流れが変わったろ?婆さんの言ったとおりだ」 18

2014-07-15 22:28:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私達は……」「皆まで言うな!」コルセアが制した。「わかっとる。旅の途上!人は皆、旅の途上よ。おれがいつまでもこうして留めたらいかんからな。つい話し込んじまうのよ。サルガッソーには死体や思い出ばかりだからな。それで、潮の流れ!お前たちが、その潮の流れに乗って、目指す先、な?」19

2014-07-15 22:30:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そう、それだよ。こんな話してる時間は……いや、実際の時間がどうなのか、わからないけど」シルバーキーはもごもごと言った。「とにかく、行かなけりゃ」「そうさな。今は潮の流れがせっかく整ってるんだからな。それを狙ったんだろ、お前たち」コルセアの言葉は暗喩の塊だ。ユカノは頷いた。 20

2014-07-15 22:40:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「引き留めて悪かったが、俺が助けてやったとも言える。あのままインクィジターと追いかけっこしながら飛ぶのはコトだったぞ、お前たち」「礼を言います」とユカノ。「慣れていないのです」「慣れる?それは、さまようッて事だ。勧めんよ!」コルセアは首を振った。 21

2014-07-15 22:47:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それじゃ、予定通り旅程を進めろ」コルセアはキセルの灰を落とし、やおら、オールを漕ぎ始めた。「飛翔の勢いをつけてやる」ギーコ……ギーコ……粗末な船は速度を上げてゆく。ユカノとシルバーキーは船のへりにしがみつく。ギーコ……ギーコ……加速……加速……流れ去る……010110……(22

2014-07-15 22:54:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

01001……00……海が、船が、帽子を傾けて格式ばったオジギをするコルセアが、後ろへ流れ去り、二人はいつしか新たな01ノイズのトンネルを飛行していた。やがて前方に黒い太陽が現れる。シルバーキーは即座に気づいた。現世でキョート上空に見ていたものが、この太陽の影であったのだと。23

2014-07-15 23:04:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

黒い太陽には、一箇所、オゾンホールじみた小さな孔があった。シルバーキーはそこへ吸い込まれてゆく二つの輝きを見た。先に転移を行ったザイバツ・ニンジャだ。ユカノとシルバーキーは彼らを追った。力の限りの加速。なぜなら……「「「何者だ!」」」然り!城内の者が異物を察知するからだ! 24

2014-07-15 23:13:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

侵入が察知されるであろう事は想定内、やむなき事だ。加えて、それはドージョーへの増援を遅らせる事にもなろう。「「「汝らに入城の資格無し!」」」黒い太陽の孔が塞がれてゆく!ユカノとシルバーキーは二重螺旋飛行の速度を限界まで引き出し、拒絶を拒絶する!「「イイイイヤアアアーッ!」」25

2014-07-15 23:20:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二者は暗黒の障壁とぶつかり合う!「マズイな、弾かれる」シルバーキーがユカノの手を掴んだ。「とにかく、どうにか落ち合おうぜ!」「わかりました」「後でな!」「後で!」010111010111罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰011111罪罰罪罰1011罪罰00101011……011101……(26

2014-07-15 23:27:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ベオウルフの二刀流連撃がザ・ヴァーティゴを押し続ける。フルメンポの下、ザ・ヴァーティゴの表情は窺い知れない。しかし苦境にあるのは明らかだった。一方ランチハンドの魔犬は双子とイグナイトの周囲をグルグルと走り回り、いつでも襲いかかる構え! 28

2014-07-15 23:48:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」右斬撃!ザ・ヴァーティゴは横へ身を反らして回避!「イヤーッ!」左刺突!ザ・ヴァーティゴは逆側へ身を反らして回避!「イヤーッ!」一回転したのちメイアルーア・ジ・コンパッソと右斬撃のコンビネーション!「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴはバック転で回避!29

2014-07-15 23:53:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」そして後方に蹴り!「イヤーッ!」スパルトイはこれをガード!「イヤーッ!」斬りつける!「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴはブレーサーで弾き返す!「ベオウルフ=サン!こいつ、鈍ってきてやがるぜ!」スパルトイがあざ笑った。「へばってるんじゃねえか!」 30

2014-07-15 23:54:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴは片手をスパルトイに突き出す。「グワーッ!」スパルトイがネンリキで弾かれた。受け身を取り起き上がる。「効かねえ」「これは?」ザ・ヴァーティゴは己の掌を見つめ、首を傾げた。「イヤーッ!」そこへベオウルフが再び接近!横斬撃!「イヤーッ!」側転回避! 31

2014-07-16 00:00:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤッ!イヤーッ!」二撃!三撃!絶え間ない攻撃がザ・ヴァーティゴを襲う。ザ・ヴァーティゴは危うくそれらを躱しながら後退する。「待て!待つがよい。どうもおかしい!」「ぬかせ!イヤーッ!」「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴは回転ジャンプ回避!「適応なのか……?」謎めいて独りごちる。32

2014-07-16 00:03:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ベオウルフが蹴りを放つ!ザ・ヴァーティゴは横から受ける!「グワーッ!」「イヤッ!イヤーッ!」吹き飛ぶザ・ヴァーティゴめがけ、スパルトイが追い打ちめいてアフリカ投げナイフめいたスリケンを投擲!ザ・ヴァーティゴは転がってこれを回避!「イヤーッ!」そこにベオウルフ!33

2014-07-16 00:07:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

跳躍しながら振り下ろす二刀!ザ・ヴァーティゴはこれを避けられない!彼は咄嗟に手元のものを掴み、盾めいて掲げた。「イヤーッ!」二刀がザ・ヴァーティゴの両肩を斬り下ろす……事は、阻まれた。ピンク装束のニンジャが手にしたのは、巨大な刀身だ。ベオウルフは眉根を寄せる。分離した大剣。34

2014-07-16 00:10:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウウーッ!」得物を挟み、二者はせめぎ合う。スパルトイは攻めあぐねる。一方、魔犬は今や赤い炎の輪を作り出し、三人のニンジャを押し包んでいた。今や呼吸しがたいほどの強烈な熱がドージョー空間を満たしていた。ランチハンドは両手のジツに力を込め、圧殺の機をうかがう! 35

2014-07-16 00:14:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「すまぬ」ザ・ヴァーティゴは炎の輪の方向へ叫んだ。「当初立てた水も漏らさぬ立ち回りはできそうもない!こうも本来の力が制限されては、否、本来ならばとうに位相がずれて然るべき長時間の経過、これは甘んじて受け入れねばならぬ制限やも……」「狂人め!黙るがいい」ベオウルフが力を込める。36

2014-07-16 00:18:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「黙るとも。理解できまい」ザ・ヴァーティゴは呟いた。「今や俺にできることといえば、イヤーッ!」「グワーッ!」不意にザ・ヴァーティゴは力を抜いてベオウルフの勢いを狂わせ、瞬時に二倍の力で押し返した。「イヤーッ!」さらに片手を突き出し、ベオウルフをタタミ二枚遠くへ弾き飛ばした。37

2014-07-16 00:23:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺にできる事は、この程度の」彼は手にした大剣刀身に人差し指を押し当て、ねじり込むようにすると、ルーンカタカナを刻み始めた。鉄塊が震え、ざわつき始めた。彼がカタカナを刻むに従い、それは形状を変え始めた。ベオウルフとスパルトイはカラテ警戒する。やがてそれは巨大な斧の形を取った!38

2014-07-16 00:26:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「この程度の手品よ!」ザ・ヴァーティゴはそれを両手で打ち振り、ビュウビュウと風を切った。ゴウランガ……そこには「テツノオノ」と刻まれている!「我はザ・ヴァーティゴ、超自然の旅人にして、盟友キツネ・ウエスギ卿の身を案じ、この地にしばし留まる者なり。そして今は彼らに加勢せん!」39

2014-07-16 00:30:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オペラ野郎!」スパルトイが応酬した。「その舌引っこ抜いて……」「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴはいきなりテツノオノを彼めがけ投げつけた!「グワーッ!」巨大な質量は回転しながらスパルトイの肩口を切り裂く!スパルトイは砂の上に倒れ込んだ。「グワーッ!グワーッ!」 40

2014-07-16 00:35:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

テツノオノは回転しながら旋回!「ヌウッ!」ランチハンドは飛行軌道上に己が位置している事を察知、ジツの集中を切ってバック転した。炎の輪の速度が緩み、中の三人の姿が垣間見えた。アンバサダーとディプロマットに守られ、砂を踏みしめて立つイグナイト……その黒髪が今、再び炎の色に染まる!41

2014-07-16 00:39:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「諸君らの力が必要だ!」ザ・ヴァーティゴが叫んだ。「イヤーッ!」ベオウルフが斬りかかる。「イヤーッ!イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴは斬撃を次々にいなす!イグナイトは歯を食いしばり、顔を上げた。その目が燃える!「イヤーッ!」旋回する魔犬が静止!「「イヤーッ!」」双子が割って出る!42

2014-07-16 00:44:20