秋山殿関連の個人的妄想

徒然なるままに書き綴っていたら思わぬ長文になった記念まとめその2 (設定ガバガバで個人情報的なの丸出しなのは内緒な)
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ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

ゆかりさんと出会ったのは結構前。お義父さんが昔、家の実家の支店(床屋)で働いていた関係で親同士が交流があり、何かの用で集まるとだいたい二人で遊んでいた。僕のほうがお兄さんだったから他の子の世話も見ていたけれど、ゆかりさんも遊びながらそれを手伝ってくれた。年に数度だけの邂逅だった。

2014-07-12 12:33:13
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

そのころにはもう秋山理髪店として、学園艦で営業をしてだいぶ経っていたように思う。学園艦でも相変わらず床屋は月火休みのようで、たまの会合も大抵月曜だった。たまに泊まりがけで日曜にあつまることもあったが、年に一度あるかないかで、しかもお義父さんたちは毎回きているわけではなかった。

2014-07-12 12:36:23
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

学園艦で暮らすということは、陸上にあまり帰って来られない、ということでもあり、自然と此方でやる集まりには参加し辛かったのではないか、と今にして思う。とにかく、幼いころに私達は出会っていた、ということだ。床屋仲間の子供の中では私達二人が年上だったこともあり、それで印象に残っていた。

2014-07-12 12:39:42
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

そのころのことで思い出すのは、彼女が小学生になりたてのころのことだ。あれはまだ僕が兄と一緒に子供の面倒を見ていた時のことだ。『わたしねー、小学生になったんだよー』と、無邪気に話しかける彼女の手には、その頃の僕が一番大好きだった、小さな戦車のおもちゃ。たしか74式のだったと思う。

2014-07-12 12:42:55
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

人一倍幼さの残っていたあの時の僕は自分の物がとられてしまうと焦ったのか、「あっ、だめだよ!それ僕の!」と、やや乱暴に彼女の手からそれをもぎ取ってしまった。彼女は話しかけてきたニッコリ顔のまま固まっていたが、ハッとした顔になり、「ご、ごめんなさい…ごめんなさいぃ…」と涙目になった。

2014-07-12 12:45:58
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

僕は僕で、彼女のそんな顔を見てもはじめはなんとも思っていなかった。が、彼女の顔がだんだんと俯いていくにつれ、熱くなった頭も冷えてゆき、やがては彼女の顔をまともに見られなくなってしまった。他のこの世話を見ていた兄がこちらの異変に気づいて声をかけてくるまで、お互い固まっていた。

2014-07-12 12:48:51
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

訝しがる兄にむかって僕は弁明した。「この子が僕の戦車をとっちゃったんだよ!」「僕は取り返しただけなんだ…」 頭が冷めても引込みの付かなかった僕は、自分本位の苦しい言い訳を繰り返していた。兄は黙ってそれを聞き、時々彼女を見やっていた。その間彼女は涙目のまま、ずっと俯いていた。

2014-07-12 12:51:55
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

僕が喋り終わっても、兄は黙ったままだった。僕はそのときになってはじめて、彼女に心ないことをしてしまったのだと気づいた。彼女はただ、僕に話を聞いてもらって、一緒に遊んでもらいたかっただけだったのだ。それでもまだ謝ることのできない私に、兄はそっと言った。「ごめんなさい、できるよな。」

2014-07-12 12:55:05
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

僕と4つしか違わない兄は、僕よりずっと大人だった。僕は兄が大好きだったし、兄の言うことは親のことよりよく聞いた。だから、あの時謝ることができたのだと今では思う。とにかく、僕は小さな声で「ごめんね。」と言った。彼女はゆっくり顔を上げると「わたしも…」と返した。それで事は済んだ。

2014-07-12 13:00:39
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

それからは早かった。ふたりとも戦車が好きで(もっとも当時から彼女のほうが詳しかったが…)、僕の持ってる他の車両も使っていわゆるブンドドなんかもした。兄はそれを見て微笑みながら、ゴジラの指人形で一緒に遊んでくれたりした。大人たちの会合が終わるまで、その遊びは続いた。

2014-07-12 13:04:29
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

家の店をたたみ、こういった会合がなくなるまでの暫くの間は、会うたびにそうやって遊んでいた。兄が高校生になりあまりこちらに顔を出さなくなると、年長者の二人で他の子らの世話を見ないといけないこともあって、後の方はなかなか遊ぶ機会もなかったが、ふたりとも戦車が好きなまま大きくなった。

2014-07-12 13:07:18
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

もっとも、彼女のような戦車好きの女子というのは、なかなか稀有…というか奇特な存在のようで、加えて彼女自身がそれを自覚しないまま周りと接していたこともあり、幼いながらも交友関係には悩んでいたようだった。時折『学校で友達ができない』という話をされることもあったりした。

2014-07-12 13:12:03
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

そのたびに僕はどう返していいか困り、「そのうち出来るようになるよ」と、当たり障りのない事を言っていた。若干中学生になったばかりの僕には荷が重かったのである。それでも彼女は戦車を好きでいたし、家の手伝いをやったり勉強を頑張ったりと、とてもいい子に育っていった。私とは正反対だった。

2014-07-12 13:15:06
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

ちなみに彼女が小学校に上がると同時に学園艦の店は一度陸上に移された。だから会合に来る頻度は上がったし、彼女と会い、話す機会も以前よりはあったと思う。もっとも、彼女が中学生に上がると同時に、また元のところに移ったようだが…。その頃には家の店はたたんでいたので詳しくはわからない。

2014-07-12 13:23:54
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

店をたたんだことで、会合は他で開かれるようになり、自然と彼女と会う機会もなくなった。父は時折顔を出していたようだが、私も彼女も大きくなっていたこともあり、ついてくることもなかったようである。私は携帯を持っていたが、彼女は持っていなかったので、彼女の近況は年賀状で知るしかなかった。

2014-07-12 13:26:51
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

気のいい(というか僕の奇行に根気よく付き合ってくれる)友人たちと、面白い先輩方に囲まれながら、僕は中高生としての青春を謳歌していた。時折くる年賀状を見るたび彼女のことを思い出していたが、こちらから会いに行こうとは思いもせず、ただ自分の日常を生きていたように思う。

2014-07-12 13:34:27
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

やがて高校生活も終盤になり、今の進路を志すようになると、なぜだか自然と彼女のことを思い出すようになった。実家の近く…というかすぐ隣に大きな神社があり(ここが今の職場)、会合と祭が重なると、よく子どもたちと縁日に出向いた。提灯の明かりに照らされた彼女の横顔は、今でもよく覚えている。

2014-07-12 13:38:33
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

「あの娘、いまどうしてんだろ」という考えがふと頭に浮かび、連絡してみようかと思うも、なかなか行動に移せず、結局手紙の一つもしなかったという苦い思い出がある。が、今はおいておこう。とにかく、その道を志し、大学に進み、住み込みで働きつつ通学していたある日の事だった。

2014-07-12 13:44:46
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

昼間は働き、夜は学校に、という生活をしていたが、その日は日曜日ということもあり、一日中働いていた。その日は穏やかな天気で、流れる雲がとてもうまそうに見えたのを覚えている。境内の掃除をひと通り終え、一休みしようかと思っていたところに、よく見たパーマ頭が目に入った。お義父さんだった。

2014-07-12 13:47:02
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

「秋山のおじさん!」と声をかけると、パーマ頭がゆっくりとこちらを向き、久しぶりに見るあの優しい顔があらわれた。挨拶もそこそこに「すっかり立派になって」だなんていわれて照れてれしていたら、「あら、お久しぶりですね」と声が。なんとお母さんまできてた。

2014-07-12 13:56:36
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

これはもしかすると…と思っていると、案の定彼女もこの場に来ていた。最初は誰だかわからなかった。というのも、以前はおじさんの好みでパーマにされていたので、今の髪型は初めて見たからだ。身長は伸び、女の子らしい女の子になっていたその姿に、思わずドギマギしてしまったのは内緒である。

2014-07-12 14:03:16
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

「久し振りだね。」と精一杯の声で言うと、彼女は少し低くなった声で「はい、お久しぶりです!」と返した。実に数年ぶりの会話である。ご両親への挨拶も、自分の仕事もほっぽりだして、彼女とたくさん話しをした。(先輩や上司にはあとで怒られたけれども、暇な時期だったこともあって軽くすんだ。)

2014-07-12 14:07:38
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

彼女と話していてまず思ったのが、口調が変わっていること。全体的になんだか敬語が目立つようになり、なんだか寂しく思った(今でも半分敬語)。あとは、あいも変わらず友達ができないということ。中学校にあがって、環境が変わって、少しはなんとかなるかと思ったけれど、なんともだったようだ。

2014-07-12 14:23:43
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

そもそも何故彼女たち家族が僕の職場に現れたかといえば、たまたまこちらの方にくる用事があったらしく、そこに父から僕の情報が入り、それじゃあ…というぐあいだったらしい。グッジョブ父上。 久しぶりの再開に心躍ったし、何より(友達はいなくとも)元気そうにしている彼女の姿に安心した。

2014-07-12 14:34:24
ガルちゃん @Garuchan_Kawaii

その晩はご飯を御馳走になり、近況と思い出話に花を咲かせた。最後に彼女と連絡先の交換をし、その場は別れた。アドレス帳が寂しかったのは見なかったことにした。(人のこと言えない) 幸せ気分のまま寮の自室に戻り、ひとっ風呂浴びて戻ってくると、着信ランプが光る。彼女からのメールだった。

2014-07-12 14:37:38