銀の鬼

癒しの魔女の守護する森で喫茶店を開いている鬼と生贄として捧げられた少女のお話
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(ノ≧ڡ≦)☆たけのーちだよ! @aoi_takenouti

銀の鬼の店 黒色のワイシャツとカチューシャが制服で、魔女達が住む森にある。 美味しいタルトが評判で、人気商品は楽しい思い出原料のチョコチップを乗せたプリンパフェ。 従業員に猫の獣人がいる shindanmaker.com/439027

2014-08-14 08:43:59
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【個人的メモ】 『銀の鬼』食ったものの記憶を吸収する 虹色の四本角褐色の肌・毛量のある薄墨色の髪 魔女の森の喫茶店マスター 従業員に猫の獣人。 拾った幼女を育ててる。 昔馴染みの妖狐に借りがある。え?神父様に?(神父様腹黒説浮上)

2014-08-14 11:05:09
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――おや?人の子がいる 狐神父のマレンカさんにオムライスを届けた帰りの森の中。獣道を帰っていくと行きには見かけなかったかごを見つけた。中には痩せ細った女の子が眠っていた。 やれやれまたか。人はこうやって時折天変地異を治めると称して生贄を差し出す。 俺とお前たちどちらが本当の鬼?

2014-08-14 12:29:40
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痩せ細った子供は言葉の一つも喋れなかった。 鬼の俺を見ても怖がらない様子を見ていると頭が弱いのかとすら思う。 いつものようにマレンカさんの所に連れていっても、俺にしがみ付いて離れない。 「珍しくウォーロに懐いていますね」 マレンカさんが瞠目した後笑った。こんな事初めてだった。

2014-08-14 12:35:08
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【続き】 「うぉーろーーー」 名前を教えても最初は名前と言う物の意味すら分からなかった少女は、ウォーロに常に纏わりついていた。 「名前ぐらい付けておやりよ」 狐のマレンカ神父にそう言われて、最初は「人の子」と呼んでいたウォーロは、少女にモカと付けた。

2014-08-14 17:08:27
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【続き】よん 穴倉を喫茶店にしているウォーロの家は更に奥にあり、鬼のウォーロはそこで獣たちの生え換わりの毛を布団に仕立てて眠っていた。 それまで独身貴族を気取って過ごしていたのに、今ではモカが懐に入ってすやすやと眠っている。 モカは人の子なのに鬼のウォーロを怖がらない。

2014-08-14 17:57:58
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【続き】ご 不思議で堪らなかったけど、それはある時分かってしまった。 ウォーロは食にした生き物の記憶を読み取る事が出来る。 ある日派手に怪我をしたモカの足を舐めとる時に、少しモカの足を齧ってしまった。 その晩、ウォーロは見てしまった。モカの記憶を。 涙が流れて止まらない。

2014-08-14 18:08:17
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【続き】ろく だから、モカは鬼を見ても怖がらない。本当の意味で鬼を知っているから。 まともな教育を受ける事も出来ずに、暴力を受け、虐げられてきた。あちこちの村にたらいまわしにされ、挙句の果てに生贄として差し出された。 どちらにしてもこの子が死んでも誰も気にも留めない。

2014-08-14 18:23:14
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【続き】なな 「モカ。モカ。誰もお前の代わりになどなれないのに」 ウォーロが泣いていると、寝ぼけたモカがそっと手を伸ばした。 モカは無邪気に角を撫でる。本来角自体には神経は無いけれど、そこに続く頭に触られるのがいやだ。 だけどモカはウォーロの頭を触りたがった。

2014-08-14 18:28:43
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【続き】はち モカがニコニコして角を触っている。ウォーロはそれを自由にさせている。 「ああ、モカ。慰めてくれているんだね」 きっとモカはウォーロが自分の事で涙を流しているなんて知らない。だけどそれでいい。 「モカ。ずっと僕の傍にいよう。僕の傍にいたら怖い物は無いから」

2014-08-14 18:37:28
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【続き】きゅう ウォーロの本来の姿の時、人は彼に近づかない。鬼だから。四つ角を持つ鬼を怖がるから。でもウォーロに対して力があるわけではない。天変地異は神や精霊の領域だし、森自体も魔女の守護にある。だから生贄などは本当はまるで意味がないのだ。勝手に人間がやりだした事。

2014-08-14 19:27:57
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【続き】じゅう だけどそんな犠牲を払う事によって人々が安心する。その犠牲となった娘たちは本来マレンカ神父の元、一生を神に捧げるか、この地に関係のない遥か遠くの町へと旅立っていく。四つ角のウォーロを恐れるのだ。 モカだけがウォーロの傍に残った。 「うぉーろ」 「ん?」 「それ何?」

2014-08-14 20:51:53
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【続き】じゅういち マレンカ神父から貰ったキャンディを頬張っていると、モカが目を輝かせながらウォーロの膝に乗ってきた。 「飴だよ。砂糖を溶かして固めたもの」 「あーめ?」 慌ててモカが穴倉の外へと向かう。それをクスクスと笑いながら追いかけると、空に向かって手を広げているモカがいた

2014-08-14 20:56:04
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【続き】じゅうに 「モーッカ。そのあめじゃないよ」 そう言って包みを開き放り込もうとすると、モカは異様に怖がった。 自分の中にあるモカの記憶を辿ると、ああ、そうか、と思い当たる。 以前悪戯で無理矢理口にまずい物を食わされたからだ。

2014-08-14 21:10:49
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【続き】じゅうさん ウォーロから与えられるものには、その警戒心は大分薄れるけど、それでも偶にこういう反応をする。 店の入り口に置いてある切り株に腰をかけると、その膝の上にモカを呼ぶ。モカも怖いけれど興味津々と言った所。 口の中にある飴を舌に載せたまま、モカに見せる。

2014-08-14 21:15:00
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【続き】じゅうよん するとモカは何を思ったのか、ウォーロの舌の上にのっかった飴に、ぱくりと食いついてきた。 モカは口の中に広がった甘さに、ウォーロはモカの舌と唇の感触に、それぞれ体を硬直させ目をパチクリさせていた。 先に復活したのはモカだった。

2014-08-14 21:18:13
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「ウォーロ!ウォーロ!おいしっ!」 足をバタバタさせ、興奮した様子でウォーロの舐めかけの飴を口の中で転がしていた。でも元々小さかったそれはあっという間に無くなってしまった。 そこでウォーロが先ほどモカにあげようとした飴を、もう一度その口元に持っていくが、モカは首を横に振って拒んだ

2014-08-14 22:27:03
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【続き】じゅうろく モカがウォーロが持っていた飴を指ごとウォーロの口の放り込んできた。いやーな予感がしたウォーロがじっとモカを見ていると、目をキラキラと輝かせている。 試しに舌に飴を乗せてゆっくりと口をあけると、モカがそこに嬉しそうに食らいついてきた。飴と共に触れ合う舌と舌。

2014-08-14 23:05:17
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【続き】じゅうなな 勿論モカにはそれがディープキスだと理解していない。だけどぐったりと体をウォーロに預けている癖に、その口内だけは飴を行ったり来たりさせながら楽しそうに蠢いている。 飴が融けても尚その甘さを追うモカに、押し倒されるような形でウォーロは大きな切り株に横たわった。

2014-08-14 23:08:51
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【銀の鬼】じゅうはち モカはこれが恋人たちのキスとは知らない。恋と言う言葉すら知らないのだから仕方がない。 ひとしきりウォーロの口内を貪ったモカは、顔を離し、ゆっくりとその甘さが移ったような表情で目の前に横たわる鬼を見詰めた。 「うぉーろ、終わり?飴終わり?」 「終わりだね」

2014-08-15 01:00:41
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【銀の鬼】じゅうく マレンカ神父から貰った飴はもう終わってしまった。 ウォーロの喫茶店では森でも評判のチョコチップかけのプリンを出している。ほんのり甘いそれもモカの大好物だけど、飴が無くなった事を酷く寂しがっていた。 ウォーロの胸に凭れかかってきたモカをよしよしと撫でる。

2014-08-15 01:05:22
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【銀の鬼】にじゅう 「マレンカ神父からどこで買ったか聞いてくるから」 「ほんと!?」 ぱぁっと顔を高揚させたモカはウォーロの首に巻きついた。他の人には手すら触れさせないモカだけど、こうやってウォーロに甘えてくる。それが彼には嬉しくて堪らない。 「でも他の人にはやっちゃだめだよ」

2014-08-15 01:13:12
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【銀の鬼】21 「?」 何が何だか分からないという態のモカに、ウォーロは体を起して、「こういう事」と小さくキスを落とした。まだ甘さが残っていたのか、モカは「もっと」とせがんでくる。 「うぉーろの口、甘い。プリンより甘い」 そんなはずはないだろうと心の中で笑いながらもキスをする。

2014-08-15 01:24:33
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【銀の鬼】22 「他の人、怖い。触りたくない」 再びウォーロの胸に大分すると、離されないようにとしがみついてきた。そんなモカが愛しくて堪らない。 「約束だよ。他の人にやっちゃだめだ」 「うん。約束、大事。守る。マレンカさん教えてくれた」 それを聞き、彼は狐の神父に小さく感謝した。

2014-08-15 01:30:51
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『銀の鬼』をプライベッターに投稿しました! よかったら感想よろしくーん。 privatter.net/p/396183

2014-08-30 02:57:06