「彼女は運命の人じゃありませんでした」しれっとして答える。じゃどんなんなら運命の人だよ?ってあきれて言うとじっと見つめて「絶対に言わない」って言った。バニーその子には本気なんだ。うまくいくといいなって回れ右して駆け出した。それ以上あいつの真剣な顔見ていたくなかった #両片思い兎虎
2014-08-27 09:00:06他愛のない話に混じる、本当。僕の好きな人は、とても優しい人。けれど致命的に鈍いんです。いっそ腹が立つ位。そうでもねぇよ。ただおじさんは、お前より大分臆病で。少しだけ隠し事がうまいんだ。愛してるよ、リルバニー。お前が思ってるより、もっと、ずっと。一生言葉にしねぇけど #両片思い兎虎
2014-08-27 08:49:24「お前また別れたのか!」相棒が呆れたように週刊誌を投げる。女の子は大切にしろとお説教。僕は実らぬ恋をしてる。身代りの恋は貴方に叱られたいから。それと。「少しは慰めてください」傷付いた声を出せば貴方は甘やかしてくれるから。慰めのキスを下さいよ。同情で構わないから。 #両片思い兎虎
2014-08-27 08:42:20「恋はいいもんだぞぉ?」初恋が叶ったという彼の話、もう何度聞いただろう。「だからお前も、な」とろけそうな優しい瞳で笑って、頑張れと背を叩く。「俺はいんだよ。もう、いるから」相方不在の指輪をひらひら。僕の恋しい彼は、まったく過去の恋に生きるつもりの人らしい。 #両片思い兎虎
2014-08-27 08:30:51降り注ぐ温い水を被り続けている。貴方も今頃きっとバスタブの中。泣いて、いるのだろうか。酔いと誘いに屈した己を恥じながら、想い人に詫びながら。「…ぁ、あ…!」僕は、僕は貴方の大切な誰かまで貶めた? 貴方には聞かせられない謝罪と懺悔は、ぐるぐる流れて排水口へ消えてゆく #両片思い兎虎
2014-08-27 07:40:26バニーが女優さんと密会だなんだってスクープされた。いつかこんな日が来ると思っていたけど、やっぱり胸ががいてぇ。うまく笑えるかな、俺。/相手の売名行為に使われた。いつもなら心底腹立たしいけれど、あなたの表情に翳りはないか探ってばかりいる。おめでとうなんて笑わないで。#両片思い兎虎
2014-08-27 05:59:11もうどれくらい湯に浸かってるのかわかんねぇ。逆に背筋が冷たくなる程の快感だった。なんであんなに上手いんだか。それに、欲情の中に時折混じってたあの、顔。「…ありゃ勘違いすんだろー…」やめろ。やめてくれ。俺に見せた顔じゃねぇんだろ。ふやけた手で覆う俺の顔は今、どんなだ #両片思い兎虎
2014-08-27 03:14:21意識しすぎて理由がないと貴方に触れられなくなった僕は、ペース配分を過ってしたたかに酔った。心配した虎徹さんが僕の背を優しく撫でてくれる。温かな手に思わず漏れた言葉。「好きです」「言う相手間違ってんぞ」と笑われて。本当に、貴方が好きなのに。なんて言えやしない。 #両片思い兎虎
2014-08-27 02:40:18落としたペンを拾おうとして手が触れ合って引っ込めて、なんて少女漫画かよ。心臓がうるさいくらい跳ねたのは昼間の話。夜になって指の感触を思い出して自分を慰めて、昼間の何倍もどきどきしてる。ごめん、バニー、ごめん。好きなんだ。この想いは誰にも言わないから、今だけ許して。 #両片思い兎虎
2014-08-27 02:37:47少しだけ目を伏せると、そうかと貴方は笑った。雑多な街の音にともすれば消されそうなほど、小さないらえだった。前を歩く貴方の背は頑なに拒み、僕はそれ以上の言葉を持たなかった。福音の鐘を貴方は鳴らすだろう。僕のためと偽って。年故の臆病さを、若さ故の強引さでいつかきっと。 #両片思い兎虎
2014-08-27 02:18:54いっそ奪ってしまおうか、思いを告げてしまおうか。ダメだ、そんな事をしたらお日様の似合う彼は僕を絶対に許さない。 抱きしめられたい。好きだと言ったらどうするだろう?ダメだ、あいつは光の中を生きて行くんだから、こんな醜い思いを知ったらあいつは俺を許さない 好き #両片思い兎虎
2014-08-27 02:03:24「俺最近気になる子がいてさ」虎徹さんの言葉に息をのむ。奥さん一筋の虎徹さんが、一体誰を?「そいつ強いんだけど泣き虫で放っておけねーんだわ」今にも蕩けそうな瞳をこちらに向けて話す虎徹さん。泣き虫だなんて絶対に僕はありえないし、失恋だ。「応援してますよ」「……そっか」 #両片思い兎虎
2014-08-27 01:24:08#両片思い兎虎 「あっバニー、流れ星!」 (虎徹さんに気持ちを伝えられますように、できれば成就しますように) (バニーが幸せになりますように、その時笑って祝えますように) 「願い事できた?」「はい。叶うといいんですが……」「叶うよ、絶対!俺が保証する!!」
2014-08-27 01:17:33「お前の手って冷てえよな」どさくさに紛れてバニーの手を掴む。ひんやりした手すら愛しくて、でも見上げると興味なさげなバニーが掴まれた手を見つめていた。きゅっと握るとじんわり集まる熱がパッと払われた手に微かに残る。「あなたの体温が高いだけですっ」…何だ、期待したのに。 #両片思い兎虎
2014-08-27 01:09:58眠そうな彼に肩を貸す。どうぞと言ったら一瞬驚いた顔をして大きな目がさらに見開く。下心、ばれちゃったか。距離を置こうとしたら、急いで裾を引っ張ってきた。「まっ、待て、眠いから肩かして」そう言って彼が僕の肩に眠気で熱い頭を預けるから、相棒は役得で、なのに少し苦しい #両片思い兎虎
2014-08-27 00:23:43不毛な想いを持て余してうっかり自分で拓いてしまった身体が役に立つ日が来るなんて思ってなかった。慣れていると軽蔑されるだろうか。これしかないならもうそれでいい。いつかあいつの理性が飛ぶくらい気持ちよくなって、うっかり他人と間違えて愛を囁かれるのを狙ってる。 #両片思い兎虎
2014-08-26 23:33:24身体を重ねれば伝わることがあるかも知れないと一縷の望みをかけて駄目元で頼んだらセックスが実現しただけで何も進展せず、むしろ本当の気持ちを言えなくなってしまった。もう僕は、抱かれることに慣れているかのようなあなたに、お門違いの感情をぶつけることしかできない。 #両片思い兎虎
2014-08-26 23:28:55練習台を頼まれた。好きな子がいるんだと。「いいのかよこんなおじさんで」脱いでやったらさらに深い眉間の皺。嫌ならやめときゃいいのに。それだけ必死か、かわいい奴、ここは大人の余裕で。「……ッ」なのにわけわかんねぇ。なんでこいつこんな気持ちいいの、俺どうしちゃったの。 #両片思い兎虎
2014-08-26 23:21:57あなたは優しいから。バニーはいいヤツだから。だからこそ困らせたくない。じりじりと胸を焦がす想いを、これ以上燃え上がらせないようにそっと静かに握りつぶす。熱い痛みは自己憐憫を煽る。あの人が、あいつが好きだ。その証拠の痛みを抱えながら今日もバディとして笑顔を向ける。#両片思い兎虎
2014-08-26 22:59:19バニーに好きな人がいると知り「告白すればいーじゃんか」「してもいいんですか?」 「いーよ!」「本当に?」「ほんとだもん」思わず手首をぎゅっと掴まれ「痛い!バニー!痛いって!いてぇ…なぁ、痛いよ。俺、胸がなんかすげー痛い」「どこが?」「胸」そっと胸に手を当てるバニー #両片思い兎虎
2014-08-26 22:59:00バディで受けたインタビュー取材。ちっさいソファにふたりで座って、ときどき肩がぶつかって。体の片側があったかいのが、なんだかひどく幸せだ。…ごくごくかすかな、相棒の顔の強ばりには気付かないふり。ごめんな、もう少しだけこのままで #両片思い兎虎
2014-08-26 22:55:33バディで受けたインタビュー取材。僕たちに用意されていた椅子は、二人掛けの小さなソファ。彼の体温は単純に嬉しい。けど、その気持ちが滲み出てしまわないように、秘めた想いがうっかり溢れてしまわないように、ひどく…苦労した。ああ。はやく、はやくひとりになりたい #両片思い兎虎
2014-08-26 22:54:59相棒だから、同情で、それともただ単に酔って。どうして何も言わないんです、こんなことおかしいでしょう?「…なぁ、おじさんで練習になんの」「他にあてがなくて」「必要…ねぇと思うな…ッ」喘ぐ息に空しい歓びを得る一方的な行為。「ええ、練習になりません、あなた敏感すぎる」 #両片思い兎虎
2014-08-26 22:53:49俺はお前より長く生きてっから、気付いてても言葉にしない方がいいこともあるって知ってんだよ。俺たちが同じ気持ちを抱えてるってことは。何もなければ、いつかきっと笑い話に出来んだぜ?なのにお前、そんな目で見るなよ、長く生きてるからって、俺は忍耐強いわけじゃねえ。 #両片思い兎虎
2014-08-26 22:36:10