【政小ss】いい夫婦の日(前編)

政小夫婦の現パロssツイート、前半部分まとめてみました。後半も「いい夫婦の日」が終わらないうちに仕上げるつもりです。誤字というか設定間違いがありますが見逃してください>小十郎のお部屋番号……。
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ヒスヰ|novelskey.tarbin.netにいます @hisuwi0809

*「右目の旦那ァ、いないのォ?」トイレットペーパーを一ロール持った男が、先ほどから一〇六号室のインターホンをキンコンキンコン鳴らし続けている。隣室に住む佐助である。「まったく、無用心だねェ」というのも、目の前のドアはきちんと閉まっておらず、一センチほどの隙間があいているのである。

2010-11-22 00:47:58
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*一〇五号室の住人・小十郎とは、ともにスーパーの特売コーナーを駆け抜ける戦友のような間柄である。昨夜遅く、トイレットペーパーを切らし助けを求めに行った佐助に対し、小十郎は快く一ロール譲ってくれた。なので新しく買ったものを返しにきたのだが、留守のようである。(出直すとしますか)

2010-11-22 00:48:52
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*とりあえずドアだけ閉めて……と佐助がドアノブに手を伸ばしたとき、強い風が吹いた。薄くて軽いドアはするりと蝶番を滑らし大きく開く。何気なく中を見た瞬間、「――わッ」佐助は思わずトイレットペーパーを放り投げた。宙に白い帯を引いたそれは目の前のものにぶつかって落ち、コロロと転がる。

2010-11-22 00:49:45
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*思わぬ至近距離にソレはいた。上がり框に腰掛け膝を抱えるソレは、可視光線を歪めるほどのステルス性を有しているのか、向こう側が透けて見えている。「だ、旦那?」旦那は旦那でも竜のほうである。一〇五号室の押しかけ亭主はどうしたことか玄関に座り込み、魂を手放していた。尋常ではない。

2010-11-22 00:50:30
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*室内に小十郎の姿はなかった。「ちょっと旦那、どうしちゃったのさ」幽霊のように通り抜けたらどうしようかと心配しながら(杞憂に終わったが)政宗の肩を掴み、揺さぶると、ガックンガックン前後に揺れる頭から、なにか小さな音が聞こえた。「ん?」耳を寄せる。「……ぃぞぅこ……」「はい?」

2010-11-22 00:51:17
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*――それから時間をかけ、政宗の、蚊のまつ毛が落ちる音ほどの小さな声を拾い集めた結果が、これである。佐助の部屋でちゃぶ台を囲むのは佐助、まだ若干存在の薄い政宗、そしてパン工場もかくやという量の食パンの山である。「竜の旦那、いい加減元気出してよ。右目の旦那も許してくれるって」

2010-11-22 00:52:04
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*ハイツBASARA随一の熱愛夫婦が、よりにもよって『いい夫婦の日』に喧嘩した。その原因は冷蔵庫である。以前から高機能・大容量の冷蔵庫を欲しがっていた小十郎が、来月からエコポイント半減の報を受け、意を決したという。そこで来週、二人そろって量販店に行く約束をしていたというのだが。

2010-11-22 00:53:09