#オークさん女騎士です

切腹の人. @HarakirimanEX

女騎士「なに、自治領のオークが面会を求めに来ている？」 従者「はい。何か重要な用件らしく正装かつ国の制度に則った上申書を持参しております」 女騎士「求婚か」 従者「どちらかというと部下の誰かとの結婚を許可してもらうために女騎士様にお伺い立……失言でした」 #オークさん女騎士です

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女騎士「ば、馬鹿な！　たとえ奴が人間に味方して国土防衛線を維持し、リザードマンの大群をゴブリン小隊と共に蹴散らした英雄だとしても！　奴はオークだぞ！」 従者「ちびっこ達の人気者ですからね。お年寄りの荷物を運んだり野良仕事も積極的に手伝ってますし」 #オークさん女騎士です

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女騎士「だ、大体だな。我が隊の女従士達は家督などないが家柄もよく、揃いもそろっての美形好き。都では数々の貴公子達を袖にした百戦錬磨の令嬢だぞ」 従者「日替わりでオーク隊長の弁当を作ってますけどね、あの方たち。オークって実は体脂肪率３％なんですよねえ」 #オークさん女騎士です

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女騎士「なにそれ。弁当？　体脂肪率？」 従者「力こそパワーを地でいく女従士達ですから、人外の膂力を誇るオーク隊長はストライクゾーンみたいですよ。彼、体臭に気を遣って沐浴と香草も欠かしませんし」 女騎士「うううう」 従者「とりあえず隊長との会談の準備を」 #オークさん女騎士です

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オーク「これ、自治領の森で採れた山菜と果実。今年の森は秋になるのが早い、おそらく野菜の収穫は霜との戦いになる」 従者「山葡萄にアケビでありますか。こちらの蜂蜜に漬けた瓶は」 オーク「サルナシとマタタビ。酒に漬けるよりは、茶請けになろうかと思い持参した」 #オークさん女騎士です

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従者「おお。都の甘味は水飴や干果が主ですからな。皆様喜ばれましょう」 オーク「こちらこそ蛮族や亜人の自治領を認めてもらったのに、こんな形でしか返せず申し訳ない」 従者「いえいえ。先の戦いにおける隊長たちの奮戦、あれがなければ王都すら危うかったでしょう」 #オークさん女騎士です

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女騎士「その通りだ」 オーク「女騎士殿」 従者（勝負服に勝負下着） 女騎士「重要な話と聞いて、亜人自治領の名代として正式な会談に臨むべく準備をさせてもらった」 オーク「……なぜ会談の場に天蓋付ベッドが」 女騎士「む。屋外の方が好みであったか」 #オークさん女騎士です

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従者（アカン） オーク「？」 女騎士「と、とにかく。正式な上申書を携えて来たのだ。国家の大事に関わる内容なのだろう？」 オーク「ええ。実は自治領のある森で」 女騎士「魔物が出たのか⁉」 オーク「いえ、例年より早くキノコの季節になったのです」 従者「は？」 #オークさん女騎士です

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オーク「夏の暑さが日照時間の割に穏やかであったこと、そして比較的まとまった雨が続いたこと。作物にとっても良い条件でしたが、それは森にも同じことで」 女騎士「……キノコの魔物でも出るのか？」 オーク「それもありますが」 従者「が？」 女騎士「他にあると？」 #オークさん女騎士です

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オーク「宮廷料理で香辛料代わりに使われる、じゃ香に似た風味のキノコを御存じか」 従者「ええ。同じ重さの銀より価値があるという。昔は強壮剤や媚薬とも言われておりましたが、結局はただの迷信と」 オーク「そのキノコの匂い、オークのメスの発情臭と同じ成分なのだ」 #オークさん女騎士です

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女騎士「……発、情？」 オーク「繁殖期に入ったオークのメスは体臭や体液に、独特の匂い成分を分泌しオス達を強制的に発情させる」 従者「強制……発情」 女騎士「ｺﾞｸｯ」 オーク「それを利用して、繁殖能力を喪った老オークや子供オークはキノコを採取するのだが」 #オークさん女騎士です

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従者「……自治領を勝ち取ったばかりのオークの森では、老オークも子供もいない。と」 オーク「おまけに今年は当たり年らしく、自治領の者を総動員しても収穫しきる前に強制発情するのがほぼ確定した。オレだけでなくゴブリン小隊も発情するだろう」 女騎士「……」 #オークさん女騎士です

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オーク「なので、キノコの時期が終わるまで亜人のオスたちは森に引きこもる。その間、亜人のメスたちを保護してほしい。もちろん森への立ち入りは厳禁だ」 女騎士「そ、そこまでするのか」 オーク「文字通り理性が吹き飛ぶ。オークは人間相手でも繁殖できる、危険だ」 #オークさん女騎士です

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従者（繁殖できちゃうんですよねえ） 女騎士「そ、そうか」 オーク「うむ。部下の女従士達にも言い聞かせてほしい」 従者（アッ） オーク「……自治領のうわさを聞いて、繁殖目的のはぐれメスオークが来る可能性もあるが。こればかりは事故が起こらぬよう祈るしかない」 #オークさん女騎士です

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従者「オークのメスたちの滞在費、託されましたね。宿の手配も完璧で」 女騎士「そうだな」 従者「相変わらず糞まじめな方でしたね」 女騎士「そうだな」 従者「この後いちおう会食の予定でしたね」 女騎士「そうだな」 従者「正式会談なので宮廷料理出しますから」 #オークさん女騎士です

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女騎士「そうだな」 従者「都で修業したシェフが、腕によりをかけて本場の材料を使うそうです」 女騎士「そうだな」 従者「では、ごゆっくり」 #オークさん女騎士です

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料理長「金毛羊のロースト、添えてあるのは季節のキノコを贅沢に使ったリゾットであります」 従者「シェフ、もう聞こえてないから」 料理長「本場の材料なのですが」 従者「そうだね。実に極上。同じ重さの銀より価値のあるキノコをこれでもかと使った素晴らしい品だ」 #オークさん女騎士です

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料理長「都では、豚の発情する匂いに近いという話で」 従者「体調の証言によるとオークやゴブリンなどの亜人にも効果覿面だとか」 料理長「ははあ。では媚薬云々の伝説というのは、そちらから来たのでしょうか」 従者「いやあ、すがすがしいほどの乱れっぷりですなあ」 #オークさん女騎士です

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料理長「止めなくて良いのでしょうか」 従者「防衛線ではリザードマンの長老が変身した亜竜の首、斧と大剣でぶった切ったんですよ。あの二人。誰も止められませんよ」 料理長「うわあ」 従者「それよりも亜竜退治の副産物でしょうかね、爬虫類のように四本もご立派な」 #オークさん女騎士です

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料理長「あの、本当に止めなくて良いのでしょうか」 従者「割って入ったら余った一本が貴方か私の直腸を蹂躙しますよ多分」 料理長「女従士達を呼んできます」 #オークさん女騎士です なお亜人自治領は無事に封鎖されたという話。