かんこれむかしばなし・桃太郎

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【かんこれむかしばなし･桃太郎】(1) むかしむかしある所に、 赤城さんと加賀さんと提督(その他多数の艦娘)の暮らす鎮守府がありました。 ある日の事です。 赤城さんは川に洗濯に 加賀さんは赤城さんの付き添いで川に行きました。 赤城さんが川で洗濯をしていると

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(2) 川の上流からそれなりに大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてくるではありませんか。 赤城さんは朝寝坊をした為朝食を摂っておらず、空腹も相まって手に持っていた洗濯板を放り投げ桃に飛び掛り修羅の如く食べ始めました。 加賀さんは桃が嫌いだったので食べませんでした。

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(3) 赤城さんが桃を完食する数分前、加賀さんは赤城さんの放り投げた洗濯をそこそこに終わらせ鎮守府に帰ることにしました。赤城さんの事が大好き設定の多い二次創作界隈では珍しく、加賀さんは赤城さんを放置していく様です。 鎮守府に帰ると、提督が見慣れない艦娘とお話をしていました。

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(4) 見慣れない艦娘は、五航戦の瑞鶴でした。 詳しい話はめんどくさいので聞きませんでしたが、運の悪い提督にしては珍しくデイリーで回した空母レシピが当たったようでした。 加賀さんは挨拶もそこそこに、今日の鍛錬をする事にしました。

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(5) 加賀さんは瑞鶴と、まあそれなりな距離感の関係を保っていました。 瑞鶴も、加賀さんの事は面倒見のよい先輩ですがプライベートでは関わりたくない感じと思っている様です。 それはさておき。 瑞鶴が鎮守府に着任してから数週間経ったある日のことです。

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(6) 「敵泊地に"鬼"と呼ばれる深海棲艦を確認した。諸君にこれを殲滅して貰いたい」 いつもはおちゃらけている提督ですが、この時ばかりは真面目な様子で(しかし碇ゲンドウが第一種戦闘配置って言う時のみたいなポーズ)言葉を発します。

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(7) そして、鬼退治作戦が発令されました。 作戦に参加する艦娘を提督が無い頭を捻って考えている最中、秘書官である加賀さんは進言しました。 「瑞鶴に任せましょう」 「それだ」 「えっ」 鶴の一声でした。 しかし瑞鶴にしてみればとばっちりもいいとこです。

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(8) 紆余曲折あり、結局何かこううまく言いくるめられた瑞鶴は釈然としないまま作戦の旗艦を務めることになりました。 提督は言います。 「随伴は瑞鶴が決めていいよ」 「えっ」 とても投げやりでした。

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(9) 瑞鶴は真っ先に随伴艦に加賀さんを選ぼうとしましたが、露骨に舌打ちされたのでやめました。 結局、翔鶴お姉さん(着任済みだった)、赤城さん(快諾してくれた)を指名しました。枠はのこり三つです。 瑞鶴は提督に鎮守府にいる全艦娘を集めさせ、こう言いました。

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(10) 「作戦に参加したい人ー」 会場が静まり返りました。 誰も手を挙げませんでした。 瑞鶴もこれには苦笑い。百人の内の一人くらいなら流石にいると思っていました。 作戦に参加したくない人を無理矢理引っ張って連れて行くなんて事は瑞鶴の性格上、出来ませんでした。

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(11) それから、まずは小手調べと言う事で瑞鶴、翔鶴お姉さん、赤城さんの三人で鬼退治作戦に出撃する事にしました。 海面に出た瞬間、翔鶴お姉さんの弓の弦が何故か切れてしまうというアクシデントがありましたが、なんとか作戦開始に漕ぎ着けました。

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(12) 「らしんばんまわすよー！」 妖精さんが高らかに叫びます。 瑞鶴は密かに「回すなよ…」と思いましたがぐっと堪えました。 羅針盤が指したのは東でした。 ずんずん進んでいくとやがて深海棲艦の群れが見えてきました。

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(13) 「会敵、軽巡2駆逐3！」 どうやら道中の雑魚戦の様です。 敵影を確認した瑞鶴が二人に告げました。 三人は頷き、開幕攻撃を仕掛け始めます。 それはもう本気の猛攻でした。三人が飛ばした艦爆があっと言う間に五体の深海棲艦を沈めました。

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(14) 「やりました」 赤城さんです。加賀さんの真似をしている赤城さんです。間違いなく今は慢心しています。 どうやらMVPだったらしく一人でキラキラしています。 赤城さんの事を褒めていると、どこからともなく艦娘が現れました。

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(15) 現れたのは軽巡球磨でした。 ドロップです。 「ずーいかくさん、ずいかくさん」 どこかできいたリズムです。 「お腰に付けた、きびだんご」 ここで瑞鶴は出発前に間宮さんがきびだんごを作ってくれた事を思い出しました。 「一つ、私にくださいな、クマ」

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(16) 軽巡球磨は自分のアイデンティティを崩すこと無く瑞鶴にきびだんごを求めました。 「いいよ！」 瑞鶴は自分でも存在を忘れていたきびだんごの事をどうして球磨が知っていたのか正直腑に落ちませんでしたが童話なので細かい事は放置することにしました。 球磨が仲間になりました。

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(17) 「クマも鬼退治に行くクマ」 本来、ドロップした艦娘は一度鎮守府に送還されるシステムなのですが、本人がやる気なのでこのまま作戦に連れて行くことになりました。即戦力です。ブラック企業が大好きな言葉です。 何はともあれ、艦隊は球磨を加えた4人になりました。

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(18) 進撃です。 「えー？らしんばんまわすのー？」 気だるそうな妖精さんです。 嫌なら回さなければいいのに、と瑞鶴は思いましたがここもグッと堪える事が出来ました。我慢強い子です。 「らしんばんは回す物じゃないクマ」 空気を読まない子もいました。

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(19) お構いなしに妖精さんは羅針盤を回し始めます。 「……あい」 羅針盤が指したのはまたもや東でした。 一行はずんずん東へ進んでいきます。 やがて、先ほどと同じように深海棲艦の群れが見えてきました。

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(20) 「全機発艦！」 脈略も無く、奇襲の如く声を上げ艦載機を次々と発艦させ味方ですらびっくりさせたのは赤城さんでした。 「ええ！？」 瑞鶴も思わず釣られて弓を引き艦載機を飛ばしていきます。 翔鶴お姉さんは真面目なので、取り敢えず敵艦隊の編隊を確認することにしました。

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(21) 翔鶴お姉さんは必死に敵編隊を確認しています。 「戦艦１、重巡２、軽巡３──」 そこまでは確認できました。しかし、その瞬間に二人の飛ばした艦攻と艦爆がすべての敵艦に猛攻を仕掛けていきました。 「撃沈確認しました……」 翔鶴お姉さんは溜息を漏らしながら悟りました。

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(22) 今回も赤城さんがMVPでした。やはり先制を打ったのが大きかったのでしょう。 「やりました」 デジャヴを感じさせる台詞を述べる赤城さんに若干の苛立ちを覚えた瑞鶴でしたが笑顔で耐えました。 「……あれは何だクマ？」 戦闘で出る幕が無かった球磨が何かを見つけました。

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(23) 球磨が指したのは、軽巡多摩でした。 ドロップです。 「ずーいかくにゃん、ずいかくにゃん」 またもやどこかで聴いたリズムです。 「お腰につけた、きびだんご」 「はいどうぞ」 「最後まで歌わせて欲しいにゃ」 同じやりとりをするほど瑞鶴も暇ではありませんでした。

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(24) 「多摩も鬼退治に行くにゃ」 まるっきり同じやりとりを経て、軽巡多摩が仲間になりました。 桃太郎の史実とは少し違いますが、クマとネコが仲間になりました。 「ネコじゃないにゃ」

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(25) 2戦消化しなお無傷の艦隊は進撃します。 羅針盤を回す役目の妖精さんが叫びます。 「はやくはやくー！」 「全機発艦！」 「「「「！？」」」」 何ということでしょう今度は赤城さん、あらぬ方向に艦載機を飛ばし始めたではありませんか。 一行は唖然とするしかありません。