艦これで落語「目黒のさんま」

今年も秋刀魚が美味かったので馬鹿馬鹿しい噺をひとつ。アイゼンさんの #大和は世間知らず に影響を受けております
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天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

『料理長、如何でした?』 『秋刀魚』 『はあ?』 『秋刀魚が食べたいと』 『いやそんな馬鹿な、大和さんが秋刀魚なんてご所望な筈がない。きっと聞き間違いだ、按摩か何かじゃありませんか』  按摩は食べられませんでしょうに。 #艦これで落語

2014-09-28 20:11:31
天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

で、再度お伺いしたところが、やはり、秋刀魚と仰る。さァ大変です。何しろお高い肉だの魚だの  お酒だのの備えはあっても秋刀魚の在庫なんてある筈がない。急いで本場、銚子の魚河岸に人を  遣りまして、どうにか秋刀魚を取り寄せる。 #艦これで落語

2014-09-28 20:11:58
天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

これを焼いてみると安魚の分際でまあ油が出るわ出るわ。 こりゃ油っこくていかん、なんて言って料理長、あろうことか蒸し器に掛けてすっかり油を抜いてしまう。 皮をはいでみれば何だこの小骨は、喉に刺さったら一大事だ、なんて毛抜き持ってきて一本一本 丁寧に抜いてくわけです。 #艦これで落語

2014-09-28 20:12:58
天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

当然グズグズになってしまって、ヨシじゃあつみれにしよう、ときた。 お椀にお吸い物をよそって、つみれを入れまして、これでどうだと出したわけです。 大和はウキウキしながらあの長皿におろしの添えられた黒いのが出てくると思って待ってます。で、いざ出てきたものはお椀ですよ。 #艦これで落語

2014-09-28 20:13:58
天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

『……こちらが秋刀魚ですか?』 『はい、お待たせ致しました』 アレおかしいな、と思いながらも、蓋を開けてみると確かにあのときの匂いがふぅん、とする。 はいこれです待ってましたと食べてみますが、まあ不味くはないでしょうがあの時とは全然違う。 #艦これで落語

2014-09-28 20:14:32
天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

何しろ秋空の下、心地よい風の中、一番に旬の時期の焼きたての秋刀魚です。今度は本場のったって旬も過ぎて、油も落とされた秋刀魚のそっぽ殻でございますからね。出し殻。何も残ってはおりません。 #艦これで落語

2014-09-28 20:15:14
天話@ここが僕らのユニバース @amawa87

『あの、失礼なのですが、こちらの秋刀魚は何方で取り寄せられたものですか?』 『は、人を走らせまして、千葉は銚子沖の本場モノでございます』 『何と、これが、銚子ですか。それはいけません』  『やはり秋刀魚は、目黒に限ります』  お後がよろしいようで。 #艦これで落語

2014-09-28 20:15:49