日本海沿岸で発生した怪死、二つ目の事例

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アドリア海2 @phortl

『これらの事例を一つ一つ注意深く回収していきさえすれば、ロベカル氏の死が決して単なる事故で片付けられる域になかったことは、もはや誰の目にも明らかでしょう。さらに、同じく彼の取り巻きから得られた話によると、ロベカル氏は死の1ヶ月ほど前からとかく涙もろくなり』

2014-10-07 08:28:53
アドリア海2 @phortl

『いきなり将来の夢について語りだしたり「明日も生きていたいなあ」などと呟いては人目もはばからず嗚咽を漏らすことなどもあり、周囲のものはその精神の不安定性に一抹の不安を覚えていたそうです。夢を語る人間が自殺をすることが考えられましょうか?』

2014-10-07 08:32:05
アドリア海2 @phortl

『人はこの世のすべてに希望を失い、愛想を尽かし、流す涙も枯れつくした際初めて自らの生命を絶つことができるのです。従いまして、涙ながらに明日の生を希ったロベカル氏が自殺することはありえません』

2014-10-07 08:42:41
アドリア海2 @phortl

『第二の犠牲者はネット上におけるニックネームを特にもってはおりません。彼は長らく無職生活を送っていたのですが、死の5ヶ月ほど前に何らかの契機のもと一念発起して上京し、キャバレーの従業員や看板持ちなど裏の職業を転々としながら細々と生活していたようです』

2014-10-07 09:03:10
アドリア海2 @phortl

『その間、身元保証人なしでも契約できる、「レンタルルーム」と呼ばれる2畳程度の物置のような賃貸部屋に寝泊りしており、十分なネット接続環境を持ちえていなかったものと思われます』

2014-10-07 09:28:56
アドリア海2 @phortl

『ただ彼を知る一部のものからは、「文学少年」と呼ばれていたことから、これを本告発記事における彼の仮称といたしたく思います。これは彼が休みになると喫茶店に入り浸り、カバーの掛けられた本を熱心に読みふける姿がよく目撃されていたこと』

2014-10-07 09:32:09
アドリア海2 @phortl

『および彼の容姿が年齢不相応に幼く見えるものであったことに由来しています。ただ、問題の知人が一体何を呼んでいるのだろうとその背後に回ってみると、カバーに隠された本の正体は大概は漫画の類であることが常だったようで、精神面にも少なからず未成熟な部分を抱えた人物であったことが伺えます』

2014-10-07 09:36:42
アドリア海2 @phortl

『この「文学少年」が亡くなったのは今から3ヶ月前。彼の亡骸はどういうわけか遠く離れた北海道の石狩湾にて、溺死体となって発見されました』

2014-10-07 09:44:02
アドリア海2 @phortl

ただ「文学少年」の体内からは数多くの淡水プランクトンが検出されており、実際の死亡現場は湾内ではなく、これに注ぎ込む石狩川下流のどこかであったものと見られております。彼の事例もまたろくな捜索を尽くされることなく、一方的に事故死の烙印を押され現在ではほぼ闇に葬られた状況にあります。

2014-10-07 18:06:36
アドリア海2 @phortl

『これには「文学少年」の置かれた孤独な境遇が少なからず影響しているように思える節もあります。彼は社会内においていかなる地位も築き上げることができておらず、また故郷に両親はいたもののほぼ絶縁されたような状態が続いており』

2014-10-07 18:14:12
アドリア海2 @phortl

『彼の死の経緯をより詳細に穿り返す旨捜査機関に多少なりとも圧力を掛けくれるような存在は皆無でありました。その意味で彼はホームレスとなんら変わらず、警察の杜撰な怠慢捜索を罷り通らされる憂き目にあったのです。彼がもし有力者やその子弟たれば、状況はまた違ったものになっていた事でしょう』

2014-10-07 18:21:42
アドリア海2 @phortl

『関東在住の大の大人が、北海道の河川で溺死体となる、これはどう考えても尋常な出来事ではありえません。そもそも、彼がなぜ北海道の日本海沿岸にまで足を運んでいたのかということから考えはじめなくてはならないのですが』

2014-10-07 18:31:04
アドリア海2 @phortl

『「文学少年」は運命のその日まで不安定な就業状態がたたってか、しきりに「金がない」「金がない」と周囲の人間へ金銭の借り入れを繰り返しており、加えて死亡推定日を含めその前後に彼のバイトシフト上の希望休暇は一日半しか入れられておらず、』

2014-10-07 18:44:46
アドリア海2 @phortl

『その渡航が決して楽しい楽しい観光旅行でなかった事は明らかです。では、彼の渡道動機が一体どこにあったのかという事については、やはり先ほど申し上げた「文学少年」の知人にして、実際のところその名付け親でもある、喫茶店店主の証言が重要な参考価値を持つものと思われます』

2014-10-07 19:03:33
アドリア海2 @phortl

『店主の話によると、「文学少年」が北海道に渡り命を落とすこととなったその8日前の夕刻ごろ、彼はその店を訪れ例のごとく新刊のコミック本を読みふけっていたそうです。そしてそれが、「文学少年」の最後の来店ともなりました』

2014-10-07 19:18:53
アドリア海2 @phortl

『「文学少年」が店に入ったのが午後5時過ぎ。それから1時間が経過した午後6時過ぎには急な土砂降りが発生し、店内は深夜のような暗がりに沈みました。店主は灯りをつけつつ、この天候では今日これ以降の客入りは望めないだろうとため息をついたとその時の様子を回想しております』

2014-10-07 19:22:30
アドリア海2 @phortl

『ところがその数分後、雨のカーテンをかき分けつつ、一人の男が入店してきました。その男は「文学少年」の知り合いなのか、真っ先に彼の隣に腰掛けると、二言三言語りかけ、「文学少年」もまたはっとしたような顔をしてそれに応じたとの事です』

2014-10-07 19:30:11
アドリア海2 @phortl

『結局その後、閉店間際にいたるまで、同店内における客は彼ら二人だけという状況が続きました。そのため彼らのやり取りの部分部分は、店主の記憶に強烈に残ったとの事です』

2014-10-07 19:49:11
アドリア海2 @phortl

『新たに入ってきた問題の男は痩せ型の長身で、年は30代半ばごろ。頭部にはファッションのつもりなのかバイク用のゴーグルをつけたままにしており、その風貌を店長は「コンドルのようにシャープだった」と語っております』

2014-10-07 19:53:23
アドリア海2 @phortl

『これをもととして、本告発記事では、この男へ「コンドル男」の仮称を与えることとします。「文学少年」と「コンドル男」は顔を寄せ合い、長らくひそひそ話しを続けていたそうです。途中二度ほど飲み物のお代わりを行いましたが、両者ともに同じ商品を注文し』

2014-10-07 19:56:31
アドリア海2 @phortl

『店主は何やら薄気味の悪いものを感じたといいます。店主は方や彼らの関係や会話の内容に興味があり、さりとてその下心を悟られる訳にもいかず、食器を磨いているふりを装いながらこぼれ伝わる言葉を盗み聞きしていたのですが、その本筋はどうやら何らかの商談であったようだとの印象を得たそうです』

2014-10-07 20:10:12
アドリア海2 @phortl

「俺本当に金なくて」 「いろいろ返さないといけなかったりして」 「ほんと困ってるんで」 「なんとかなりませんかね」 「なんとかしてくださいよ」 「お願いしますよ」 「威光みしてくださいよ」

2014-10-07 20:13:18
アドリア海2 @phortl

『はじめは「文学青年」がごまをすりつつ、「コンドル男」に金の無心を続ける展開が続いたようです。字面だけ追えば見苦しいのですが、彼の物乞いにはその童顔もあいまって妙に母(父)性本能をくすぐる部分があったらしく』

2014-10-07 20:25:12
アドリア海2 @phortl

『そうやって道化を演じ媚を売りつつ、「文学少年」はその日までどうにかこうにか生存してきたのであろうと、喫茶店の店主は感想を残しています。対する「コンドル男」は半笑いの状態でこれを受け流しながら、 しかしながら徐々に抜け目のない表情になっていき』

2014-10-07 20:32:08
アドリア海2 @phortl

『「稼がせてあげましょうか?」と言ったそうです』

2014-10-07 20:34:30