忠義

Be with youを元に
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クラゲ @04kurage

#89 from忠義 ① 歩道に並んだ不揃いな二つの影 寄り添う様に伸びてゆく 田舎から出てきた二人には 恐怖すら感じる慌ただしい街の中 流されない様に手をギュッと二人握った 『すごいねー。ビル高い!』 何てはしゃいだ彼女 「ずっと二人で頑張って行こうな」 って約束をした

2014-09-18 19:38:51
クラゲ @04kurage

#89 ② 少し古いし 少し狭いけど 二人いつでも寄り添っていられる 二人でキッチンに立って 二人でギュッとくっついて眠る それだけで二人幸せだった でも街を歩けば 常に人混みが流れていて 携帯電話を手に急ぐ人ばかり そんな光景に悲しくなって 彼女の名前を読んだ

2014-09-18 19:56:20
クラゲ @04kurage

#89 ③ 『ねぇ忠義!今金木犀の匂いしなかった?!』 「え?そうか?」 その時吹いた風が 懐かしい匂いを運んできた 「あ!今した!高校の校庭にあったよな!」 『うん!なんだか嬉しいねー』 夏から秋 秋から冬へと 新しい季節へ色が変わっていく

2014-09-18 20:21:24
クラゲ @04kurage

#89 ④ ーー5年後 『忠義!お弁当忘れてる!』 「あ、ありがとう!ほな行って来ます」 『行ってらっしゃい!』 彼女の声が笑顔があるだけで俺は前をみて歩ける どんな彼女の過去も明日も二人で分かち合いたい だから今日も帰ってくるから待っててほしい ただそれだけやってん…

2014-09-18 20:52:01
クラゲ @04kurage

#89 ⑤ 俺は就職して今ではそこそこのキャリアを積んだ 彼女も働きながら夢の為に勉強していた でも最近勉強してる姿も無い それどころか何か隠してる感じやねん 「なぁ、最近何かあった?」 『えっ⁈何も無いよ?』 少し戸惑った彼女 やっぱ何か変やと思った

2014-09-20 06:40:45
クラゲ @04kurage

#89 ⑥ 「ただいまー」 『お帰りー』 「なぁ、これ」 差し出したんはさっきゴミ置き場で見つけた彼女のテキスト 『もういらないから捨てた』 「なんで?ホンマはこっちがやりたいんやないん?」 『いいの。今が一番いいから』 何て言った彼女 「よくないわ!」

2014-09-20 06:41:05
クラゲ @04kurage

#89 ⑦ 初めて喧嘩して 初めて背を向けて眠った 両親が居らんくて祖父母に育てられてた彼女 近所の誼で一緒に育った俺ら 俺がこっちの大学行くって言ったら 彼女も『私も行きたい』って言った ふと匂った金木犀の香り 色んな現実がある中で彼女も色んなもん見てきたんやな…

2014-09-20 06:41:16
クラゲ @04kurage

#89 ⑧ 変わりたく無くても変わらなあかん時もある でも変わらへん物もあるならそれを大切にするんが俺の役目や 「ただいま」 『お帰り…』 「ちょっとええ?」 『うん…』 ソファに座る俺 ラグに座った彼女 「この前お婆さん亡くなってさ私一人やって思ってる?」

2014-09-20 06:41:29
クラゲ @04kurage

#89 ⑨ 「それ間違えやから」 『私は…』 「ずっと二人一緒って言ったやん。それは変わらへんやろ?」 『うん…』 「俺も変わらへんから。ずっと一緒に居たい。やからさ俺とさ…ん…あれやって」 直前で恥ずかしくなって口ごもる俺 『ふふふ…』 それ見て笑った彼女

2014-09-20 06:41:39
クラゲ @04kurage

#89 ①⓪ 「そうやって笑ってて?辛い事とか全部一緒に背負うから」 『忠義…』 涙をながす彼女をソファから降りて抱きしめた 「結婚してくれる?」 頷く彼女 「あと、これ」 差し出したテキスト 「夢はいつか叶えたらええやん。諦めんといて?」 『忠義…ありがとう』

2014-09-20 06:43:35
クラゲ @04kurage

#89 ①① 二人でやから 二人でなら 乗り越えられるものいっぱいある それを知ったのは彼女の笑顔があったから 何があってもずっと守っていくから ずっと隣で笑っていてほしい どんな明日でも end… pic.twitter.com/pPJHDFQWdl

2014-09-20 06:52:46
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