フォロワーさんの好きな要素を詰め込んだSS:「幸せなひとときをどうぞ」
- simanezumi88_n
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酔っ払った勢いで、 #フォロワーさんの好きな要素を可能な限り詰め込んだショートストーリーを書く のSSを出来るところまで投下します。 ・吹雪ちゃん ・飽和攻撃 ・ラジオ番組 ・叢雲 ・川内さん ・やさすい ・リグル ・厄神様カワイイ もらったお題は以上、ぬははははは
2014-10-18 20:20:40その時、非番の吹雪は自室でラジオ番組を聞いていた。お気に入りのポップスが流れ、とめどないMCがうららかな午後の太陽と共に眠気を誘う。なんという事のない穏やかな秋晴れの日。これで焼き芋があれば完璧だ。 1
2014-10-18 20:23:11駆逐艦・吹雪。彼女はほぼ等身大の兵器を装備し、海原を駆け巡り、人外魔境の魔物たちと戦う者の一人。頼れる提督の指揮の下、数々の戦いに明け暮れてきた歴戦の戦士であり、そして年頃の女子でもある。 2
2014-10-18 20:25:52今日はのんびりと過ごせるだろう。彼女はそう考え、うつらうつらと眠気に身を任せ、舟を漕ごうとしていた。だが、世の中どうしてそうは問屋が卸さないものだ。 3
2014-10-18 20:29:19騒々しく廊下を駆けて来る足音。やがて…バタン!けたたましいドアの開放音と声。「ちょっと吹雪!寝ている場合じゃないわよ!」「…えぇ…?」寝ぼけ眼をこすりつつ、ドアを開けた主を見る。同じ駆逐艦の叢雲だ。「何…?何かあったの?」 4
2014-10-18 20:32:05「大変なのよ!川内だけが遠征から帰ってきていないのよ!他のみんなはいるのに!」吹雪の体内で一気に血流が加速する。「なんですって!?」「こうしちゃいられないわ!早く他のみんなにも伝えなきゃ」バタバタと叢雲が他の非番の子へ向かう。「大変よ…!」 5
2014-10-18 20:35:30同刻。幻想郷と呼ばれる土地においても騒ぎが持ち上がっていた。リグル・ナイトバグという、虫の妖怪である少女はその時、ススキの生い茂る秋の荒野でぶつぶつと、虫の権利について考えていた。だがしかし、彼女が虫どころか世界の事までも考えねばならなくなるとは、一体誰が思い至るであろうか。 7
2014-10-18 20:38:47その瞬間のことを彼女は良く覚えている。ススキがざわりと風に吹かれた瞬間に、突然、幸せにならなければならない!と思ったのだ、と。それを見つめる瞳。赤いワンピース姿の少女。鍵山雛。またの名を厄神様。厄神様は頭を抱え、リグルへと近付いていった。 8
2014-10-18 20:42:08「幸せになりたい!」厄神様が近づくや否や、リグルが豪快なキックを厄神様へ放つ。あわてて飛び退り、これをなんとかかわす厄神様。「ご、ごめんなさい、勝手に体が動いて」「いいのよ別に。…貴方も幸せになりたいの?」「えっ、そうだけど」厄神様が満面の笑みを浮かべ、リグルへにじり寄る。 9
2014-10-18 20:45:46頭の片隅では不穏なものを感じながらも、リグルもまた厄神様へ一歩踏み出す。(私、どうしたのかしら)ふと厄神様の手元を見ると、見慣れぬ容器を抱えている。「気付いた?幸せの飲み物」厄神様が躊躇なくその容器の蓋を空け…、リグルの口元へ突き出した。 10
2014-10-18 20:49:40その瞬間!二人は遠く遠く彼方へ飛び立っていった!気付けば周りは虹色、天も地もない、サイケデリック曼陀羅時空!なにこれ!どゆこと!あはははははは!でもきもちいい!あはははははははははははははは!ウィーアーインザスペース! 11
2014-10-18 20:51:48気付けば二人の前に、見慣れぬ少女たちがいることに気付く。「初めまして、私は川内。さあ、野戦しよ!」川内と名乗った少女がおもむろに頬を赤く染め…リグルの首へ手を回す!「えっなに、なんなの」厄神様はというと…「やった!みんな幸せ!」厄神様カワイイ!もうダメだ! 12
2014-10-18 20:55:43カモメがミャーミャーとやかましい。一面の青にぽっかりと浮かぶ緑色。川内がいなくなったという、資源調査中の島だ。吹雪と叢雲を先頭に、捜索隊の一行が辿り着く。 14
2014-10-18 20:59:56「川内ーっ!どこにいるのーっ!」吹雪が島の砂浜へ上陸し、口に手を当てて叫ぶ。いるのーっ!いるのーっ!いるのーっ…。だがしかし、叫んでも空しく辺りに響き渡るだけ。「…なんで島でこんなに声が響くわけ?」 15
2014-10-18 21:03:45叢雲が砂浜から足を進めると、奥の森の方へ向かって何かが落ちているのが目に留まる。黒い手袋。「川内の手袋じゃない…!」一目散に捜索隊が森の方へ走り出す!「川内ーっ!」茨や虫が彼女らへ次々とぶつかるが、お構いなしに奥へすっ飛んでいく! 16
2014-10-18 21:06:47「せん・・・!」森の奥深く、ぽっかりと開けた草むらに川内は倒れ…寝ていた。「…寝ているわね」「スー…えへへ…やせん…」涎を垂らしながらごろごろと寝返りを打つ川内を、げんなりしながら見つめる一行。「…幸せそうね」 17
2014-10-18 21:10:18川内の手元に、見慣れぬペットボトルがあった。「やさすい…?」それを見た瞬間、吹雪と叢雲はめまいに襲われた。不吉な文字!不吉な彩り!二人はうっと声を上げる。だが、互いに視線を交わし、無言で頷きあった。二人は意識をあえてめまいに委ねる。 18
2014-10-18 21:13:21「うう…気持ち悪い…」「なんなのよ、これ…」どれ位、ブツクサと不満を呟いていただろうか。ふと気づけば、周りは虹色、天も地もない、サイケデリック曼陀羅時空。「あれ?吹雪?叢雲?なんでここに?」川内が笑っている。「なんでじゃないわよ!さあ、早く帰るわよ!」叢雲が叫ぶ。 19
2014-10-18 21:17:01だが、吹雪が川内と一緒にじゃれ合って…側にいる少女二人の姿に気づく。「誰ですか?」赤いワンピース姿の少女がこちらに気づく。「あら、人間?私は雛、あなたたちの味方よ」ぐったりと倒れていた緑の髪の毛の少女もこちらに気づく。「私はリグル…」 20
2014-10-18 21:21:47「私は吹雪です」「叢雲よ」全員の挨拶が済み、あらためて吹雪と叢雲は雛と名乗った少女の手元を見る。…やさすいのペットボトルだ!「あの、ところで、それは…?」恐る恐る吹雪が、引きつった笑いを浮かべながら雛へ問いかける。 21
2014-10-18 21:26:12満面の笑み。吹雪はぞっとした。「たまたま立ち寄った神社に落ちていたの。ねえ、幸せになろう?」雛がにじり寄る。「…そんなに幸せになりたければ、あなた一人でこれを飲んでなさいよ!」叢雲が雛へ何かの液体をかける。やさすいだ! 22
2014-10-18 21:29:34