ダイハードテイルズ　【ペイルホース死す！】#2

ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「ヤメロ！」叫び声が聞こえた。キャプテン・デスが捻じり開けた隔壁から乗り込んできたギャスが発した声だった。何をやめさせようとしたのか、彼自身にもわかるまい。「頭（かしら）が死んだら俺はオシマイだ！どうにかしやがれ！」キャプテン・デスが握力を強めた。少年の目が真っ赤に充血した。43

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少年は……真っ赤に染まった視界……少年は死ぬつもりはなかった……真っ赤に染まった視界……赤い……赤い！震える手を動かす、おお……。 44

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覚醒したキャプテン・デスの目に入ってきたのは、テントの天井だった。彼はテントから飛び出した。朝だ。不可思議な、主観の重なりあう夢、その内容を彼ははっきり記憶していた。彼は吐き気を催し、テントの裏で嘔吐した。「大事ありませんね？」ピオが飛び来たり、声をかけた。 45

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「平気だ」キャプテン・デスは振り返り、ピオがブリンクアウトさせた飲料水のボトルを受け取り、口を濯いだ。「夢を見た」「悪い夢ですか」「悪い夢だ」「何をなさっているのです」枯れ木を地面に重ねるキャプテン・デスに、ピオが問うた。「火をつけたい」「……」ピオが小規模の熱線を照射した。46

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「何やってンだ？頭」ギャスが腹をかきながら身を起こした。彼が目の当たりにしたのは、鍋を火にかけるキャプテン・デスだ。キャプテン・デスは彼を見た。「朝食を……」「アア？粥？バカみてェにシケた真似してやがる」「麦なら幾らでも手に入る」キャプテン・デスはためらいがちに説明した。 47

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「ペッ」ギャスは草地に唾を吐き、離れていった。ザラカは夜中からずっと枝の上にいる。主の行動を眺めているが、声などかけはしない。ウンブダの姿はない。どこか近くに居る事は確かだ。主を捨てれば、制裁が下る。「うまそうだ」声をかけたのはミメエである。「アタシにもくれないか」48

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キャプテン・デスは言葉を探した。やがてボゾが往復移動をやめて闇の中から出てきた。興味深げに鍋と粥を見た。キャプテン・デスは頷き、椀に粥をよそった。ひとまず、ボゾと、ミメエと、彼自身の分を。自分が言い出した事でありながら、ミメエは呆気にとられたようだった。ボゾは無表情だった。49

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【ペイルホース死す！】#2 終わり。#3 に続く