《朝が降る》

おーくらさんのやつです。
17
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 1 頭の片隅に鈍い痛みを感じて、目が覚めた。 天井がぐらり、と揺れる。 あー。 最悪や。二日酔い...。 猛烈な渇きを感じて、ベッドから上半身を起こした。

2014-06-13 23:28:46
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 2 ......!? ベッドの右側に不自然な膨らみがあって。 え...。 おそるおそる布団に手をかける。 「ん...」 唸り声がして、膨らみがもぞっと動いて...顔が見えた。

2014-06-13 23:28:52
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 3 え...!!! 膨らみの正体はあの女で...。 当然のように全裸だった。 はぁ!? 何、これ、夢...? あの女はしかめっ面で、乱れた黒くて長い髪を邪魔そうに払って、また眠りに入った。

2014-06-13 23:28:59
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 4 まさか、と思って自分を確認すると...。 うわ.......。 サイッアクや。 最悪や。 ...全っ然覚えてへん。 って俺の服どこ?

2014-06-13 23:29:07
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 5 ゴソゴソやってると、突然声がした。 「今、何時ですか?」 「え」 振り返ると、あの女が布団の中から俺を見てる。 「いま、なんじ、ですか?」 聞こえてないと思ったんか、単語をいちいちはっきり発音する。

2014-06-13 23:29:14
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 6 ちっ。 そーゆーとこが好かんねん、この女。 「八時半」 床に落ちてた腕時計で確認する。 あの女は返事もせんと、ふーっとため息をついた。 「シャワー、借りてもいいですか?」

2014-06-13 23:29:21
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 7 「はぁ...どうぞ。...あ、そこ、出て右」 あの女は起き上がってきょろきょろして、 「そっちにないですかね」 「は?」 「下着」 辺りを見渡して、何の装飾もない色気のない黒いブラジャーを発見して手渡した。

2014-06-13 23:29:29
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 8 あの女はすいませんって言って、布団の中でゴソゴソして、床に落ちてた白いシャツをはおってさっさと部屋を出てった。 はぁ.......。 何これ。

2014-06-13 23:29:35
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 9 昨日は...。 二度目の舞台稽古の後、雑誌の取材があった。 厳しい監督やとは聞いてたけど、噂以上で。 俺がセリフを言ったり、動いたりする度に、ヘタクソ、やめちまえ、ギャラ泥棒、あらゆる限りのバリエーションの罵詈雑言を浴びせられた。

2014-06-14 22:36:52
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 10 そりゃショック...っていうのもあるし、じゃあ何で俺にオファーしたん?ってムカつきもあるし、でもちゃんと出来てないのも事実で、情けないっつーか自分が歯がゆいとゆーか。

2014-06-14 22:36:59
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 11 とにかく、そんな最低のテンションで取材を受けた。 俺らがまあ、よく出てるような、いわゆるアイドル雑誌で、来月公開の出演映画についての単独インタビュー。

2014-06-14 22:37:05
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 12 取材の後、なりゆきで食事に行くことになってしまって。 雑誌の編集長と、あの女と、チーフマネージャーと、俺。 四人で、麻布の中華料理屋に行った。 で、腹立ち紛れにかなり飲んだ...気がする。 覚えてんのはここまで。

2014-06-14 22:37:15
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 13 んで、この状況は...。 まぁ...そーゆーこと、なんやろな。 や! 待てよ。 かなり酔ってたし、未遂ってこともあるんちゃう...? はは...。 そやそや。未遂や。

2014-06-14 22:37:21
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 14 彼女と別れて二ヶ月、いくら溜まってたとは言え、さすがにあんな、色気もへったくれもない女相手に勃つとは思えんし。 その証拠にさ、さっき、下着に白シャツってフツーのコがしたら三割増しのかっこしてても、俺の息子さんはピクリともせんかったやん。

2014-06-14 22:37:27
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 15 そもそも俺はもっと、わかりやすくキレイで華やかでセクシーなコがタイプやねん。 ははは。アホらし。 水を飲みに行こうとして勢い良く立ち上がると、床に落ちてた何かで滑って、派手に転んだ。 いったぁ...。 何もう?

2014-06-14 22:37:33
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 16 フローリングと同化した、おそらくあの女の、あちこち伝染したストッキング。 腹立つわ、ほんま。 ストッキングをベッドの上に放り投げようとして...。 ピカピカってめまいがした気がして、一気にフラッシュバックした。 昨日の夜のこと。

2014-06-14 22:37:42
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 17 ストッキングを破ったのは、他でもないこの俺で...。 あの女は俺の上で腰を振ってて、長い黒髪が汗ばんだ首筋にへばりついてるのが、古いポルノ映画みたいで妙にエロくて、俺は異様に興奮してた。

2014-06-14 22:37:51
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 18 下から激しく突き上げて。 動きに合わせて揺れる、意外に大きな白い胸。 荒い息遣い。 喘ぎ声。 ぐちゃぐちゃいうやらしい音。 そのままふたりで登りつめて、同時に果てた。 .......。 うわ...。 ...ヤってもーてるやん、俺...。

2014-06-14 22:37:56
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 19 寝室のドアを開ける。 玄関から寝室に向かって落ちてるTシャツとベルトとジーンズを順に拾い上げて...。 ため息が漏れた。 .......。 って...勃ってもーたし。 ほんまにサイッアクや。

2014-06-14 22:38:03
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 20 なんとなく手持ちぶさたで、強にした換気扇の下でタバコに火をつけた。 長いこと担当してた前の編集さんが異動になって、後任で来たのがあの女で。 暗くて、地味で、真面目。 これがあの女の印象やった。

2014-06-15 22:20:12
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 21 んで、こんなこと思ったん俺だけかもしれんけど、感じ悪いなぁって。 こっちも取材されんのはプロなワケやし、ほんまに興味持ってくれてんのか、ただ聞かなあかんから質問してんのかはなんとなくわかる。 あの女は明らかに後者やった。

2014-06-15 22:20:18
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 22 初めて会ったとき、撮影が終わって喫煙ルームで一服してると、あの女が入ってきて。 俺に気づくとめっちゃびっくりした顔をした。 「タバコ吸うんですか?」 「え、あ...はい」 「え、歌手ですよね?」

2014-06-15 22:20:26
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 23 ...痛いとこ突くな。 黙ってると、 「ごめんなさい。そういうんじゃないですよね」 ふっと笑ってそう言った。 カチンときた。 あなたたちのはお遊びの歌でしょう? そう言われた気がして。

2014-06-15 22:20:33
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 24 「あの」 「はい?」 「興味ないでしょ。俺らに」 「え?」 「別にええけど」 タバコをもみけして、そのまま部屋を出た。 何でやろ。 いつもはそんなことくらいでイライラしたりせえへんのに。 何かこん時は...癪に触ったんよなぁ。

2014-06-15 22:20:40
hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《朝が降る》side-A 25 しかし...まずいことになった。 定期的に顔合わさなあかん女に手ぇ出してもーた。 しかももちろん、全くその気はない。 ごねられたら敵わんぞコレ...。

2014-06-15 22:20:51
1 ・・ 9 次へ