天李のオリジ&二次で小噺。

ひよこ @skyplumpot

魂が飽和する。溢れていく、伝う、雫。気付いて君は、驚いた顔で僕に手を伸ばした。理解する。僕は僕を維持することが出来なくなって、端から壊れて欠けていく。「忘れて、忘れないで、」どっちが本当の願い？思考すら、壊れてゆく。「ぼくはきみがだいすきだって、」僕の声は、君に届いたんだろうか。

ひよこ @skyplumpot

「かえりなよ」そう言って背中を押した刹那、川向こうへあっさりと境界を越えてしまう彼。ほら、君はまだ戻れるじゃないか。僕と違って。「待ってるからね」聞こえたのか、分からない。それはどうでもよかった。ただ君が、其処にあってくれるのならば、僕はそれだけでもう十分幸福なんだろう。

ひよこ @skyplumpot

たとえば。たとえばオレがボンゴレ十代目じゃなくて、ただの「沢田綱吉」だったとしたら、君はオレの事を名前で呼んでくれるかな。それとも、最初から道が逸れちゃって出会えないのかな。女の子みたいだけど、君とオレの小指に同じ糸が結ばれてたらいいな、って馬鹿みたいなことを思っちゃうんだ。

ひよこ @skyplumpot

銃口を向けると、相変わらずの感情が読めない笑顔でホールドアップ。全く、冗談にしても本気にしても、付き合ってられない。「次があったら、その脳天に風穴を開けてあげるわ」「貴方のそういうところ、嫌いじゃありませんよ。寧ろ好きです」その告白、もうちょっとデリカシーがあったらいいのに。

ひよこ @skyplumpot

好き。……本当よ？私は他の誰よりもあいつを好きでいる。――そうね、愛してるわ。馬鹿馬鹿しいことに。…………どうして、素直に伝えないかって？馬鹿ね。そんな言葉を吐いて、あいつを思い上がらせたくないだけよ。それに……言わなくたって、あいつは分かっているもの。（結局ノロケじゃん、蓮華）

ひよこ @skyplumpot

愛してる。うん、愛してるよ、貴昭の事。そんな、理由っていわれても困るけど。……でも思うことがあるんだ。貴昭があたしの事を愛してくれたから、あたしも誰かを愛せるんじゃないかって。人形だったあたしを、貴昭が人間にしてくれたんだ。お伽噺みたいだけど。（挫折した）

ひよこ @skyplumpot

【1818?】どうしても、この人は苦手だ。何があろうと常に穏やかに笑って、その癖全部お見通しでいる。今も、そう。「お久しぶりです、元気そうですね」独特の呼吸法で息を吐いて、にこりと、淡く笑む。「……あなたもね」何年経っても変わらない、追いつかない、敵わない――とおい、ひと。

ひよこ @skyplumpot

あいつなんて好きじゃない。頼みもしないのに関わって、首突っ込んできて。あたしが危ない橋ばっかり渡ってるって怒って、その癖自分もその橋を渡りだして。危ないって言ってんのはアンタじゃん。なんでついてくるの？ホント、訳わかんない。あいつも、あいつにドキドキするあたしの心臓も。

ひよこ @skyplumpot

【1827】睨みつければ怯えるくせに、ちょっと甘やかして懐柔すればすぐに懐いてきた、こども。最近僕は調子を狂わされてばっかりだ。咬み殺してやりたいのに、どうもこのこどもにはできない。本気を出せば逃げられるし、けど、また不意に寄ってくる。一体君は僕をどうしたいんだい？

ひよこ @skyplumpot

【1833】五月蝿い、と頭を叩いたら僕の手が痛くなった。この石頭、貶せばどこぞの誰かに芝生、と称された短髪を撫でて彼は笑う。「俺も痛かったぞ！」それは笑顔で言うことじゃない。「それはそうと、お前の手は大丈夫なのか？」生憎と、そんなやわじゃないよ。君につられて僕も笑んでしまった。

ひよこ @skyplumpot

【1859】口元に咥えた棒。風紀が乱れてる、と咬み殺そうと思ったら、それは煙草じゃなくて棒付きのキャンディだった。拍子抜けした僕に、からかう様な声が降る。「これなら良いだろ？」ムカつくから一発殴って、告げる。「制服改造は校則違反だよ」結局、関わる理由が欲しいだけ。

ひよこ @skyplumpot

【1869】ほんとに気に食わない。なんでこいつはこんな飄々と逃げおおせて、追ってもその影すら掴めないんだ。「何がしたいの」霧に消える影に問う。「君と、遊びたいのですよ」それだったらタイムリミットで逃げずに、本当の君の身体でおいで。思う存分、咬み殺してあげる。

ひよこ @skyplumpot

【1880】自分から寄ってくるのは当たり前の癖に、僕から寄ると面白い位狼狽する。慌ててどもる声が面白いから、試しに喉元に咬みついてみた。途端上がる、悲鳴。振動が僕の唇に伝わる。「いつも君がやってるのを真似てみただけだよ」やられっぱなしじゃ、面白くないでしょう？

ひよこ @skyplumpot

ひとつだけと、指切りを交わした。あの時の君はもうどこにもいないけれど、僕は覚えている。たとえ君が君でなくなってしまっても。だから、怖がらなくていい。世界は、もうあの頃のように広くは無い、自由に飛び回りなんてできない。けれど、狭くていいんだ。君から、離れずに済むから。【パロ案（没】

ひよこ @skyplumpot

あの子は、欠片だったんだよ。心を壊され砕かれて、バラバラになってしまったそれらを繋ぎ合わせて、そうしてどうにか生きていた。僕はね、あの子に――あの子に、しあわせになってほしかったんだ。償ったって、僕達の犯してしまった過ちが消えるわけじゃないけれど。（雲雀さん視点って楽よね。）

ひよこ @skyplumpot

【2701】見守られている。そう感じるから、きっとどこまでだっていけるんだ。「好きにしろ」と言ったあの人は、どこまでも優しくて、まっすぐだった。その意思を、炎を継いで、オレはオレの守りたいものを、この手に抱きしめる。それが大空なんだと、あの人は微笑ってくれた。

ひよこ @skyplumpot

【2718】小鳥の鳴き声に空を見上げれば、応接室の窓から見下ろす雲雀さんと目が合った。「何をしているんだい」凛とした声が、オレに向けて降ってくる。答えを待たずに、更に一言。「暇なら相手してあげるよ」……どっちの意味で？不安を抱えても応接室へ向かってしまうのは、ただ、会いたいから。

ひよこ @skyplumpot

【2724】「何だかんだいってリボーンはオレに優しいよな」「何だ、スパルタが足りねえのか？」「誰もそんな事は言ってないって！！……たださ、お前は何だかんだ言っても、オレを信じてくれるから。ありがとな」「……オレは一流のカテキョーだからな。どんなダメ生徒でも育てるんだぞ」「…うん」

ひよこ @skyplumpot

【2727】あまりにも弱く脆い「オレ」を守ろうと、浮かび上がったのが始まりだった。優しすぎるお前が、どうか悲しい顔をしないように。そう、願い続けて――けれどお前はその優しさゆえに、あまりに暗い世界におちてしまう。どうか、どうかお前の涙が減りますように。例え、この声が届かずとも。

ひよこ @skyplumpot

【2759（遅刻）】遅れました、と息を切らす獄寺君は申し訳なさそうにオレを見て、また謝った。本日五度目。オレと獄寺君が会ってからまだ一分も過ぎてない。「獄寺君」「……はい」手を握るとすぐに頬を赤く染めて、そんな獄寺君にオレは笑った。「おはよう」謝るより、こっちの方が先だろ？

ひよこ @skyplumpot

【2769】冷たい、水の夢を見る。お前の居る牢獄はあまりに寒くて冷たくて、それがオレに伝染してしまうのだと、思う。「僕を助けたいのですか」お前はいつか、そういってオレを愚かと笑った。あの時は答えられなかったけど、今なら言える。オレはお前を助けたいんだ、叶うなら、抱きしめたいんだ。

ひよこ @skyplumpot

【2780】ずっと隅っこで一人ぼっちだったオレにも分け隔てなく、明るい声を掛けてくれる山本は、オレにとって眩しい存在だった。でも山本だって悩みがあって、落ち込んだりして。そういうことを知るたびに、遠かった彼が近くなる気がした。もっと、近付けたら。オレが君の痛みに手を差し出せたら。

ひよこ @skyplumpot

「オレは綱吉の為に産まれて、生きてるんだ」そんな事を当たり前に言ってしまう子供は、あんまりにもまっすぐな橙色でオレを見あげて僅かに眉を下げた。「だから、そんな困った顔をするな」頬を撫でた子供の手はあったかくて、オレは余計に悲しくなって、子供をぎゅうと抱きしめた。

ひよこ @skyplumpot

しあわせでした。そう、放った言葉はあまりにもおぼろげで、空気を揺らす事すらできずに消えた。この口は誰かに届く声を紡げない。この手は誰にも触れることができない。気付かれること無く孤独に似た時間を過ごすのは辛いけれど、けれど、離れたくなかった。オレはあの人を、守りたい。（砕空幸福論？

ひよこ @skyplumpot

「簡単に取り戻せるものなら、また直ぐに手に入れられるものなら、こんなにいとおしく思わないんだよ」そう。僕たちは知っている。失うことの恐怖を、巻き戻せない時空を。君も僕もあいつも、世界にひとつしかいないことを。脆い、儚い、だからこそ、尊いのだと。