今国会で成立した「サイバーセキュリティ基本法」に関する問題と疑念 高嶌さん解説(2014.11.18)

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TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

今国会で,「サイバーセキュリティ基本法」という法律がひっそりと成立しています。 →yomiuri.co.jp/it/20141106-OY…

2014-11-18 17:31:12
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

ほとんど注目されていませんが,サイバーセキュリティ基本法の中には,内閣の情報収集権限をかなり拡大する規定が置かれています。同法の条文はこちら→shugiin.go.jp/internet/itdb_…

2014-11-18 17:31:31
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

まず,同法24条に基づき,内閣府のもとに「内閣セキュリティー戦略本部」が設置されます(従来から政府のサイバーセキュリティ戦略を担当してきた「情報セキュリティ政策会議」を母体とした機関です)。

2014-11-18 17:31:45
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「(設置) 同法24条 サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に、サイバーセキュリティ戦略本部(以下「本部」という。)を置く。」

2014-11-18 17:32:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

次に,同法30条1項2項によれば,関係行政機関は,内閣セキュリティー戦略本部に対して,資料や情報の提供等,必要な協力を義務づけられます。

2014-11-18 17:32:24
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「(資料提供等) 同法30条1項:関係行政機関の長は…本部に対し、サイバーセキュリティに関する資料又は情報であって、本部の所掌事務の遂行に資するものを、適時に提供しなければならない。」

2014-11-18 17:32:40
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「同法30条2項:前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、本部長の求めに応じて、本部に対し、本部の所掌事務の遂行に必要なサイバーセキュリティに関する資料又は情報の提供及び説明その他必要な協力を行わなければならない。」

2014-11-18 17:32:53
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

さらに,同法31条1項2項には,内閣セキュリティー戦略本部が,地方公共団体,独立行政法人,国立大学法人,日本司法支援センター,特殊法人及び認可法人,その他必要な限りですべての者に対して,協力を依頼できる権限を有する旨が明記されています。

2014-11-18 17:33:13
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「(資料の提出その他の協力) 同法31条1項:本部は、 その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、地方公共団体及び独立行政法人の長、国立大学法人…の学長、大学共同利用機関法人…の機構長、日本司法支援 センター…の理事長、特殊法人及び認可法人…であって(続)

2014-11-18 17:33:49
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(承前)本部が指定するものの代表者並びにサイバーセキュリティに関する事象が発生した場合における国内外の関係者との連絡調整を行う関係機関の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」

2014-11-18 17:33:58
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「同法31条2項:本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。」

2014-11-18 17:34:26
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

これらの規定をどう評価すべきでしょうか。過去に官公庁や大企業へのハッキングが多数報告されていること,個人情報の流出により市民もハッキングの被害者になり得ることからすれば,官民ともにネットセキュリティ対策が喫緊の課題であることは間違いありません。

2014-11-18 17:34:51
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

また,そのために基本法を設けて対応すべきことが望ましいという点についても異論はありません。

2014-11-18 17:34:57
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

しかし,今年(2014年)の12月10日からは特定秘密保護法が施行されることをも考え合わせれば,サイバーセキュリティという限られた分野であれ,国の情報収集権能の対象を,多数の法人のみならず,すべての者にまで拡大している同法31条の規定は,かなり危険であると思われます

2014-11-18 17:35:38
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

というのは,必要があれば誰にでも協力を依頼できるという広汎な権限は,運用の仕方次第ではかなり強力な情報収集権能となり得るからです。また,同条を根拠として,より具体的な規則が政令によって制定される可能性も残っています(同法35条)。

2014-11-18 17:35:57
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

実際に,似たような規定の体裁になっている弁護士法23条の2に基づいて弁護士会から照会請求がなされる場合については,照会先に法律上の報告義務があり、正当な理由がない限り回答を拒否できないと解するのが従来の裁判例の傾向です。

2014-11-18 17:36:14
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「弁護士法23条の2(報告の請求):弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2014-11-18 17:36:55
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

2  弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」

2014-11-18 17:37:03
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

また,個人情報保護法との関係でも,弁護士会からの照会請求の場合には個人情報保護法23条1項1号の「法令に基づく場合」に該当しますので、情報主体の同意を得ずに個人情報を弁護士会に報告してよい場合のあることが認められています。

2014-11-18 17:37:27
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

これと同じ解釈論がサイバーセキュリティ基本法31条2項について用いられた場合,国民の個人情報は,かなり危険にさらされることになります。

2014-11-18 17:37:49
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

さらに,同条に基づいて収集された情報は特定秘密に指定される可能性が高いと言えますし,サイバーセキュリティ戦略本部の活動それ自体(いつどこで誰からどのような情報を収集したか)もまた,特定秘密に指定される危険性があります。

2014-11-18 17:38:19
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

少なからぬサイバーセキュリティ情報が軍事情報と密接に関連していることからしても,このことは裏付けられます。

2014-11-18 17:38:25
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

このようにして,これらの法律の規定は,本人が知らない間に個人情報を合法的に収集することを可能にしうると思われるのです。

2014-11-18 17:38:45
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

政治家や官僚の行っている行為がどんどん見えなくなれば,国民は選挙に際して判断する重要な材料のひとつを失うことになり,国民が選挙を通して国をコントロールすること自体が困難になります。

2014-11-18 17:39:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

現時点でもすでにかなりの情報操作が行われていると思われることからすれば,このような形でリヴァイアサン(国家)を太らせつづけることで歯止めがきかなくなってしまうのではないかと懸念しています。私の単なる杞憂であれば良いのですが。

2014-11-18 17:39:33