孤独って、なに？

糸井 重里 @itoi_shigesato

「あなたは孤独ですか？」という質問に、どれくらいの人が「はい」と答えるのだろうか。ぼくは、「はい」と答えるかな、「いいえ」と答えるのかな。ゆらゆらするな。

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Only is not Lonely. ほぼ日をはじめるとき、 まっさきに思いついたことば。 文法的におかしいとか言われるけど、 知ったことじゃない。

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もちろん、「ぼくは孤独です」と言ってもいいと思うのだけれど、青暗く深い穴のなかにいるような孤独とはちがうので、言わないで黙っていようかという気にもなるのです。

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まえに、谷川俊太郎さんがラジオ番組のなかで、「孤独は、前提でしょう」と言った。これが、いちばんぴたっとくる。

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孤独って、なに？ pic.twitter.com/5qmYdA0YWp

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「あなたは孤独ですか？」高倉健さんは、どう答えたのだろう。ただ、こっちを見て少し笑うのかな。

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「あなたは孤独ですか？」矢沢永吉は、どう答えるだろう。「‥‥こどく‥‥んん‥‥そうかもわかんない。矢沢は、孤独かもわかんない。でもさ、イトイ、ぼくはそれを選んだのよ、たぶん」

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「あなたは孤独ですか？」吉本隆明さんは、どう答えただろうか。「あ゛ああ、孤独ですね。‥‥そういうこと言うと、家族にはわりぃかもしれないけど、孤独だと思いますね」

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「あなたは孤独ですか？」一個の胡桃は、どう答えるだろう。「ちっとも」と断言するかもしれない。

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胡桃は、言う。「だって、一生に一度でも質問なんかされた胡桃が、孤独であるわけはないよ」。

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「ともだち」の定義を問われたら人によってずいぶん違うでしょう。「ぼくはすごくいっぱいともだちがいてね」と言う人の孤独だって想像できます。「私には、ともだちがいない」と泣いている人のことを大事なともだちだと思っている人もいるかもしれない。（糸井重里『ボールのようなことば。』より）

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ひとりがさみしいとか、ひとりは孤独だとか、そういう決まり文句につかまってしまうと、「わたしはひとりじゃない！」と、ことさらに思おうとしちゃうのですが、みんながみんな、もともとひとりだっつーの。（糸井重里『ボールのようなことば。』より）

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ひとりでいるときの顔が想像できる人と、ひとりでいるときの顔が想像できない人とがいる。ひとりでいるときの顔が想像できない人とは、どうにも仲よくなれそうもない。個であること、孤であることから逃げないで生きる人の姿には、厳しい美しさがある。（糸井重里『ボールのようなことば。』より）

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Only is not Lonely.ひとりであるということは、孤独を意味しない。ひとりを怖れない者どうしが、助けたり助けられたりしながら、生き生きとした日々が送れるなら、それがいちばんいいと思う。（糸井重里『ボールのようなことば。』より）