艦これ名人伝（途中）

総統 @soutou_d

パラオ泊地に住む提督が、天下第一の元帥になろうと志を立てた。己の師と頼むべき人物を物色するに、当今艦隊を率いては、舞鶴提督に及ぶ者があろうとは思われぬ。提督の任に就いて以来、全てのイベントで勝利を逃した事がないという達人だそうである。提督は、遥々舞鶴を訪ねてその門に入った。

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舞鶴提督は、パラオ提督に、まずハイパーズを育てよと命じた。提督は1-1を回しながらドロップで駆逐艦を増やし、基準レベルに達したものから遠征に出した。じっと遠征と任務で資材を稼ぎつつ、レア駆逐巡洋艦レシピを回そうという工夫である。

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理由を知らない海軍省は大いに驚いた。第一、通常の出撃をほったらかして訓練や遠征ばかりされては困るという。嫌がる海軍省からの催促をのらりくらりと躱して、無理にこのサイクルを続けた。来る日も来る日も、彼は遠征と任務で稼ぎ、レア駆逐巡洋艦レシピを回し続ける。

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二週間の後には、パラオ提督の下に、北上、大井、木曽が揃っていた。彼はようやく稼ぎをやめ、水雷戦隊での出撃を開始する。もはや、2-3までパラオ提督の艦隊を阻むものはなかった。昼間に多少砲撃でやられても、艦載機で痛めつけられても、夜間カットインで勝ちをもぎ取った。

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ついに、北上、大井が50レベルに達し、敵が2隻沈んでから戦闘開始が常態化するに及んで、彼はようやく自信を得て、師の舞鶴提督にこれを告げた。

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それを聞いて舞鶴提督が言う。この先、雷巡のみでは安定感を欠く。次には、戦艦と空母を育てよ。さて、加賀の風呂待ちすること、リアル一日の如く、長門の鋼鉄消費すること、4ケタの如くなったらならば、来って我に告げるがよいと。

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パラオ提督は再び泊地に戻り、使わなくなっていた目覚まし時計を幾つか探し出して、これを執務室のデスクに並べた。そうしてそれを、それぞれ演習更新時間、遠征完了時間にセットする事にした。毎日毎日、彼は通常の出撃の傍ら演習と遠征をこなす。

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初め、もちろんそれは低レベルの艦隊に過ぎない。二三日たっても、依然として演習ではボコられる。ところが、十日余り過ぎると、気のせいか、どうやらそれが30レベルぐらいに見えて来たように思われる。三週間目の終わりには、明らかに、改に見えてきた。

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ある日ふと気が付くと、遠征に出した天龍と龍田がレベル35に見えていた。占めたと、パラオ提督は膝を打ち、編成画面を開いた。彼は我が目を疑った。金剛は改二であった。飛龍は改二であった。長門陸奥はカンストの如く、霧島の火力はそれに匹敵するかに見える。

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雀躍して艦隊編成をしたパラオ提督は、ベストメンバーによる第一艦隊を編成し、かつての難関2-4に差し向ければ、艦隊は見事ボスを粉砕し、しかも、一人の小破さえも出さぬ。ついでに、道中で、島風も連れ帰った。

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パラオ提督は、早速、師のもとに赴いてこれを報ずる。舞鶴提督は高蹈して胸を撃ち、初めて「出かしたぞ」と褒めた。そうして、直ちに艦隊指揮の奥義秘伝をあますところなく、パラオ提督に授けはじめた。