地獄鎮守府の日常#XXX-1

「地獄鎮守府の日常」の三次創作。断片。艦娘がどうやって生まれてくるかのお話。
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来栖 @res_kurusu_scp

建造ドックは巨大な有機物で出来た袋のように見えた。天井に二本の肉の柱が癒着し、それに吊り下げられる形で袋がある。袋は白に近い肌色で、ところどころに血管が脈打っている。そして袋の株には、細長い肉の柱がぶら下がり、その先端には開口部がある。「まるで子宮だな」「そのとおりよ」叢雲は云う

2014-12-03 14:06:56
来栖 @res_kurusu_scp

「私達艦娘の最新世代は、このドッグに資材をつぎ込んだ段階で、艦魂を召喚され、子宮内で作られている身体に霊が宿るの。つまり、もとから人間じゃないって訳。それをいいことに最新世代の艦娘たちをいいように扱う提督は引きも切らないわね」叢雲の口調は非難がましい。

2014-12-03 14:09:05
来栖 @res_kurusu_scp

「神宿る器を作るなら、相応の処遇が必要ではあるなあ。しかし現実、鎮守府の保有制限数がそれを許さない」「だからこその近代化回収よ。あれは生まれた艦娘の分御霊を他の艦娘と融合させることで加護を強化させるシステム。器である艦娘は中身が空っぽのただの死体になるけど、有効活用法はあるわ」

2014-12-03 14:11:32
来栖 @res_kurusu_scp

「廃品回収か」「そういうこと。肉もボーキも鉄も燃料も全部、鎮守府の維持に使われる。合成肉の一部にも、そうやって魂を抜かれた艦娘の肉が使われているわ」「吐きそうだ」「ここでなく、便所で吐いてよね」「そうする」

2014-12-03 14:13:09
来栖 @res_kurusu_scp

「どこぞの鎮守府では人肉食いは犯罪に当たるそうだが」「魂の抜けたモノを正当に処分しているだけだし、その鎮守府でも色相は曇らないと思うわ」「魂とはなんぞやという話をするのはよそう。どのみち培養型艦娘には艦魂以外の魂はなさそうだしな」「それが利口よ」「カルテジアンは好きではないが」

2014-12-03 14:16:51
来栖 @res_kurusu_scp

「カルテジアンは人間以外の魂の存在を否定し、動物を自動機械として扱い、その機能を解明するために生きたまま解体したわ。そう云う割りきり、この戦争ではどのみち必要になる」「だがお前はかけがえのない唯一の俺のものだ。モノでしかないにしても、代わりはないんだ」

2014-12-03 14:19:03
来栖 @res_kurusu_scp

「そう云う感傷もまた生存競争のための実装って説もあるけど」「それでも、俺がお前を思う心に変わりはない。お前はかけがえのない、ただ一つのもの、俺のものなんだ」「ロマンティストね……嫌いじゃないけど」

2014-12-03 14:20:42
来栖 @res_kurusu_scp

そんな、とある鎮守府での提督と叢雲の話。

2014-12-03 14:21:29