空想の街　雑貨屋　灯りの樹の夜

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

何処にもない､何処にでもある街｡空想の街｡時計塔の街の３日間｡はじめましての貴方も､おかえりなさいの貴方も､街は全てを受け入れます｡どうぞ､お楽しみください｡　#空想の街

SAIKI @saiki_vc

寒くなってきたなと思ったらあっという間に冬だ。開店準備を始めながらぼんやり思う。灯りの樹の夜もあと数日と迫ったところ。オーナメントを買いに来られるお客様が多くなっていた。多分当日まで続くのだろう。#空想の街 #雑貨屋

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今年用意したのは雪が降るオーナメント。冬にこの街に遊びに来る精霊を呼び止めて少しだけ力を貸してもらった。透明な球体の中に、ちらちらと雪が舞っている。中心に一本だけ立っているのは勿論灯りの樹がモチーフだ。#空想の街 #雑貨屋

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そういえば先日、タウン誌「あおいとり」に掲載をお願いしてみた。お客様が例年より多いと感じたのはこのおかげだろう。いつも読んでいるものに自分の店が載るのは感慨深い。記念に取っておこうとこっそり二部もらったのは秘密だ。#空想の街 #雑貨屋 pic.twitter.com/ZaKGwUf1gj

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さて開店だ。いつものベストに袖を通したところで、からん、とドアベルの音。まだ外の看板は「CLOSED」の筈なのにとドアを見ると。「お久しぶり～」なんて見覚えのある顔と声。「こんな時間にどうしたんだ？ユリ」#空想の街 #雑貨屋

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「久しぶりに会う友人にどうしたはないでしょ。それにしても相変わらずその格好なのね。たまには違う服着れば良いのに」ユリは昔からの私の友人だった。名は体を表すとはよく言ったもので、花の名前を持つ彼女は友人としての贔屓目を抜きにしても美人だ。#空想の街 #雑貨屋

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ユリならどんな服を着ても似合うだろうが私は残念ながらそうも行かない。だから毎日黒のパンツにベストなんだと何度言えば分かってくれるのだろう。「ほら、もうすぐ灯りの樹の夜じゃない？どうせずっとココに居るんでしょ？」唐突に切り出された話で私はようやく察しがついた。#空想の街 #雑貨屋

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「つまり、私の代わりという名目で色々楽しんで来るという訳だな？」「やーね、人聞きの悪い。ちゃんと頼まれ事は熟すわよ」にやりと笑う彼女には適わない。実際お願いしたいこともある。「それなら色々とお願いしよう。欲しいものがあるんだ」#空想の街 #雑貨屋

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ユリにおつかいメモを渡し、くれぐれも余計なことはしないようにと言い含めておく。どこまで聞いてくれるかは分からないが、言わないよりは良いだろう。「そうだ、これを持っていくと良い。きっと楽しめると思う」タウン誌をユリに差し出した。#空想の街 #雑貨屋

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「あおいとり！どこかでもらって来なきゃって思ってたのよ。あ、ココのことも載ってる」目ざとく見付けたのはユリらしい。早速熟読して計画を立てているようだった。「じゃあ行ってくるわね」「うん、いってらっしゃい」#空想の街 #雑貨屋

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そうして駆け出したユリの背を見送る。遊んでくると言いながら彼女のことだ、ちゃんと私が頼んだことはやってくれるだろう。店の看板を「OPEN」へ。さて、今度こそ開店だ。#空想の街 #雑貨屋

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雑貨屋はきっともう店を閉めて家に帰った頃かしら。夜の街を歩きながら思う。中央区。持っているのはタウン誌。「一度行ってみたかったのよね」目の前には #仕立屋 の看板。看板は出ているものの、こんな時間にまだやっているのかしら。不安が過ぎる。#空想の街

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取り敢えず駄目で元々！今日無理なら明日にすれば良い。ポジティブシンキングは大事よね。「すみません、まだ大丈夫ですか？」扉を叩いてみる。#空想の街 @naholograph

七歩 @naholograph

「こんばんはいらっしゃいませお仕立てですか？」@saiki_verse_s #空想の街 #仕立屋

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掛けられた言葉に一安心。「夜分遅くすみません。仕立ててもらいたいものと……あとはこれ」クーポンを見せる。占いなんて女子の大好物ですから！@naholograph #空想の街 #仕立屋

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「占いですね」そう言うと転た寝していた姐さんがしゃなりと居住まいを正す。さすがだなーと思いながら、「それじゃまず占いしませんか？何を占います？」クーポンを受け取って姐さんの代わりにお伺い。@saiki_verse_s #空想の街 #仕立屋

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占ってほしいこと。そんなことは決まっている。「あの、あたしのことじゃなくても大丈夫ですか？友人、いや大切な親友のことなんですけど」もしかしたらそれは所謂おせっかいというやつなのかもしれないけど。@naholograph #空想の街 #仕立屋

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「ぬし様は優しいおかた」姐さんがそういうということはOKだということ。「いいみたいね。それで、どういう内容ですか？」更にうかがう。@saiki_verse_s #空想の街 #仕立屋

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「親友が、北区で #雑貨屋 を営んでいるんです。きっと彼女のことだから大丈夫だとは思うのだけど、これからもうまくやっていけるのかなって。凄く自分に自信のない子なんですよ。だから」声が震えてやしないだろうか。縋るように花魁さんを見やる。@naholograph #空想の街 #仕立屋

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姐さんは煙管に手も伸ばさずに笑う。「ぬし様がそのようにふるえてどうしんすか 」叱りながら笑う。そうして姐さんは小さな飴玉を彼女に手渡した。@saiki_verse_s #空想の街 #仕立屋

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差し出された飴玉を反射的に受取る。花魁さんの物言いから、やはり声に出てしまっていたらしい。「すみません、みっともないところを」笑って見せる。@naholograph #空想の街 #仕立屋

七歩 @naholograph

「ぬし様にはわっちの占などいらぬのではと思うのじゃが、言霊の力に頼るが吉とそうなることもありんしょう」花魁姐さんはいつも通りに煙管を燻らす。「ぬし様次第でありんす」@saiki_verse_s #空想の街 #仕立屋

SAIKI @saiki_vc

「あたし、次第？」予想外の結果に戸惑う。#雑貨屋 の今後が？浮かぶクエスチョンマーク。「それってどういう？」分からないことは素直に聞いてみることにした。@naholograph #空想の街 #仕立屋