船に乗る話/③　太った女

altana @altana

がたがた震えていると目の前に黒い下着姿の肥った女が風を遮るように現れた。女は見た目には似合わぬ高い声でまぁ貴方寒かったでしょう疲れたでしょう苦しくないかいもう大丈夫だよなどと言いながら手に持った白いタオルで頭を擦る。香水の匂いに口臭が混じり胸が苦しくなる。 #twnovel

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さぁさぁ風邪をひくから脱ぎましょうねとTシャツを脱がせズボンを下ろしパンツまで引っ張っていっても、その女の妙に厚かましい親切さに羞恥も抵抗も感じずにされるがままに裸になった。濡れた服を脱ぐとベタついた体は周囲の寒気に対して敏感になるようで震えが止まらなかった。 #twnovel

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女の巨大な肉体の前で僕はか細い肉体を晒しながら、動くたびに全身に身につけた脂肪が躰のあちこちへ大きな震えと共に動いていく様子を黙って見ていた。女はそのまま白いタオルで体を包もうとして結果外から見ると僕はその分厚い脂肪に包み込まれるようになった。 #twnovel

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ねぇねぇ、あたし貴方を自分の子供だと思ったのよ。下着姿のままで泳いでいって助けようとしたのよ。でも関係ないわよね。こうして貴方が助かったんなら、私の子供でなくても喜ばないとね。女がタオル越しに体を締め付ける。私の子供、私の子供、どこへ泳いでいったのかしらね。 #twnovel

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顔に乳房の潰れる感触が伝わり脂肪の持つ熱が伝わり身体が徐々に温かくなる。しかし抱かれている間香水の匂いに隠れていた女の年齢から滲み出るような不快な臭いが現れて胸が苦しくなった。それにこうして知らない女に抱かれていることへの不自然さが少しずつ心に蘇ってきた。 #twnovel