のわっち騒動記(仮)～if...～

セロリ鎮守府 @serori_netaonly

ルート分岐条件 ①通常のまま進むと司令は誰ともくっつかない。 ②野分ルートは幾つかあり、今回のものその内の最も幸せなルート。 ③他野分ルートは舞風が狂ったり磯風が鎮守府を立ち去ったりする展開があったかもしれない。 ④磯風ルートは言わずもがな、舞風ルートも微粒子レベルで存在する。

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のわっち騒動記(仮)～if...磯風ルートその一～

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磯風「……司令？」 提督「ん、磯風か」 磯風「電気も付けずにどうした。悩み事か？」 提督「ちょっとな」 磯風「……野分の事か？」 提督「……」 磯風「ふむ、図星か」 提督「……まだ何も言ってないぞ」 磯風「司令が質問に黙る時は事実を突き付けた時だからな」 提督「……よくご存知で」

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磯風「当たり前だ。野分が来るまで誰が司令の秘書艦をやっていたと思っている」 提督「……そうだよな、済まん」 磯風「謝るな。司令らしくもない」 提督「……俺らしさ、か」 磯風「……司令？」 提督「なあ磯風、俺はどうしたら良いと思う？」 磯風「……何の話だ。具体的に言ってくれ」

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提督「最初はさ、娘みたいに思ってたんだ」 磯風「……」 提督「まあ結婚した事ないからそれが正しい感覚なのか分からんが」 磯風「……」 提督「いつからか、あいつが笑う度に胸の奥が温かくなるようになった」 磯風「っ……」 提督「それから暫くして気付いたよ。俺はのわっちが、野分が……」

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磯風「止めろっ！！」 提督「っ！」 磯風「やめろっ……やめてくれっ……」 提督「……いそ、かぜ？」 磯風「……そんな、そんな顔をしながらっ、野分の事を話すのは、やめて……」 提督「……磯風、泣いて」 磯風「見るなっ！！」 提督「っ……」 磯風「みるな……みないで……ひっく……」

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提督「……」 磯風「……ぐすっ……ぅぐっ……」 提督「……いそっち、すまん」 磯風「っ！？さわっ、さわるなっ……」 提督「……」 磯風「この……っ……いまっ、やさしく、するなぁっ……」 提督「……いそっち」 磯風「いそっちってよばないで……ばかしれい……」 提督「……ごめん」

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磯風「……」 提督「……」 磯風「……済まない、取り乱した」 提督「……謝るのは俺の」 磯風「司令は何も見ていない」 提督「……え？」 磯風「司令は今日、一人執務室で考え事をしていただけ」 提督「磯風、何を」 磯風「私は泣いてなんかないし、それを慰められてもない。何事も無く……」

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提督「止めろ磯風」 磯風「っ」 提督「俺は今日、お前を泣かせた」 磯風「……違う」 提督「お前の気持ちを知っている、俺は泣かせた」 磯風「違う」 提督「俺を好きな想いを押し殺す磯風を、俺が泣かせた」 磯風「違うっ！」 提督「違わねえっ！」 磯風「っ！」 提督「……違わないんだ」

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磯風「…………」 提督「酷い男だ。自分に恋い焦がれてる女の子に他の子が好きだって相談をしたんだから」 磯風「……それは私が」 提督「磯風は一ミリたりとも悪くねえ。俺の弱さが全ての元凶だ」 磯風「司令」 提督「俺が悪い。俺がこんな悩みを抱えたから……」 磯風「止めろ。怒るぞ司令」

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提督「……磯風？」 磯風「私が好きな男をそれ以上侮辱するな」 提督「っ……」 磯風「それは何より卑怯で、卑劣な行為だ」 提督「……悪い」 磯風「ふん、そうだ、司令が悪いんだ」 提督「……そうだな」 磯風「世話が焼けるよ、本当」 提督「……ありがとう」 磯風「……礼を言うなばか」

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提督「……なあ、いそっち」 磯風「何だ？ばか司令官」 提督「俺が野分を好きでも、諦めるつもりはないのか？」 磯風「決まっているだろう。当たり前だ」 提督「……そっか」 磯風「どうした、私と付き合う覚悟でも出来たのか？」 提督「ああ、そうだよ」 磯風「ま、そんな訳無…………はっ？」

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提督「俺のせいで磯風を泣かせたんだ。当たり前だろ？」 磯風「は、え、な、いや、まて、ちょっと待ってから三歩下がれ！？」 提督「どうどう、落ち着けいそっち」 磯風「し、司令のせいだろう！」 提督「ほら深呼吸」 磯風「すー、はー、すー、はー……」 提督「よし」 磯風「よしじゃない！」

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提督「はは、呼吸は整っただろ？」 磯風「くっ……それはいい！それよりさっきのはどういう意味だ！？」 提督「どういうも何も……そのままの意味だが」 磯風「……冗談にしては質が悪い、同情で付き合うなど、この磯風を馬鹿にしているのか？」 提督「まさか」 磯風「…………ふざけるなよ貴様」

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提督「俺は本気だぞ磯風」 磯風「っ……止めろ、今ならまだ間に合う。冗談で、済む」 提督「磯風。俺はお前を愛する事にしたんだ」 磯風「……止せ。嘘だと、言ってくれ」 提督「嘘じゃない。ここで嘘を吐く程落ちぶれちゃいない」 磯風「や、やめ……」 提督「だが磯風、選択権はお前にある」

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磯風「…………え？」 提督「俺は色々な意味でお前の想いを踏みにじった。だから俺の想いを受け入れる必要は無い」 磯風「……」 提督「お前が無理と言うなら、俺はそれに従おう。お前が死ねと言うなら……俺はここで腹を切ろう」 磯風「司令っ！？」 提督「短刀を出しただけさ、騒がなくていい」

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磯風「司令、それを此方に渡せ」 提督「……何故？」 磯風「私は司令に自害など求めていない。それ以前にそんな事は誰も報われない」 提督「……断ると言ったら？」 磯風「殴り倒してでも奪い取る」 提督「……」 磯風「……」 提督「……分かった。渡すよ」 磯風「…………ふぅ」

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提督「……心配しなくともこれはあくまで意思表示の為のものだったんだがな」 磯風「っそういう問題か！というか何故短刀など持ち歩いている！？」 提督「深海棲艦に捕まった時の自害用」 磯風「…………」 提督「冗談だけどな」 磯風「貴様ぁ！」 提督「いだだだだ関節技は勘弁してくれえ！！」

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磯風「このばか司令が……」 提督「あー……本気で折れるかと思った……」 磯風「ふん。自業自得だばか」 提督「ばかばか言うなよ……ばかだけどさ」 磯風「ばかにばかと言って何が悪い」 提督「手厳しい事で……おーいってぇ……」 磯風「…………そんなばかは、誰かが支えてやらないとな」

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提督「……いそっち？」 磯風「ふん、ばかのばかが移ったらしい……司令」 提督「何だ？」 磯風「……同情じゃ無いんだな？」 提督「ああ」 磯風「……野分への想いは？」 提督「断ち切るよ」 磯風「…………私を、私だけを愛してくれる？」 提督「……ああ」 磯風「……そう、か……ふふっ」

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提督「っ……」 磯風「覚悟して。いつかきちんと、司令の想いを私に向けてあげる」 提督「……お、おう」 磯風「こういう話し方も出来るんだから。まあ普段の話し方が一番慣れてるけど」 提督「……あー、これがギャップ萌えってやつか……」 磯風「……自分でも似合わんとは思ってるさ」

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提督「いや逆……可愛いな」 磯風「かわっ！？ななな何を言うか！？」 提督「普段のは綺麗とか凛々しいだけど、さっきのは可愛いとしか言いようがねえ……」 磯風「なっ、なっ、なっ」 提督「あー、駄目だわ俺。このぐらいでもう傾きかけてる」 磯風「っ～……ばか司令！」 提督「あはは」

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後日。 野分「……秘書艦交代……ですか……？」 提督「おう、のわっちも大分経験も積んだし、もう大丈夫かなー、と思ってさ」 野分「ま、まだ教わってない事があるような……」 提督「その辺は追々だな。ま、何時でも来て良いぜ。まいまいに襲われそうな時とか」 野分「そ、そう、ですか……」

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提督「で、秘書艦に復帰するのが」 野分「磯風、ですか」 磯風「ふむ、秘書艦なんて何時ぶりだろう」 提督「のわっちが入って以来じゃないっけ」 磯風「そうだな。司令は野分を気に入っていたものな」 野分「気に入っ……！？」 提督「本人の前で言うか普通！？」 磯風「事実だろう？」

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野分「司令、私の事……」 提督「あーあー知らない聞こえない。今日も書類だ頑張るぞー」 磯風「この照れ屋め」 提督「うっせ。ほらのわっちも、艦隊任務に行っといで」 野分「……えへへ、はーい！……じゃあ磯風、後は任せたからね」 磯風「ああ任された」 提督「気をつけてなー…………ふぅ」