ドボク鎮守府　もう一つのサルべージ物語

来栖 @res_kurusu_scp

「深海棲艦の元は沈んだ船の怨念ですから、元を断つため、制海権を一時的にでも奪取した戦域での艦船及び艦娘のサルベージと慰霊が必要なんです」来栖、と名乗った小娘は、ドボク鎮守府の主にそう告げた。オカッパ頭の小柄な少女は、しかし戦功章と佐官の階級章をつけていた。

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「それで我がドボク鎮守府に応援要請か」「無論、必要なだけの支援はさせていただきます。その上で、艦娘と艦船の鎮魂のため、ドボク鎮守府のお力をお借りしたいのです」来栖大佐――大佐に見えない――提督にとっては人型の差異は付き難いのだが――小娘はそういった。

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ドボク鎮守府の海底総ざらえと祈祷により安全海域と化す鎮守府周辺海域。

来栖 @res_kurusu_scp

「よかろう」「ご了承頂けましたか！」来栖と名乗った小娘は地図を広げる。「まずは関門海峡のサルベージから始まります」「機雷が多いんだが」「当鎮守府の掃海艇総出で、場合によっては駆逐艦も出して掃海に当たります」「いっぱい死ぬよ？」「これ以上の死を食い止めるためです」

来栖 @res_kurusu_scp

「ドボク鎮守府の皆様には何度頭を下げても下げたりません」南西諸島航路のサルベージが完了した頃、来栖はやってきた。「そちらも大変な損害を負ったそうじゃないか」「いえ、これもお国のためですと彼女達は笑って死んでいきました」目尻を拭う来栖。肩章に増えた星は、命の対価か。

来栖 @res_kurusu_scp

ということで、鉄底海峡で荒れ狂う荒御魂を沈めるため激烈な戦闘の中深海棲艦の湧き出る根幹になっている戦没艦たちを供養するために砲弾飛び交う中サルベージを続ける起重機船と、それを守る戦闘艦艇の友情の物語が！

来栖 @res_kurusu_scp

「サルベージ作業は潜水妖精を潜らせて状況を確認してから取り掛かる必要があるし、その過程でどう引き上げるか細密な検討が必要だ！」「時間がありません。3日でやって下さい」「ヶ月単位の作業をか！」「この戦域では時間は何よりも尊い資源です。我々がこじ開けた制海権を有効に利用して下さい」

来栖 @res_kurusu_scp

「……君が鎮守府のターミナルユニットでしかないという説を聞いているが」「ターミナルユニットであろうがそうでなかろうが、これは鎮守府の創意です。そして鎮守府は、艦娘の鎮魂のためのサルベージを望んでいます」「……よかろう。乗りかかった船だ」