《あの子のとなり》

横山さんのやつです。
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hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《あの子のとなり》side-B 129 「横山さん...私のこと、ちゃんと知らないし、それに...」 「しゃーないやんけ」 大きな声で遮られた。 「知らなくても......彼女の親友でも、好きになることあんねんって」

2015-02-14 22:36:18
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《あの子のとなり》side-B 130 堂々と話してる風に見えて、耳が真っ赤になってて...。 胸が、音をたてた。 「カンタンに言うてるわけちゃうし。だから俺...」 校庭から風が吹いて、ヨコヤマさんの髪を揺らす。 「あいつと別れたら、もっかいちゃんと告白していい?」

2015-02-14 22:36:28
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《あの子のとなり》side-B 131 私は...頷くのが精いっぱいで。 「も...何で泣いてんの」 「だって...」 涙で目が霞んで...やだ、もう...。 やけに遠くで予鈴の音がする。 「チャイム、鳴ってんで」 「はい...」 「先生の顔せな。ほら」

2015-02-14 22:36:41
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《あの子のとなり》side-B 132 すっと一歩近づいて、親指で雑に涙を拭ってくれた。 「あの...これ、よかったら...」 持ってきたお弁当を差し出した。 「ええの?」 「時間、なくなっちゃった...」 「あ...ごめん...」

2015-02-14 22:36:48
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《あの子のとなり》side-B 133 私も、ちゃんとするから。 あの子と、ちゃんと話をしよう。 「代わりに...」 横山さんのことが、好きだって。 「がんばれって言ってください」 ふははって笑って、顔がまた、子供になる。 「がんばんのは子供やろ」

2015-02-14 22:37:00
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《あの子のとなり》side-B 134 「あ...それもそう...ですね」 じゃあって行こうとしたとき。 ぷって吹き出す音が聞こえた。 「ちょっと、おいで、こっち」 言われるがままに近づくと、頭に手が触れて、ドキドキして...。

2015-02-14 22:37:07
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《あの子のとなり》side-B 135 「これ...付いてた」 「...あ...さっき...鈴割の...」 さぁっと風が逆から吹いて、ヨコヤマさんの手のうえにあった紙吹雪を、窓の外にさらっていった。

2015-02-14 22:37:17
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《あの子のとなり》side-B 136 「がんばれ」 顔が熱くなる。 急に耳元で聞こえた声の後、唇が頬を掠めたから。

2015-02-14 22:37:22
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《あの子のとなり》side-B 137 「好きなの?きみくんのこと」 こんな話、どこでしたらいいのか分からなくて。 昔、ふたりでよく行った地元のカラオケボックスに呼び出した。 あの子は薄いアイスティーを一口飲んで、静かにそう言って、黙る。

2015-02-15 22:16:48
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《あの子のとなり》side-B 138 桜色のキレイなネイルが目に入って、横山さんと初めて会った日のことをぼんやり思い返す。 もしかしたら、予感してたのかもしれない。 ーよこやまです って、それだけのメッセージで、何かが始まる、そんな予感が。

2015-02-15 22:16:55
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《あの子のとなり》side-B 139 「ひょっとして、仕返しのつもり?」 「え...」 「高校の時の...となりのクラスの彼」 「まさか...何年前の話?」 あの子の目はもう、笑ってなくて。 だから今、本当の気持ちが言えると思った。

2015-02-15 22:17:04
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《あの子のとなり》side-B 140 「横山さんのことが、好きなの」 あの子は古びたカラオケボックスがまるで高級レストランに見えるような座り方をしてて、打ちのめされそうになる。 私はこんなひとの恋人を奪おうとしてるんだ。

2015-02-15 22:17:14
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《あの子のとなり》side-B 141 「どうして?」 「...どう、して...?」 「だって...よく知らないでしょ?きみくんのこと」 そうなの。 よく知らない。 だけど...。 「しょうがないじゃない。好きになっちゃったんだから」

2015-02-15 22:17:26
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《あの子のとなり》side-B 142 思い切ってそう言うと、あの子はびっくりした顔をして、すぐに苦笑いの顔になる。 「はぁーあ。もう、やだ。きみくんと同じこと言うんだもん」 天井を仰いだ。 「ごめんなさい...」 「謝んないで」 ぴしゃり、と言われる。

2015-02-15 22:17:40
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《あの子のとなり》side-B 143 「すっごいみじめになるから」 なーんかバカみたい、私。 あの子はポツリとそう言って、またしばらく黙って...。 「...しょーがないじゃないって...」 「...え?」

2015-02-15 22:17:47
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《あの子のとなり》side-B 144 「そうやって...言いたいこと言ってくれたの、初めてじゃない?」 「そう...だっけ...?」 あの子はいつもの笑顔になって頷いた。 「最初っからそうしてくれてたら、ちゃんと親友になれたかもしれないのに」 私は.........。

2015-02-15 22:17:58
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《あの子のとなり》side-B 145 「親友って...なろうと思ってなるものじゃない、と思う」 あの子は目を伏せて桜色のネイルを自分で眺めて...。 「それもそっか」 突然大きく伸びをして立ち上がった。 「ね、久しぶりにクレープ食べて帰ろっか。ほら、昔よく行ったとこ」

2015-02-15 22:18:09
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《あの子のとなり》side-B 146 私はもう、昔の私じゃないの。 もう、誰かに覚えててもらいたいなんて思わない。 ひとりだけ、ちゃんと私のこと見ててくれたらそれでいいって。 そう思えるひとに会えたから。

2015-02-15 22:18:16
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《あの子のとなり》side-B 147 「私、好きじゃないの、甘いもの」 あの子は目を丸くする。 「そうなの?初めて聞いた」 ............。

2015-02-15 22:18:21
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《あの子のとなり》side-B 148 「...銀だこなら...いい、よ?」 ふたりして、思わず吹き出した。 これからは、誰かのとなりなんかじゃない、私の人生。 一人称は私。 丸ごと私のものなんだから。

2015-02-15 22:18:57
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《あの子のとなり》side-A 99 自分で言うのもアレやけど、ライブは大成功で。 今日無事に、千秋楽を迎えた。 チーフマネージャーがこっそり教えてくれた。 深夜バラエティのレギュラーのオファー来たって。

2015-02-16 22:35:28
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《あの子のとなり》side-A 100 なんでも、作家さんがプロデューサーに推してくれたらしい。 認めてくれたってことなんかなぁ...。 他のスタッフさんにも楽しかったよ、来年もやろうって言われて、嬉しいっていうか、正直ホッとしてる。

2015-02-16 22:35:38
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《あの子のとなり》side-A 101 ライブ期間中は精神的にとても万全とは言い難い状況で...。 あいつは...。 別れないって言い張ってたのに、ある日急に家に来た。 「親友と浮気する男なんてこっちから願い下げだから」 セリフの割には優しい声で言って。

2015-02-16 22:35:50
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《あの子のとなり》side-A 102 「あの子はね、私なんかよりずーっといい子なんだから、もう浮気なんかしちゃダメだよ」 グサっとくることを最後に言って、振り返りもせず出てった。 そんで、無事に彼女と付き合うことになったかっていうとそうでもなくて。

2015-02-16 22:36:32
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《あの子のとなり》side-A 103 「やっぱり...あまりに節操ない気がしませんか?」 3ヶ月間はお友達ってことにしましょう。 .........。 なんでやねん! と思ったけど、まあそれで気が済むんならええかぁって。

2015-02-16 22:37:54
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