バンドパロ　ライブハウスでの初ライブ

紫音 @honey2_honey0

バンドパロ～ライブハウスで初ライブ～ 都内にあるそれなりに大きさのあるライブハウス、その控え室にeccentric roaderのメンバーが集まっていた。 「そろそろ時間だな」 緊張を孕んだ空気の中、リーダーである福富が口を開いた。 その声を聞き時計を見ると、あと三十分で開始だ。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 「俺こんな大きなところで歌うの初めてです。楽しそうですね」 真波は呑気にそんなことを言っている。 「真波はいつも楽しそうだな。まあ、いつも通りやればいいさ」 新開はバキュンと空を撃つ。 「チケットは全て売り切れたらしい。この俺の美しさ故だな！」

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 東堂はいつも通りうるさい。 ひとつ深呼吸をし、顔を上げる。 「っし！てめぇら、気合い入れて演奏すっぞ！」 荒北の声に皆が笑顔で応じる。 そして、学生時代からやっている福富の声掛けで気合いを入れる。 「俺達は、強い！」 時間です、と泉田が告げる。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 ステージへ上がると、割れんばかりの歓声に迎えられる。 「さあ、みんな！一緒に生きよう！」 オープニングナンバーは、高校時代から弾き続けている"eccentric"だ。 昔よりもそれぞれの演奏技術は向上している。 小さくてもライブを重ねてきた。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 それでも、最初から変わらないそれぞれの音楽に対する真摯さでこれまでやってきた。 初めてのワンマンライブ、多くのファンが来てくれた。 福富の力強いドラム、新開の心地よいベース、東堂の美しいギター、真波の魅力的な歌声、そして荒北の高いギターテクニック。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 その全てが混じり合い、作り上げたeccentric roaderの世界。 それを広める最初の一歩を踏み出した。 "eccentric"は昔からのファンにも、新しいファンにも人気の曲だ。 ライブは最高の形で幕を開けた。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 続けて、これも高校時代からの曲"Wing"を演奏する。 まだ始まったばかりだというのに、荒北達も、ファンも全力だ。 圧倒的なまでの音の波に、ファンを呑み込む。 ファンはそれに応えるように、声を張り上げる。 熱い夜は始まったばかり。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 いったん真波と東堂のMCを挟む。 この二人のMCも人気が高い。 「みんな、今日は来てくれてありがとう！楽しんで生きてこう！」 「まったく、最初から飛ばし過ぎだぞ。まあ、このジンの演奏では仕方あるまい」 「わ～ジンさんうざ〜い」 「うざくはないな」

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 最初のMCの後は、ノンストップで5曲演奏した。 そこでいったんステージをはけて、衣装を着替える。 基本は和服をベースとしているが、今をときめくデザイナーである巻島が手がけているため、色合いが奇抜である。 素早く衣装を変え、ステージに上がる。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 衣装を変えて、今度は6曲連続で演奏する。 そこで、メンバー紹介のMCを入れる。 「ふぅ、ではここらでメンバー紹介といこう！最初はこの俺、ギターのジンだ！」 「次は同じくギターのヤスさんです。ヤスさんどうぞ～」 「最後まで付いてこいよォ！」

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 「次はベースの新開だ！」 「ひゅう！おめさん達、今日は楽しんでいってくれよな！」 「お次は、俺たちの頼れるリーダー、ドラムのジュイさんで～す」 「ム、俺達は強い！」 「最後はボーカルの真波だ！」 「みんな～、まだまだ盛り上がっていくよ～」

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 そこから、さらに5曲を演奏して、ライブは終わった。 しかし、ファンからのアンコールで、再びステージへと上がる。 先程までの美しい衣装ではなく、オリジナルのTシャツを着て現れたメンバーに、歓声がわく。 それぞれが楽器を持ち、目を合わせる。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 懐かしい、高校を卒業して以来初めて演奏する荒北アレンジの"翼をください"は、ほんの少し高い真波の声と相性がさらに良くなり、盛り上がりを増す。 不安定にも聞こえる、不思議な声で歌う真波にファンは魅了されていく。 最後の音が伸び切り、曲が終わる。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 「えーと、残念だけど次が本当に最後の曲なんだ。みんな、最後まで楽しんで生きてくよ！」 「聴いてくれ、新曲"memory"」 最後の新曲は、ファンへの感謝を綴ったeccentric roader初のバラード。

紫音 @honey2_honey0

@honey2_honey0 いつもの激しさは鳴りを潜め、美しく繊細な音を紡いでいく。 そこに真波の不可思議な魅力を持った声が混じる。 今までの熱気を孕み、静かに、紡がれる言の葉。 ―いつまでも 君の言葉を聴き続けたい― そのフレーズでライブは終わりを告げた。