垂れ流し小話まとめ

ついったで垂れ流してた小話4本
1
やぶき @yakuyabu

一度さにわと完全に決別だぜみたいになってから自分の気持ちに気づいたけどもう遅くてギシギシ痛む心に見ないふりをしていた薬研さんのもとにさにわが帰ってくる話を書きます のらねこのしんりゃくショックをどうにか 幸せになりたい ファイッ

2015-02-14 00:51:27
やぶき @yakuyabu

「薬研!!」聞こえた声に、耳を疑った。いつかは毎日聞いていた声。聞こえなくなってそう経っていない筈なのに、聞きたくて、恋しくて、反芻してはむなしくなってを繰り返していた。振り返るのが怖い、と、思ったのはほんの一瞬だけで、焦がれすぎて聞こえた幻聴なのではと思いはしても、それでも→

2015-02-14 00:55:01
やぶき @yakuyabu

もしも本当にその姿があったのならと、願いを込めて振り返れば、「、っ」息が漏れる。呼吸がうまくできない。これは、夢ではないのか。こんなに都合のいいことが、本当に起こるのだろうか。無意識に力が入った拳が震えているのがわかる。内に抱え込んだままの心が、悲鳴を上げているように息が詰まる→

2015-02-14 01:00:03
やぶき @yakuyabu

少し前まで当たり前のように傍らにあった姿が、そこにあった。息を切らしながら、なにかを振り切るように、強く宣言するように、ただ力強くそこに存在するその姿は幻覚などではないのだと誰に言われるでもなく感じた。「薬研、私は!」張り上げる声は強く、迷いがなかった。→

2015-02-14 01:05:20
やぶき @yakuyabu

「私は、やっぱりあきらめるなんて出来なかった!出来ないよ、そんなに、大切なものを我慢できるほど大人じゃないの!わがままだと、酔狂だと思われてもいい!私はあんたと、笑って、一緒に生きていたい!人間がどうとか刀がどうとかそんなこと知らない、それ以外の幸せなんていらない!!」→

2015-02-14 01:09:27
やぶき @yakuyabu

「あんたが好きだよ、薬研」何かを堪えるように細まる瞳は、視線をそらすことなくまっすぐにこちらを見据えている。唇をぐっと噛みしめるのは、泣きそうなのを我慢しているときの癖だ。「だから、」顔がくしゃりと、歪む「私と生きたいって、言え!!薬研藤四郎!!」→

2015-02-14 01:21:05
やぶき @yakuyabu

声は最後まで力強く、震えもしなかったのに。なぜか無性に泣いているように響いた。いつの間にかずいぶん近くにその姿はあって、あと数歩、あと数歩歩み寄ればこの手が届く距離にまで来ていた。(ああ、)大将、俺はあんたのその、一度腹を決めた時のぶれない瞳が、ひどく気に入っていたんだ→

2015-02-14 01:12:49
やぶき @yakuyabu

数歩近くにあった身体に近づき、腕を思い切り引き寄せる。こちら側にバランスの崩れた身体をそのまま抱き留め、縋るように抱きしめた。腕も、身体も、すべてが記憶のままで無性に泣きたくなった。触れるだけでこんなにも愛しいこの人を、どうしてなにもせず離してしまったのだと、震える体を抱きながら

2015-02-14 01:28:43
やぶき @yakuyabu

強く、思った。「大将、俺はあんたと共にありたい。こんな簡単なことに離れるまで気付けなかったんだ、笑っちまうな」腕の力を緩めて顔を見れば、瞳から薄い膜が今にも零れ落ちそうだった。もっと早く気付けて、行動することができたなら泣かせはしなかったのだろう。それでもこうして今、→

2015-02-14 01:34:52
やぶき @yakuyabu

向かい合えているのならきっともう、間違うことだってしない筈だ。大切なものを離す愚行など二度と繰り返しは、しない。「あんたを愛している」大きく見開かれた黒の瞳は、ゆるゆると力をなくし、「っ言うのが遅い!ばか!にぶちん!」ついにぼろぼろ零れ落ち始めた涙を拭い、もう一度強く、抱いた

2015-02-14 01:37:49
やぶき @yakuyabu

ハピネスチャージ一本勝負バレンタインだからべろちゅーする薬研藤四郎書きます ファイッ

2015-02-14 02:05:21
やぶき @yakuyabu

バレンタインどんちゃん騒ぎも終わってみんなが徐々に寝静まる頃、薬研が審神者の部屋を訪れる。「大将、何食ってんだ?」「チョコの残り。食べる?」ラスト一個だよ、いや俺はいい、あ、そう?最後のひとつを口に放り込む。審神者の部屋はチョコレートの甘い匂いが充満して→

2015-02-14 02:10:01
やぶき @yakuyabu

鼻がおかしくなりそうだな、とぼんやり思う。「チョコ嫌いじゃないけどこんだけ食べると苦行じみてくるねえ…」最後の一個しんどい、やめとけばよかった、とげんなり呟く審神者。「大将、手伝ってやろうか?」「は?なにそれちょ、まっ」審神者が逃げる前に腕を掴み、引き寄せる→

2015-02-14 02:13:08
やぶき @yakuyabu

一方は腕、もう一方は腰を掴み、逃さないようにがっちり捕まえてそのまま唇を食むように口付ける。下唇を甘噛みしてやれば、強張っていた身体から力が抜けていく。そのまま中へ舌をゆっくり差し込んでいけば、チョコレートの甘さが広がる口内へたどり着く。先ほど放り込んだばかりのチョコはまだ形を→

2015-02-14 02:18:47
やぶき @yakuyabu

残しており、それを審神者の舌にゆるゆると押し付ける。2つの舌に挟まれたチョコはどろりと溶けて、甘さが舌にまとわりつくが気にせずそのまま舌を吸ってやれば、抱き寄せた身体がびくりと跳ね、吐息が漏れ出る。ぐずぐずに蕩けた瞳が、強請るような甘さで視線を寄越して、くらりと眩暈がするようだ→

2015-02-14 02:24:24
やぶき @yakuyabu

全く無意識にこちらを煽ってくるのだから困ったものだと紫の瞳を細め、腕を掴んでいた手をするりと這わせ二の腕から肩をなぞるようにゆっくり、そこから首筋。耳の裏。指先で擽るように触れれば、また身体が震え、腰を抱く手に重みがかかる。懸命にこちらに応えようと蠢く舌がいじらしく、→

2015-02-14 02:28:05
やぶき @yakuyabu

全く愛おしくて仕方がないな、と笑えてくる。舌先でゆるゆる弄ぶようになぞり、不意に吸い、角度を変え、それは正に貪るようだった。首筋から頬に移動した手で顔を上に向け、そのまま唾液を流し込めば、ん、んぅ、と悩ましい呻き声をあげながらこくり、こくりと懸命に飲み干す→

2015-02-14 02:34:43
やぶき @yakuyabu

褒めてやるように頬を優しく撫で、最後に舌をもう一度吸い、口内から焦らすようにゆっくりと舌を引き抜いてやれば、深く繋がりあった証のように銀糸がつうと舌先から伸びていた。口元をかるく拭ってやるだけでも身体を揺らして反応を返す彼女に、思わず舌舐めずりをする。「大将、」→

2015-02-14 02:37:48
やぶき @yakuyabu

「このまま、食っちまっていいな?」

2015-02-14 02:39:56

刀剣男子とさにわの名前事情↓

やぶき @yakuyabu

刀剣男子という神様に名前を呼ばれるってなんかその世界に縛りつけられる意味になりそう、だから審神者は多分最初に「自分の名前を教えてはならない」と政府に言われてる。一回二回でも呼ばれれば人間の現世からは魂が遠ざかる

2015-02-18 12:25:33
やぶき @yakuyabu

刀剣男子に慕われすぎちゃうと彼らに捕まって永遠の箱庭に閉じ込められるから政府は「踏み込み過ぎない」「あくまでただの審神者と刀である」を念押ししてるんですよね!!わかります!!!でも一緒に暮らしてんだからそれを徹底できなくなるよね!そう!神を扱うなんて一筋縄で行くわけないんだ!!

2015-02-18 13:04:49
やぶき @yakuyabu

神様の手で作られたご飯を食べ、神様から贈り物をされ、神様と触れ合い、徐々に現世から遠ざけられる審神者と全部分かっててやってる刀剣たち

2015-02-18 12:27:44
やぶき @yakuyabu

最近、よく刀剣たちに名前を知られたがる「主の名前はなんていうの?」「そういえば、主だの審神者だのと呼んでいて名前も知らないと思ってな」「なァ大将、俺はあんたの名前も知らないんだ。こんなに一緒に居るのに、それは少し寂しいだろ?」

2015-02-18 12:30:11
やぶき @yakuyabu

刀剣男子に名前を教えてはならない。神が名を知れば、神がその気になればいともたやすく魂を捕まえられる。だからただの「審神者」として、踏み込み過ぎず、踏まれ込みすぎるな。それは審神者の心得としての最初の教えであった。(けど、)こんなに優しい彼らが、本当に私を捉えるの?

2015-02-18 12:34:02