足音の追跡者#3(終)
洞窟に潜った冒険者たちに襲い掛かる、魔法使いの罠!
足音の追跡者#1 http://togetter.com/li/788713
足音の追跡者#2 http://togetter.com/li/792043
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減衰世界
@decay_world
「ああ、ギルー……!」 キリマはギルーの体を強く抱きしめる。チェインメイルが軋んで、硬い音を立てた。ギルーは弱弱しくキリマを抱き返す。彼らは勝利したのだ。この魔法陣……追跡の魔法陣を打ち破り、魔法使いを倒したのだ。 83
2015-03-14 21:11:44
減衰世界
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ギルーの体力が回復するのを待ってから、二人は洞窟を脱出することにした。キリマはギルーに肩を貸し、ゆっくりと洞窟を上る。ジルベルの遺体はまだ洞窟の奥にあるはずだ。だが、回収するには人手が足りなかった。ダンジョンは危険だ。入口付近で戦ったような化け物がいる。 84
2015-03-14 21:45:20
減衰世界
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地下水が天井から垂れる音、ゆっくりと水たまりをかき分ける音、二人の息遣いだけが聞こえる。「もうすぐだよ。もうすぐ入口だよ。ほら、この広間。キノコの死体も落ちている。覚えてるよね。ここを過ぎたら、もう入口だよ」 キリマはギルーを励ます。ギルーは静かに歩いていた。 85
2015-03-14 21:48:36
減衰世界
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ギルーは小さく呟いた。「ありがとう、キリマ」 ギルーの顔は血まみれだったが、彼は……確かに笑っていた。自分の師匠が教えてくれたこと。そして、彼の期待に応えることができたこと。それらを全て彼は手に入れたのだ。「キリマ、君がいなかったら、魔法陣を破れなかった」 86
2015-03-14 21:51:15
減衰世界
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盗賊のキリマもまた笑って返す。「ええ、そしてギルー。あなたのアイディアと戦いのおかげでもあるよね」 二人は洞窟の入口に辿りつく。ランタンの光よりも強い、太陽の明かりが木製の扉の隙間から洩れていた。「さぁ、ゴールだよ。追いかけっこのね」そして……。 87
2015-03-14 21:53:15