チェリーニ「おれは人間を超越するッ! メデューサ、おまえの血でだァーーッ!!」
チェリーニ作の塩入れは、事前に蝋で作ったモデルをイポリト・デステに見せると「ちょww細かすぎwww職人が10人いても死ぬまでに作り終わらんぞコレww」というので、ムキになったチェリたんは2年強でこれを仕上げ、フランソワ一世に献上したとか。 http://bit.ly/ewx7t7
2010-12-15 12:46:55でもいくらチェリーニがすげえ職人でカッコ良くても、やっぱりバンディネッリあたりと「やーいマルヴェヌートー!」「うっせーブアッジョー!」とか言い合ってる感じだったりするとすごく萌えます。主に私が。
2010-12-15 13:35:09チェリーニのペルセウス http://bit.ly/facw4n のお話、more specifically 切られたメデューサの首から噴き出す血についてのお話してもいいかな…?
2010-12-15 14:47:46さて、メデューサの血だけれど… http://bit.ly/gi3M2E http://bit.ly/eFuLfU 血がブバーッて出とる。ブバーッて。
2010-12-15 15:10:21今でこそ「よくもまあブロンズで液体表現しようと思ったなwww」くらいのリアクションが普通(?)だと思うのだけど、チェリーニの生きた16世紀のフィレンツェはなかなか情勢が不安定で、当時のひとの感想は「やだリアル…なにこれこわい…」的な感じだったっぽい。
2010-12-15 15:12:44近くに設置されたミケランジェロのダビデやバンディネッリのヘラクレスと並んで、権力(この場合メディチ)の力を見せつけているのだね。
2010-12-15 15:12:55ただし注文者のコジモ一世のお達しを見ると、「メデューサの首を持ったペルセウス。それだけ!」としか書かれていない。ペルセウスの下に横たわり勢い良く血を噴き出しているメデューサの死体はコジモの思いつきではなく、チェリーニその人のアイディア、つまり inventio なわけだ。
2010-12-15 15:15:00コジモが思いついたデザインでないのなら、「メディチ家の威力見せつけてやるぜHAHAHAHA」的な思惑とはまた別の意味がこの噴き出す血にこめられているのではないのか? まずはメデューサ亡き後なにが起こるのか、オウィディウス先生に訊いてみよー。
2010-12-15 15:17:48オウィディウス『変身物語』によると、ペルセウスがメデューサの首を取ると、噴き出した血のなかから、翼の生えたペガサスとその兄弟たちが次々とうまれでたとある。面白いのが、ペガサスは後々に詩を創造することになってんだよね。
2010-12-15 15:21:39私が「変な位置のあごひげ」とかくだらないことを考えてるうちに、メドゥーサの血からペガサスが生まれたってことが分かって、すごく勉強になる。
2010-12-15 15:27:05Ut pictura poesis のモットーにも明らかなように、ルネサンス期、詩は視覚芸術と密接に関連づけされていて、それはつまりペガサスから芸術がうまれたと考えてもまぁ一応筋が通ることになる。
2010-12-15 15:25:04ペガサスがうまれる原因になったのはメデューサの首切りだし、ということはペルセウスがメデューサの首を取るこの場面は、芸術の誕生を予感させる瞬間を描いているのだね。あまり見られることがないけれど、像の土台には同時代の詩人ベネデット・ヴァルキの詠んだ詩が彫り込まれている。示唆的!
2010-12-15 15:26:42まぁヴァルキさんは同時代のミケランジェロやら周辺の芸術家に「結局絵画と彫刻はどっちのほうが優れてんですかー?!」とかいうアンケート取りまくった男なのでこいつも大概…。
2010-12-15 15:27:55これで今度フィレンツェに行ってシニョリーア広場でペルセウスを見る人は「うわっ生首きもっ」みたいな反応だけじゃなくて、「あれが芸術の起源…!!」というなんとなくディレッタント的な見方ができるNE!
2010-12-15 15:30:27@cari_meli 美しかったメデュウサを醜い怪物に変え、彼女は殺されてしまうけど、その血から生まれたペガサスは詩を生む。邪なるもの(怪物)から聖なるものが生まれる。→今の宗教観(?)からは聖なるものから聖なるものは生まれる。ってなりそう。実際どっちもありうるのにね。
2010-12-15 15:58:06@chiitaroh0eiri3 面白いですよね! 一見対照的に見えますが、気をつけなければならないのは、ルネサンス期にはかなりギリシャ・ローマ神話がキリスト教に取り込まれていた点です。ヘラクレスなんぞもキリスト教の文脈で語られたりしますし…。(続く)
2010-12-15 16:03:55@chiitaroh0eiri3 (続き)もちろんサヴォナローラのような「聖書に書かれたこと意外いっさい許さぬ!」的な極端な例もありますが、神話と宗教がいつもまったく反対側ではなかったみたいなんですよね。甘いのか厳しいのか分かんないですねw
2010-12-15 16:04:06シニョーリア広場のペルセオは修復中に上からのぞいて見たことがあるのが自慢。頭頂部ー。ふふーん。(しかし細部はなーんも記憶にない
2010-12-15 15:36:48