『ストレイ・キャット』

勇気の聖女＠ＲＢアフター @dx_th

無論、目の前の男メイジはここに泊まるのはやめておいた方が良いと諭したが、少女は気にせず泊まって一週間となる。その間に武装強盗やヨタモノ、アーティストの真似をした狂人とも遭遇し襲われたが、気にもならなかった。なぜなら、彼女はアーティスト、それも本物なのだ。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「そもそも、泊まるのを止めたほうが良いのはラーフィス＝サンの方じゃないですか？最近、ニュースになっているじゃないですか。メイジが、その…」口ごもると、男が先に言う。「惨殺されている事件ですか？」「それ！実際アブナイじゃない？」「アブナイですね」そう男は答えた。#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「ですので私は夜は出歩かないようにしています。エリス＝サンも実際夜に出かけるのはやめたほうが良いのでは？」「ダイジョウブダッテ！私、メイジじゃないし！」実際、エリスは夜な夜な出かけている。安普請の建物だ。隣の出入りくらい容易にわかる。「それじゃ、マタネ！」　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「ええ、カラダニキヲツケテネ」コロコロと表情を変える少女に対し、男は殺人マグロめいて無表情である。しかしこんな場所に泊まっている者同士、余計な詮索はしないのだ。エリスにとっても、自分がやっていることは知られたくない。ここ連日、アーティストを殺していることを。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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エリスはアーティストであり、秘密結社パンドラ・セクトに単身イクサを繰り広げている。もし読者の中にアーチアーティスト級のアーティスト考察力があればその理由はわかるだろう。そうでなければつける＝サンがいずれ明かすのを待つしかない！（でも、もう一人じゃない）　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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どこからかエリスの情報が伝わっていたのだろう。数日前、魔法師協会のメイジ達がエリスに協力することを伝えに来たのだ。実際彼らの情報のおかげで先日も見事にアンブッシュを決め、セクトのアーティストを殺せた。彼女のカラテはまだ粗削りで、セクトの上位者には敵わない。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「いずれあのストレイ・キャット＝サンがドウメイヤとジョウヤクシャドーギルドを滅ぼしたように、私もパンドラ・セクトを倒してやるわ！」彼女はアーティスト殺しの狂人の熱狂的ファンである。ＤＩＹめいたメンポもその表れの一つだ。「さて…」エリスはカタナの手入れをする。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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そして日課のカラテトレーニングをし、スシを食べ、仮眠をし、外に出る。メイジ達のアジトに向かい、情報を共有するためだ。「それに私、一人じゃないもん！もう何も怖くない！」あからさまにデスノボリなのだ！調子に乗った奴から負けるのコトワザをエリスは知らないのか！？　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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そして…ああ、ナムアミダブツ。ここでエリスのアーティスト第六感が働いていれば、何らかのインセクツ・オーメンを感じていたかもしれない。しかしエリスは何も感じることなくメイジ達のアジトに向かい、その扉を「……エッ？」扉の下から、おびただしい量の血が流れていた。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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エリスは勢いよく扉を開ける。そこにあったのは、まるで数十本の冷凍マグロをネギトロにしたような惨劇。エリスの優れたアーティスト暗視力は、それが自分に協力してくれていたメイジ達だと分かる。「ウッ…！」エリスは思わず口を押え吐きそうになる。と、同時に気が付いた。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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部屋の中央に、メイジが一人背を向けうずくまっている。「良かった！生きて……」エリスは駆け寄り…止まる。エリスのアーティスト感知力がメイジから尋常ならざるアトモスフィアを感じたからだ。そして…「ようこそ」しわがれた声とともに、メイジは立ち上がり、振り返った。　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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赤黒いメイジ装束にキツネオーメンを付けたメイジは、手を合わせ、こうアイサツをした。「ドーモ、エリス＝サン。メイジスローターです」 【エリス・イン・サツバツランド】１終わり、【エリス・イン・サツバツランド】２に続く。 #ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

ただのつける @kinoakira

@suzumeninja 感想ありがとうございます！ 並行世界視と魔法師に関してはガブリエリさんの覚醒SSに詳しいですと宣伝 tukeru.hatenablog.com/entry/2015/03/… パンドラスレイヤーのネタはラーフィスさんの中の人が書いてくれた #ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ のタグにどうぞ

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【これまでのあらすじ】 秘密結社パンドラへの復讐に燃えるアーティスト、エリス。そんな中、彼女は新たに協力者を得た。しかし、その情報はパンドラも把握しており、ある夜にエリスが協力者のアジトに向かうと、協力者のメイジ達がネギトロめいて散らばっていたのだ！　＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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基礎知識２：ストレイ・キャットの目的は？ アーティスト、殺すべし！ 邪悪なるアーティスト組織への復讐と、銃殺された人々への弔いの念を胸に、ストレイ・キャットは果てしなき戦いを続けるのだ！ 【エリス・イン・サツバツランド】２ #ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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赤黒いメイジ装束にキツネオメーンを付けたメイジは、手を合わせ、こうアイサツをした。「ドーモ、エリス＝サン。メイジスローターです」 エリスは思わず獲物の武骨なカタナブレードツルギを抜き――そうになったが「ドーモ、はじめましてメイジスロータ＝サン。エリスです」＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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すぐさま斬りかかりたい衝動を『抑えられ』、エリスはアイサツを返す。イクサに挑むアーティストにとって、アイサツは決しておろそかにできない礼儀だ。ルールブックにもそう書かれている。「あなた、パンドラの手先？どうしてこの人たちを殺したの？私に協力していたから？」　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「その通りだ、平坦な小娘よ」そう言ったのはメイジスローターではなく、その奥からやってきた新手のアーティスト。白いアーティスト装束に頭頂部が尖った白いフルフェイスメンポ。その太い両腕にはバイオ包帯が巻きつけられている。「パンドラ・セクトを甘く見るグワーッ！？」　＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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メイジスローターが放った輝く何かが、新手のアーティストの頭に直撃、その一撃で吹き飛び、壁に激突する。「め、メイジスローター＝サン。何を…」「アイサツせよ」メイジスローターはただそれだけ言った。「エッ？しかしこんなグワーッ！？」「エリス＝サンに、アイサツせよ」　#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「アッハイ。ドーモ、エリス＝サン。バードラヴァです」「ドーモ、バードラヴァ＝サン、エリスです」フラフラになったバードラヴァはアイサツし、エリスはアイサツを返す。確かにアイサツは大事だが、仲間に攻撃してまで強要するのは実際異常だ。エリスはメイジスローターを睨む。#ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「なぜ殺したか…奴らがメイジだからだ」メイジスローターは言う。「メイジは、全て殺す、まずアカデミーのメイジを殺す、次にパンドラ以外のメイジを殺す。最後にパンドラのメイジも殺す。メイジを、全て殺す」ナ、ナムアミダブツ！何たる狂人の戯言か！？彼は狂っていた。　＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「イヤーッ！」エリスが駆け、カタナブレードツルギ抜き放つ！だが……「ンアーッ！」攻撃を受け倒れたのはエリスである！メイジスローターが瞬時に放った何かが、エリスに直撃したのだ。彼の背後から、白く輝くオーラが見える。何らかのジツがエリスを襲ったのだ。　＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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「イヤーッ！」「ンアーッ！」「イヤーッ！」「ンアーッ！」「イヤーッ！」「ンアーッ！」「イヤーッ！」「ンアーッ！」エリスはなお攻撃を続けるが、しかしすべてメイジスローターが放つ白く輝くジツによって返り討ちにあう。まさにベイビー・サブミッション！＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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（（フフフ…エリス、手も足も出てないじゃない））その時、エリスは己の内なる声を感じる。（（あれは妾も見たことがジツだけど、実際カラテミサイルの一種。あなたのカラテでは、手も足も出ない。早く妾に体を渡しなさい））（（黙ってアリス））アリス、それが彼女の名前だ。　＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ

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（（こんなブザマなイクサを見せられて、黙っているわけにはいかないじゃない。あのアーティストメイジ、カラテシャウトすらしてないのよ））そう、この戦闘でメイジスローターは己のカラテミサイルでの攻撃にシャウトを行っていない。声もなく、ただエリスを圧倒している。　＃ＳＴＲＡＹ・ＣＡＴ