「あの子が学校に来なくなって数ヶ月経った」――異形化ルートの場合
「あの子が学校に来なくなって数ヶ月経った」という文から、妊娠を想像する人も居れば、異形化を想像する人も居る。私?どっちでも美味しくいただけるよ。
2015-04-09 06:12:15あの子が学校に来なくなって数ヶ月経った。先生もなんにも言わないまま、プリントを届ける係も居ないまま、日常は普通に流れていった。でも、僕は納得できなかった。だから、あの子の家を訪れたんだ。
2015-04-09 06:13:47あの子のお母さんは会わないほうが良いって言ったけど、僕はわがままを言って会わせてもらった。あの子は……お風呂に居た。その姿は……巨大なナメクジ。粘液をまき散らして、うねうねと蠢くあの子は……なんだかエッチだった。その晩、僕はその姿を思い出して、精通した。
2015-04-09 06:16:10あの子の家の前に辿り着いた時、何かが変だと感じた。インターホンを鳴らす。一回。二回。三回目を鳴らそうとした時、絞りだすような声がドアの内側から聞こえた。……あの子の声。
2015-04-09 06:20:04わたしね、この体になったら、長くは生きられないの。 お風呂場にあの子を戻した僕は、目の前が真っ暗になった。 僕はずっと君と生きていくつもりだったのに。 どうして、君はいつでも、先に行ってしまうんだ?
2015-04-09 06:21:57最後のわがまま、聞いてくれる? ……私と、セックス、して欲しいな。 僕は、複を脱ぎ捨てると。 裸のまんまで、浴槽に身を投げ出した。 そして、僕らは抱き合った。 キスをして、お互いの身体をすりあわせて。 それから、それから。 ……それからの記憶がない。
2015-04-09 06:24:50……私は巨大な水槽の中で目が覚めた。 また、夢を見ていたのか。 私が、人の身体を捨てるきっかけになった夢。 あの子の、最後の記憶。
2015-04-09 06:26:26あれから研究が進んで、この体になっても、管理された環境では数十年は生きられるようになった。 あの子とお揃いの身体、だけどあの子はもう居ない。 あるいは。 私はあの子とひとつになったのかも知れない。 私の意識に、あの子の身体。 そうして一緒に生きる定めを背負ったのかも知れない。
2015-04-09 06:28:56膨らんだ私の腹。 ぎゅ、と押す。 ぷっ、という音がして、卵がひとつ、転がり出る。 そうか、もうそんな時期か。 「手伝おうか、お母さん」 あの子の顔をしたなめくじたちが言う。 「お願いね」 身を投げ出すと、お腹をマッサージする者、生殖孔を弄る者に分かれる。 いつもの風景。
2015-04-09 06:32:46私は卵を生み続け、そこからあの子の顔をしたナメクジが生まれる。 ある程度増えた我が子は、別の水槽に移される。 そうして、私は増え続ける。 いつまでも、いつまでも。
2015-04-09 06:33:40