宮廷歌手小森輝彦さんのツイートまとめ第8回「日本初演W.リーム「厳粛な歌」

日本人初ドイツ宮廷歌手、小森輝彦さんのツイートまとめです。
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小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

昨日、今日はパルテノン多摩で、読売日本交響楽団のオケ合わせ。W.リームの「厳粛な歌」の日本初演の準備でした。オペラ「リア」でお世話になった読響の皆さんに、また現代音楽でお世話になります。 pic.twitter.com/nrnJpqEbWh

2015-04-09 07:02:08
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小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

しかし、ひどい天気でしたね。驚きました。エイプリルフールかと思うくらい。1週間遅かったですけれど。多摩地方も雪が降ってました。 ベルリンでは10分おきに雪と快晴が入れ替わるのが典型的なAprilwetter(四月の天気)だったのを思い出しました。

2015-04-09 07:04:56
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

さて、今週末の読売日本交響楽団のコンサートでタクトをとるシルヴァン・カンブルラン氏。僕は初めてご一緒しますが、現代音楽に非常に造詣が深いお方と伺っていましたが、本当に素晴らしい。この日本初演のリームの曲は何度も演奏されたそうですが、ピアノ稽古の時から的確な指示をして下さっていた。

2015-04-09 07:06:32
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

「Ernster Gsang(厳粛な歌)」というタイトルですが、ゲオルク・ビュヒナーの、追悼の辞に引用された日記の記述や晩年の言葉からテキストを取っています。「ビュヒナーなんですよ」とカンブルラン氏は何度も言っていた。バイオリン無しの低音楽器中心のアンサンブルですが、

2015-04-09 07:10:15
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

その低音楽器中心のブラームスサウンドを引き出すのはビュヒナーだと。「あなたもヤコプ・レンツを歌ったのならよくご存じだと思うけれど、これはビュヒナーだから」と。 フランス人のカンブルラン氏のドイツ語テキストへの深い理解。頭が下がる。外国人としてドイツ文学に挑む姿勢。我々は学ぶべきだ

2015-04-09 07:13:19
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

実際カンブルラン氏は非常に流暢なドイツ語を話される。昨日のリハーサルは、英語、ドイツ語、フランス語が飛び交うリハーサルだった。僕はドイツ語を話すアーティストとはやはりドイツ語になるし、読響の皆さんがお答えになるのもドイツ語も多かったみたい。彼は今シュトゥットガルトのGMDですね。

2015-04-09 07:15:22
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

この「厳粛な歌」は今はなきサヴァリッシュ氏がリーム氏に委嘱したと言う事を最近知った。我らが日本R.シュトラウス協会の名誉会長、サヴァリッシュ先生。サヴァリッシュ氏が関わった作品の日本初演をさせて頂く。それだけでも気が引き締まる。 本当に素晴らしい作品です。

2015-04-09 07:17:44
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

オーケストラ独奏の部分に挟まれて「Lied(歌)」の部分がある。「我々は痛みというものを多く持っていない。むしろ少なすぎる・・・」とビュヒナーは言う。日本人には感情移入しやすい言葉という気がします。 僕は16年前にレンツを歌った時、そうだった。ビュヒナーとリームの相性だろうか。

2015-04-09 07:20:16
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

僕にはリームがただならぬシンパシーをビュヒナーに感じているように思える。だからレンツにはすっかり感情移入してしまい、レンツが非寛容を示したゲーテに対して感情移入出来なくなってしまった。それからゲーテに回帰するまで、何年もかかっちゃったのです。

2015-04-09 07:22:12
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

なんと!読売日本交響楽団の演奏会GPで、後半プロのブルックナーがスピーカーから聞こえる中、自分の出番を待ちながらミヒャエル・エンデの「闇の考古学」を読んでいたら「ブルックナーは父にとって最大の音楽だった」という記述に出会った。 pic.twitter.com/QMWRi6wbZU

2015-04-10 16:16:54
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小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

昨日の「闇の考古学」の中のブルックナーについての記述。読み進めていると更なる記述があった。ブルックナーの音楽は無限の山登りに似ていると。その、山を登り続けるという運動性に意味がある(決定的)なのだと。これを読んだあとに後半プロのブルックナーを客席で聞けたのは幸せだった。

2015-04-11 08:48:39
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

カンブルラン氏のブルックナーは明晰で若々しく溌剌とした運動性だった。前にブルックナーの7番を聞いたのはいつのことだったか思い出せないのだが、聴いたことがなくても聴いたことがある様な気持ちになる音楽と思った。ミヒャエル・エンデさんは運動性と呼んだ部分、僕は「筋肉の音楽だ」と思った。

2015-04-11 08:51:50
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

筋肉の音楽というと、言葉から別の印象が生まれますね。やはり運動性の方が良いのだろうか。注意して聴くと沢山のメロディーにあふれているし、旋律性が低いとは言えないと思うのだが、ポリフォニーの渦に飲まれてしまって、大河のイメージに一つ一つの旋律が、良い意味で埋没してしまう。

2015-04-11 08:54:31
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

でもやっぱり動き続けている音楽だと思う。そこが凄いのだと思う。エンデさんの「無限の山登り」という表現は的確すぎてほくそ笑んでしまう。ベートーベンなら3分で高みに達するが、ブルックナーでは30分登り「続け」無くてはいけない。高みに達することと同じくらい「登り続ける」事に意義がある。

2015-04-11 08:57:23
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

そこが前半に歌わせていただいたリームとは決定的に違うのですね。リームの音楽は美しく、「痛み」をテーマにしていたのに(から?)耽美的ですらあった。客席に流れ込む音楽という要素と同じくらい、舞台に観客の意識を引き込む要素を持つ音楽だったと思う。だから僕も「引く」事が必要だった。

2015-04-11 08:59:46
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

後半を聞くため急いで着替えて行った客席で、何人もの方から「美しい音楽だ」という感想をいただけて、これは本当に嬉しかった。日本初演ですから、敬愛するリームさんの音楽をきちんと紹介する義務がある。僕がこの「厳粛な歌」からもらった印象を客席に届けられたのは幸せなことでした。

2015-04-11 09:01:14
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

またブルックナーに戻ると、これは「引く」どころか、客席まで怒濤の大河にしてしまう、或いは1000人規模の山登りをさせてしまう音楽と言うことで、圧倒的だった。カンブルランさんも何度も何度もカーテンコールに呼び出されてブラボーの嵐に応えていらした。素晴らしい演奏だった。

2015-04-11 09:03:17
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

コンサート作品で読売日本交響楽団の皆さんとご一緒させていただくのは久しぶりで、前回はロジェストヴェンスキーさんとのタネーエフの作品。ソロと言うよりはアンサンブルだったし、今回の方がずっと僕は音楽家としてオケの皆さんとやりとりをさせてもらえた気がします。それがとても楽しかった。

2015-04-11 09:05:18
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

ヴァイオリン抜きの弦楽、イングリッシュホルン、クラリネット4本、ファゴット2本とコントラファゴット、ホルン4本、トロンボーン3本、バステューバ、ハープ。この編成だけでももう表現になってますよね。そしてバリトン。 カンブルランさんはメゾともやったが、バリトンの方が良いと。賛成。

2015-04-11 09:08:44
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

こんな美しい曲を、こんなに素晴らしい皆さんとご一緒出来て、本番がもう一回で終わるなんて、なんて勿体ない。しかし、だからこそ価値があるのだと思うのですが。一期一会ですからね、演奏は。カンブルランさん、読売日本交響楽団の皆さん、明日の本番もどうぞよろしくお願いいたします。

2015-04-11 09:10:06
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

またブルックナー。ブルックナーにかかると、オーケストラという楽器がなんだか違うものになったように聞こえることがある。ポリフォニーにのまれる旋律ってのと関係があるかも知れないが、あんなに沢山の人間と楽器が関わっているのに、それが一つの楽器のような、生命体のように聴こえ、見えて来る。

2015-04-11 09:11:42
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

ルドルフ・シュタイナーは「ブルックナーのような人が弾くとピアノが(その部屋から)消えて無くなる」というような表現をどこかでしていたと思う。それは、この事を言っていたのだろうか、と昨日少し思い当たったのです。音楽すら、自己目的的でなくなって、何かの手段になってしまう様な。運動性とか

2015-04-11 09:13:18
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

舞台で透明になりたい、というのは僕がいつも心に抱いている目標なのですが、もしかしたら、このシュタイナーとブルックナーの話でなくなるピアノも、似たような方向性があるのではないだろうか。 もうちょっと考えて見ます。

2015-04-11 09:14:29
小森輝彦 Teruhiko Komori @TeruhikoKomori

読売日本交響楽団の演奏会。今日の会場はオペラシティのコンサートホール、タケミツ メモリアル。 来てから思い当たったが、このホールすごく久しぶりでした。まだ留学中の1998年に歌って以来だと思うので、17年ぶりという事になります。 pic.twitter.com/XgiC71oWty

2015-04-12 11:48:50
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