【鶴と元主】 その手は幼かった。顔もあどけない。泥だらけになった手と指で俺を抱き締め、愛おしそうに頬ずりをする。「お前が必要なんだ」少年は言う。「権威が必要なんだ。そのためのお前なんだ。分かってくれるだろう?」少年は縋るように言う。俺はその頭を撫でて苦笑い。仕方ない。君を助けよう
2015-07-23 23:33:02▼7月21日投稿分 まんばさに♀
【まんばさに♀】 舌先をつるりとした感触が滑る。心地よい涼感と程よい甘み。美味いと呟くと、審神者はひどく嬉しそうに笑った。「よかった。初めて作ったから自信がなかったの」と彼女は言うが、少なくとも自分が食べてきた中では一番美味かった。だから言う。「今まで食べた中で一番美味かった」
2015-07-21 13:15:48▼7月20日投稿分 みかさに♂
【みかさに♂】 「暑い」今日何度目だろう。ぴったりと背中にくっついた男に審神者は声をあげる。言われてる方は気にする様子がない。主が悪いとばかりに、審神者の肩に頭を埋めて、笑いを堪えている。審神者は前に回された男の腕に手を掛けて、それを止める。暑いけど、伝わる熱は心地よかった。
2015-07-23 23:26:31▼7月19日投稿分 くりみつ?
【くりみつ?】 あるべきところに醤油がないことに気づいて、広光は伸ばした手を引っ込めた。光忠は遠征に出ている。帰りは遅くなるから今夜の夕飯は別の人間が作っていた。いつも通りの夕飯、いつも通りの食卓、でもあるべきところに醤油がない。広光は引っ込めた手で頭を掻く。少し恥ずかしかった。
2015-07-21 13:22:23▼7月18日投稿分 長谷部とたぬき
【ALL】 突然水飛沫が上がって、広間にいた者は皆一斉に池を見た。大きく波立つ水面はそこに落ちたものがそれなりに大きかったことを示す。長谷部は鞘を払う。「誰だ」長谷部の怒号と共に大きく水面が揺らぐ。滝のような音を立てて黒い影が立ち上がる。「やっぱ水浴び最高だぜ!」同田貫だった。
2015-07-18 18:33:22▼7月16日投稿分 つる→みか
【つる→みか】 薄い微笑を浮かべて、今日も三日月はその場を去った。とうにこちらの思いに気づいてるだろうに、決して受け入れることはない。試している?いいや、違う。思い人が他にいることは分かっている。「まあ、いい。時間はある」唇を舐めて鶴丸は不敵に笑う。ああ、毎日が楽しくて仕方ない。
2015-07-17 23:12:30▼7月16日投稿分 江雪と宗三
江雪は写真を見ていた。その一枚一枚には、小夜の姿が写っている。懸命に馬の体躯を洗う姿、土を耕している姿、食事をしている姿もある。「小夜は可愛いですね」と、隣で同じく小夜の写真を見ていた宗三が目を細める。それを見て、江雪は宗三の頭に自身の手を乗せた。「貴方も、私の大切な弟ですよ」
2015-07-16 16:01:21▼7月15日投稿分 今剣と岩融
今剣は瞳を輝かせた。広間には大量の菓子。短刀達がその山に埋もれて、その菓子を食べている。今剣もそれに続く。目の前の菓子を拾い、口に含むと、口の中に優しい甘さが広がる。「岩融」と、今剣が持っていた菓子を差し出すと、岩融は照れ臭そうに受け取る。それを見て、今剣は笑った――夢を見た。
2015-07-16 15:54:20▼7月14日投稿分 みつくり