まじょばな 〜羽場夜 冴といんとろだくしょん〜(実況付き)

以前行っていた魔法少女もののリレー小説……のスピンオフです。 こちらは実況付きとなります。原文のみはこちら→ http://togetter.com/li/821577
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

☆これより投下するテキストは、ニンジャとあまり関係がなく、実際あんぜん。ニンジャじゃないなんて……と思う方は #4215tk をミュートすればさらにあんぜん。これは実況とかにも使えますので、お気軽にお願いします☆

2015-05-14 21:45:15
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

早朝。空気を震わすような咆哮に、羽場夜 冴は落ち着き払って顔を上げた。彼女は読んでいた魔術書に栞を挟み、落ち着き払った様子で窓から外を見やる。そして眉をひそめた。校庭に影のような何かが出現している。四本足の獣の形。爛々と光る眼の他は特徴が見当たらない。1 #4215tk

2015-05-14 21:48:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『それ』は一体だけではない。地面から浮き上がるようにして、同趣と思しきものが次々に姿を現している。冴は僅かに眉根を寄せた。この朝早くから魔獣の群れとは。出現を視認できたのが幸いだ。早急に対処する必要がある。彼女は窓を開き、剣呑な影の群れに手を差し伸べた。2 #4215tk

2015-05-14 21:51:18
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

次の瞬間、影は閃光の中に掻き消えた。3 #4215tk

2015-05-14 21:54:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

次いで周囲に響き渡る爆音。そして辺りを薙ぎ払うかのような爆風。その風に煽られ、冴のファー付きフードが跳ね除けられる。美しい銀髪と、ピンとたった狼の耳が露出する。彼女は顔をしかめフードを被り直した。今のは自分の魔法ではない。しかし、よく見知ったものだ。4 #4215tk

2015-05-14 21:57:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

彼女の直感を裏付けるかのように、一人の少女が校庭に降り立った。魔獣と比べると随分と小柄で、ちっぽけで、頼りないように見える。しかし冴はそれを制止しない。学士風のコートを纏った出で立ちは単なる制服ではない。あれは彼女なりの戦闘衣装だ。魔法少女としての。5 #4215tk

2015-05-14 22:00:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

冴は静かにその魔法少女を見下ろした。瀬野 彩。魔法少女としての名はインパティエンス。彼女は小脇に抱えた大きなバインダーを勢いよく開いた。そこから魔法陣の描かれた紙が宙に飛び出す。何枚も、何十枚も。冴はそれがインパティエンスの手製だと知っている。無論、その効果も。6 #4215tk

2015-05-14 22:03:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「GRRRR!」もうもうと立ち込めていた砂埃の中から、三体の魔獣が飛び出す!いずれも牙を剥き少女に食らいつかんばかり。しかしインパティエンスは迷惑そうに眉間にしわを寄せただけだ。彼女は片手に持った小さな杖で魔獣たちを指した。宙に舞っていた紙から光球が飛び出す。7 #4215tk

2015-05-14 22:06:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

光球は魔獣に着弾すると同時に爆発!襲撃した愚かな獲物を塵と変える!「GRR!」「GRRR!」しかし魔獣は未だ健在。土煙の晴れた後に、十数体近くが姿を現わす!インパティエンスの眉間のしわが深くなった。彼女は苛立ちと嫌悪感を露わにする。そして勢いよく杖を振り上げた。8 #4215tk

2015-05-14 22:09:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……魔法を連発し始めたインパティエンスを、冴は無言で見やる。対集団戦において、彼女の次に出る者は同年代の中にはいないだろう。高速発動の可能な大威力の爆破魔法。そして『群れ』に対する異常な憎悪。その二つが合わされば、小規模な魔獣の群れなど焼却待ちのゴミに等しい。9 #4215tk

2015-05-14 22:12:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

しかし、と彼女は視線を上げる。殲滅に躍起になるあまり、それ以外に注意がいかないのは困りものだ。例えば……土煙に紛れて空に逃げ、目をぎらつかせ襲いかかろうとしている猛禽型の魔獣などに。フォローが必要だ。冴は急降下を始めた影の猛禽へ腕を差し伸べた。10 #4215tk

2015-05-14 22:15:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

見た目には何も変わらない。ただ魔獣が一瞬だけ震え……宙に静止した。そして重力の手に捕らえられ、地面向け自然落下。インパティエンスの背後に落ちたその魔獣は、ガラス細工のように粉々に砕け散った。全弾を撃ち終え陸の魔獣を殲滅した少女が驚いて振り向く。11 #4215tk

2015-05-14 22:18:19
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

腕を下ろした冴は、そのまま窓から身を躍らせた。綺麗な放物線を描いて飛んだ彼女は、呆然と自分を見上げる弟子の魔法少女の前に音もなく降り立つ。「ご苦労様」簡潔な労いの言葉。インパティエンスが慌てて頭を下げた。同時にその全身を光が覆い、パジャマ姿の彩へと変わる。12 #4215tk

2015-05-14 22:21:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

冴はじっと少女を見つめる。「……インパティエンス。貴女の迅速な対応により、魔獣の被害を食い止めることができた。これは称賛に値する」「あ……ありがとうございます!」彩はまた勢いよく頭を下げる。「しかし」が、次の冴の言葉に凍りついたように動きを止めた。13 #4215tk

2015-05-14 22:24:10
たいむしふたーまくず @znntmk

魔法少女の…師弟!センセイは性格キツい感じが… #ふむ #4215tk

2015-05-14 22:26:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「相変わらず視野が狭い。今回も危うく魔獣の不意打ちを受けるところだった」「う」「助けはいつも入るとは限らない。貴女の癖はよくわかっているつもりではあるけれど、戦場で一つの事に集中しすぎると死を招くことになる」「す、すいません……」彩がしょんぼりと項垂れた。14 #4215tk

2015-05-14 22:27:19
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「それともう一つ」「え?」意外そうな声を上げた彩の顔を、冴は顎に手をやり上向かせた。そして覗き込む。突然の事に、彩は声を出せないようだった。冴は気にせずに彼女の顔を見る。正確にはその眼の下に浮かぶひどい隈を。「……体調管理はしっかりなさい」15 #4215tk

2015-05-14 22:30:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

緊張で身を強張らせる彩を間近で見据えたまま、冴は続ける。「そもそもこの時間に起きているのがおかしい。夜更かし?……違うか。貴女のことだから嫌な夢のせいでよく寝付けなかっただけね」「……ご、ご名答です。さすがせんせー」彩がか細い声で言う。冴は溜息をついた。16 #4215tk

2015-05-14 22:33:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……そもそもその格好。風邪をひいてしまうでしょう?この時間帯は、少なくとも人間にとっては肌寒いはず」「え、ええと」冴は再度溜息をつき、彩を抱え上げた。小柄で痩せているために、とても軽い。「せ、せんせー!?」慌てふためく少女を、冴が気にすることはない。17 #4215tk

2015-05-14 22:36:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「とりあえず研究棟に戻る。それまで寝てなさい」「え」「寝てなさい」「あの、ちょっと無理かと」「寝なさい」有無を言わせぬ命令に、彩が仕方なさそうに目を瞑った。それを確認し、冴は研究棟へと足を向ける。一先ずは彼女をベッドに放り込まねばなるまい。18 #4215tk

2015-05-14 22:39:05
たいむしふたーまくず @znntmk

セコハコさんが居ないのが悔やまれる #4215tk

2015-05-14 22:40:42
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そうしたら魔獣の討伐を代理で報告。次に神野 千寿にかけあって安眠の薬を手配しよう。それが終わったら?ようやく読書を再開できる。彩の頭を優しく撫でながら、冴は今後の予定を立てていく。魔法少女たちを指導する立場にある彼女にとって、今日は貴重な休日なのだ。19 #4215tk

2015-05-14 22:42:41