丸裸だ。安普請のアパートの一室。ここは間違いなく俺の部屋だ。念願叶って、こいつは俺の腕の中にいる。夢じゃない。手に入れるために随分と苦労した。やっとの思いで手に入れたこいつを抱き締める度に、温かさが俺の肌に伝わってきた。
2010-12-25 00:18:59「汁まで滴らしやがって、美味そうじゃねーか」 俺は、むっちりとした肉をつかみ、蒸れた熱を放つ患部をいきなり割って開いた。湯気が立ち、臭気がむんっと上がる。どことなく懐かしい母の匂いに似ている。俺は鼻を寄せると、くんと大きく息を吸い込んだ。
2010-12-25 00:20:13「いい匂いさせやがって。まったく、たまんねーな」 ごくりと唾を飲み込むと、俺は、無造作に投げ出されたふとももに手を伸ばした。元は白かっただろう肌が、健康的な小麦色に焼けている。目の前でうずくまるこいつは、いきなり裸に剥かれて寒かったのか、鳥肌が立っていた。
2010-12-25 00:21:03そいつは、無抵抗に俺にされるがままだった。上質の環境で、丁寧に育てられたお嬢様ってところか? 魅惑的な足のラインを見つめるだけで、俺はまた生唾をごくりと飲み込んだ。長く待ったかいがあった。こいつは本当に極上もんだ。
2010-12-25 00:23:49誘われるままに、ふとももに口を寄せると、熟れた弾力に唇が押し戻された。これでもかと舌を伸ばし、俺は、ぺろりとふとももの付け根を舐めとった。こぼれ落ちた美味しいお汁がいやらしく俺の指を濡らした。
2010-12-25 00:26:15「なんてジューシーなんだ。香ばしい香りまでさせやがって」 もっとむさぼり食いたい。ふとももをたったひと舐めしただけで、俺の熱は限界を超えた。ふともものきわどいラインに寄せた俺の鼻腔に獣の匂いが立ちこめる。
2010-12-25 00:27:35「メリークリスマス!」 同時に高らかな声が上がった。さすが、俺の嫁だ。タイミングよく目の前のDSが鳴った。リッチにケンタにしてよかった。仲良く店頭に並ぶカップルにも負けず、俺は頑張った。
2010-12-25 00:30:22油のしたたる手を拭うと、そっとタッチパネルを操作しメッセージを返信した。 「メリークリスマス!」 楽しく俺流クリスマス万歳! 軽快なメロディが俺を後押しする。 「こんな曲流れたかな? イベント画面か?」
2010-12-25 00:31:08音はどこからだ? ふと、床に転がった携帯電話に目がいった。『ももちゃん』まじか!? 画面に踊る着信を知らせる文字に俺は飛びついた。 「もしもし!?」 「あー、ケンちゃん? メリクリ〜。メールありがとう。今夜暇なの?」
2010-12-25 00:32:18「あ、うん。ももちゃんは? あ、あのさ。俺、ケンタに並んでチキン買ったんだ。予約してなかったから、一時間も並んでさ。そんで、金払った後も三十分後に取りに来てくださいだって。せっかく並んだもんだから、意地になって買ってきちゃったよ」
2010-12-25 00:33:01「あたし、チキン食べたいな。ケンちゃんが頑張って並んで買ったやつ」 「えっ!? まじで。いいよ! おいでよ。えっと電車ですぐ? え? うん。迎えに行くよ。大丈夫だって」
2010-12-25 00:34:20俺は、急いで上衣を羽織ると家を飛び出した。電話を切る前のももちゃんの明るい声がまだ耳に響いている。 『ありがとう。凄く嬉しかったの。ストレートな言葉って胸にズキューンってくるね。なかなかハッキリ言える人っていないよ。あたし、驚いた』
2010-12-25 00:35:01俺は携帯電話のメール画面を開いて、送信ボックスを確認した。 『ももちゃん、だいちゅきだーっ!』 「ぷっ。酔っぱらった俺最強。シンプル過ぎるだろ。あはは」
2010-12-25 00:35:42駅に着き、改札でももちゃんの乗る電車を待った。あと数分で、ももちゃんは俺の元にやってくる。ぎゅっとぎゅっとたくさん抱き締めて、温かさを感じたい。 「ももちゃんが来たら、ちゃんと言葉で伝えよう」
2010-12-25 00:36:18電車が到着し、人の波が溢れた。 「メーリークリスマス。ももちゃん、大好きです」 小声でつぶやき何度も練習した。 「世界で一番大好きです」
2010-12-25 00:37:00