ある「空条」の話

貝殻 @KJ_N00

思考するお前でいい。それがベストだ。ならばわたしはわたしの話をしよう。特異点という言葉の意味をお前たちに教えよう。

貝殻 @KJ_N00

わたしがどこから来たものなのか、わたしは何をするものなのか、わたしはどこへ行くものなのか。この三つの話をしよう。

貝殻 @KJ_N00

わたしはどこから来たものなのか。これはTeNMeiが生存するのが正しい世界であるというのを大前提とした話になる。花京院が生きていくのが定められた世界ならそいつは死ぬことは無い筈だ。そしてもし、死んでしまったらどうなるのだろう。エラーを起こした私はあろうことにも時間軸を分岐させた。

貝殻 @KJ_N00

高架線の様に上下に分岐した世界で、わたしは花京院を失ったまま世界を続けるために、死んだ花京院の右目をわたしの身体に無理やり移植した。また、その時同時に生まれたのが今のTeNMeIたちがいる時間軸となる。もう二度と、並行した時間は交わらないと思っていた。

貝殻 @KJ_N00

わたしはなにをするものなのか。わたしは、花京院を救うためのもの。過ちを正すもの。本当はずっと知っていた、歪んでいく苦悩の形を。こうなってしまうことも。だから、わたしは、わたしたちと今、この時間で手を取ってあいつの苦悩を終わらせる。これがわたしがなにをするものなのかの話。

貝殻 @KJ_N00

最後に、わたしがどこへ行くものなのか。それはわたしにもわからない。今この時間に干渉し、「わたし」が花京院を救ってしまえば、いままで花京院を欠いたまま過ごしていた時間軸は消え去ってしまうかもしれない。そうしたときにわたしという存在がどう変異し、また、放りだされるのかも。

貝殻 @KJ_N00

たったひとつ、この身がここで朽ち果てようが、世界に一人取り残されようが、あいつを救わないなんて選択肢はない。これだけがわたしのすべてだ。今は。

貝殻 @KJ_N00

だって仕方ないじゃないか。こんなにも幸福で満ち足りた日々を手に入れてしまって、涙を零す夜があって、もう二度と取り戻せない日々があって、それすら味わってしまったら。愛しい友人のために全身全霊を送ることに何のためらいもない。

貝殻 @KJ_N00

おれは、大丈夫だぜ。だから、あとはテメーだけだ。花京院。