【シンタローの災難シリーズ】

如月シンタロー @cola_07

@tos 達人でも無いが今の今まで静かだと思っていた殺風景な周りが異様な雰囲気に包まれたのを肌で感じ、咄嗟に辺りへ視線を配った、この感覚は言わずもがな普段自分が好んでプレイしているFPSのゲーム開始時と酷似しており、まさか本当にゲームの世界に―――有り得ない想像が頭の中で真実味を

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@tos 帯びる、と同時にFPSプレイヤーであれば真っ先に懸念するのが「戦闘」で、幸いにも持ち前の記憶力である程度銃器の扱いに関する知識はあるものの実際に使った事など皆無に等しい、もしも、もしも此処が本当にゲームの世界ならば動き―――つまり「動作性」に関しては然程考慮する必要は

如月シンタロー @cola_07

@tos 無い様にも思えるが、確信は無い、周りに人らしき姿も見えない今、近い内嫌でも訪れる戦闘(ぶっつけ本番)で確かめるしか無いのだろう、訳も解らない侭其れだけを瞬時に理解し、やるしか無いのかと半ば自棄糞乍も手にあるライフルを構えようとした―――其の時)

如月シンタロー @cola_07

@tos ―――――――、

如月シンタロー @cola_07

@tos (自分以外の生物がまるで見当たらなかった風景に突如として出現した無数の円盤型飛行物体、為す術どころか驚く間も無く四方八方を囲まれた事を察したが、そんな八方塞がり状態になったのもほんの数秒だった、と言うのは、出現した其れらが発しているであろう幾重もの機械音を切り裂く様に、

如月シンタロー @cola_07

@tos また同じく無数の銃撃音が鳴り響いて瞬く間に視界に映る円盤型飛行物体を破壊したからである、丁度太陽の方向から撃ち込まれたであろう軌跡を辿る様に其方を見上げると、日差しと重なって宙を舞うシルエットを捉える事が出来た、其の影は空中で此方の頭上を縦断すると、破壊した後の僅かな

如月シンタロー @cola_07

@tos 煙が漂う中、軽やかに地面へと着地する、ブラック装甲の二丁拳銃、此方と同じく其の姿は高校時代、嫌と言う程見て来た格好だった、女子と称するに難い目付きの悪さで銃口の硝煙を吹き消す彼女はしたり顔で此方を見ている、ヘッドフォンから先程の声がした)

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@tos 『―――Player “ENE”、One hundred foes were destroyed！』

如月シンタロー @cola_07

@tos 『Welcome to “WORLD CRISIS”！』 『Do you play？』 　New Game ▶︎Load 『OK.』 『Now Loading…』 『Now Loading…』 『……………―――Good luck！』

如月シンタロー @cola_07

@tos (―――「WORLD CRISIS」。少し前からその名前を目にするようになったのは、やっぱりな…と言うより他ない。コアなFPSプレイヤーばかりが集まる「この」ゲームは、あの万年おねむな女がいかにも好きそうな雰囲気と世界観設定だ。最初こそ何の飾り気もないシンプルな岩場

如月シンタロー @cola_07

@tos だったものの、ミッションをクリアした途端広大でおどろおどろしい墓場へと変貌した。ヘッドフォンから流れて来る英語のナレーション、要約すると俺達プレイヤーは謎の生命体の集団による襲撃を受けている地球を救うヒーローらしい。侵略者達が使用する特殊な武器で大地は枯れ、人は死に、

如月シンタロー @cola_07

@tos そして死んだ後に「ゾンビ」となって蘇りプレイヤー達を襲うようになる。とまあ、ステージに沿ってストーリーが進行していくわけだが冗談じゃない。総ステージ数「5」しかないにも関わらず最初のステージでああも時間が掛かったのはミッションその1―――「10000万体の敵を撃破せよ」

如月シンタロー @cola_07

@tos とかいう上級プレイヤーにとっては一見ハードルの低いその内容の実際の難易度の高さに他ならない。俺は当然ノーダメージでクリアしたわけだが余裕とまでいかなかった。エンカウント然り、攻撃パターン然り、狙撃ポジションの確保然り、この俺のテクニックを以てしてもここまで読み辛いのは

如月シンタロー @cola_07

@tos 初めてかもしれない。そして第二ステージは墓場ときた。ストーリー的にもここからがメインだろう、当然ステージが進めばミッション難易度も跳ね上がるはずだ。早くこのステージを終わらせたい。終わらせなければ。 ―――俺はゾンビとかグールとかそういう類が、一切駄目なんだから。

如月シンタロー @cola_07

@tos そしてもう一つ、俺の隣で二丁拳銃携えながらよほど女とは思えないあくどい笑みを浮かべて爛々と目を光らせているこのおねむ女へ、俺は無事このゲームをクリアしたらきっちり文句を言いたい。こんな悍ましいステージがあるゲームの中へ「連れてきやがって」、絶対許さねぇ……！)

如月シンタロー @cola_07

@tos (青空から一変して夜さえも塗り潰す様な暗黒の空の下、構えたライフルの銃口の先に無数の墓場が立ち塞がる、そしてヘッドフォンから聞こえる『Mission.２：Exterminate zombies！―――Game start！』軽快なゲームスタートの合図と共に、柔らかそうな

如月シンタロー @cola_07

@tos 土が一斉に盛り上がり始めた、夜闇に紛れた土気色の肌、腐り落ちた四肢の肉、動く度に自身の身体が崩れても意にも介さず呻き乍此方へ向かって来る様は最早狂気にさえ見える)―――ヒ、ヒィィィィィィ……ッ！な、何だあいつら化け物かよ……！！！

如月シンタロー @cola_07

@tos (情けなくも見れば分かるだろとツッコみたくなる様な恐怖一色のコメントを零しつつ、隣から注がれる無様な小動物でも見るかの様な視線へ一喝する余裕も無い侭只、早くこの場をやり過ごしたい一心で引き金を引き続ける―――)

如月シンタロー @cola_07

@tos 『Welcome to “WORLD CRISIS”！』 『Do you play？』 　New Game ▶︎Load 『OK.』 『Now Loading…』 『Now Loading…』 『……………―――Good luck！』

如月シンタロー @cola_07

@tos (撃っても撃っても死なない敵、湿り気を帯びた黒い土から際限無く掘り出て来るかつて人間だった「ゾンビ」達は生者の匂いを感じ取ってひっきりなしに襲い掛かる)―――ッッアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

如月シンタロー @cola_07

@tos (ゾンビ達の呻き声や、枯れ木を踏み締め土から蘇る独特の音、其れ等一切をはね除ける様に叫び続ける喉がいい加減別の意味で悲鳴を上げ始めているが、迫り来る彼等に対し込み上げる底無しの恐怖が無言を貫く事を良しとしてくれない、逃げ回る足や銃を扱う手がスムーズに動いている事が

如月シンタロー @cola_07

@tos 不思議な位、リアリティーがあり、パターンが読み辛く、攻撃を回避出来なかった時の痛みや衝撃も本物の様に―――そう、とにかく怖い)くくく来るなぁぁぁぁアアァアァァアアアアアアアアアアひぃぃぃぃ……！！！！！

如月シンタロー @cola_07

@tos (何処までも柔らかな、まるで雨上がりの土を踏んで鬱蒼と覆い繁る森の中へと逃げ込んで行く、途中で何度も足が縺れそうになるが、縺れたらたちまち追い掛けて来るゾンビ達の餌食となる未来は容易く想像出来た為に奇跡の運動神経を現在まで絶賛公開中である、と言っても敵を前にし悲鳴を

如月シンタロー @cola_07

@tos 上げ乍逃げる様子は実に無様以外の何者でも無く、其れを見ているのは此方とは真逆、勇猛果敢にゾンビの頭をぶち抜いている万年眠たがりな少女だけで、二丁拳銃を手足の如く扱い乍至極余裕綽々とばかり口許に笑みを浮かべて森の中を蹂躙している)

如月シンタロー @cola_07

@tos 「―――ぷっ、あはははは！！あんたがDBやってない理由ってまさかこういう敵キャラが苦手だからじゃないでしょーねぇ？バーチャル相手に怯えちゃって、なっさけないにも程があんでしょ『ご・主・人』♡録音出来ないのがホント残念だー…ッとぉ！！」