タイトル未定のリレー小説 第一章まで

ゐつき @itukikashima

@tccakk 俺、舞台に戻ったらプロポーズするんだ…

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 樹はそう言うと、ロケットに入った恋人の写真を僕に見せてくれた。 「俺には不釣り合いか……？でもな、相手の方が俺に惚れてくれたんだぜ。信じられないよな。……俺、こんな幸せでいいのかなぁ」 と照れ臭そうに微笑んだ樹が忘れられない。 なのに…なのに…ッ‼︎

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima あの時のロケットは何故かまだ俺が持っている。 本当なら樹の恋人に渡すのが筋なんだろう。 だが俺にはこの血に染まったロケットを、最期に樹が何かのメッセージを込めたであろうロケットを、他人に渡すことがどうしても出来なかった。 探偵としての性(サガ)って奴か

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@itukikashima そのロケットを巡ってあんなことが起きるだなんて、その時の俺には知る由もなかった。 〜 探偵 無心大志の手帳 より抜粋〜

ゐつき @itukikashima

@tccakk プロローグ完。〜第一章〜「所長起きてます?!」慌ただしく落ち着きない声と足音に、朝の優雅な珈琲ブレイクを邪魔される。全くこいつは毎度毎度…。辟易していると、新聞を握りしめた青年が息を切らせてリビングに顔を出した。助手(自称)の高柳 保だ。

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@itukikashima 「寝てる」 コーヒーブレイクブレイカーに一言だけ告げ、私は小岩井コーヒーの続きを楽しむ。やはり朝は小岩井コーヒーに限る。 「そんなぁ〜！折角買って来たんですよ。はい、これ！」 そう言うと保は握りしめていた新聞の中から取り出した焼き芋を差し出して来た。

ゐつき @itukikashima

@TCCAKK 「お前…焼き芋ってさぁ…」コーヒーに香りをかき消す焼けた芋の匂いにげんなりしながら、一口かじる。「あ、うまい」「でしょう?!ここの焼き芋は世界一美味いんですよ!!」ドヤ顔で胸を反らす自称助手に溜息を投げる。何基準の世界一だよ？と言うツッコミは、コイツには効かない。

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@itukikashima 待てよ……世界一だって⁉︎ 「保！この芋を売ってたのはどんな奴だった⁉︎」 「え？あー…そういえば、なんか怪しい人でした。髭面で、ハート型のサングラスで…」 間違いない、情報屋の滝だ。 新しい情報を手に入れると「世界一」と言って商品を売り出すのが手口だ

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@itukikashima 芋がこれだけ熱いってことは、まだ近くにいるはず。 「行くぞ、保！」 「へ？どこへ？」 立ち上がりつつカップに残った珈琲を飲みほし『無心探偵事務所』の札が貼ってあるドアを開ける。 と、髭面でハート形のサングラス、アフロヘアーの怪しい男が立っていた。滝だ

ゐつき @itukikashima

@TCCAKK ファンキーなレゲエのような出で立ちの滝「ハーイ大志サーン！オゲンキー？」奴はそれだけ言うとズカウズカと勝手に入り込んできた。「あれ？焼き芋屋？所長知り合いですか？」保は珍しいものでも見るような顔で滝を見ている。いやかなり珍しい出で立ちではあるが…

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「なんだ、最近は変態ハードボイルド志向を止めたのか？」俺が滝と最初に合った時は、全裸にコートで街角に立っていた。「時代はファンクだよ旦那」滝がニヤリと笑った。「スゲー！焼き芋屋日本語上手いな！」コイツはダメだ。放っておこう。「で、急に何の用だ？」

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 滝はハート型のサングラスを外しつつ「先代の手がかり、かもな」と告げてきた。サングラスを外したはずの滝の顔には別のサングラスが着いている。どうやら二重にサングラスをかけていて様子だ。 そんなことはどうでもいい！ 「先代の無心大志の手がかりなのか⁉︎」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「先代の手掛かり…?!」思わず椅子から腰が浮く。「まぁそう慌てなさんな」滝がニヤリとしながらもうひとつのサングラスを外した。その下には古めかしいロイド眼鏡。「焼き芋屋は眼鏡沢山かけないといけないのかー！あ、火の粉が飛ぶから？」…お前は黙れ。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「ところで、先代ってなんですか？」 黙れと思っても黙らない。それが保。 「ウップス、口が滑りましたー。グーテンモルゲン」 滝、貴様は何国人だ。そもそも使い方間違ってやしないか。 「まぁいい、聞かせろ。先代の……54代無心大志の手がかりを」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「オゥ！55代目！アナタノ目はふしホールですか〜？ラフィンノーズ！すでに目の前ですよ〜！」とりあえず一々ムカつくが置いておく。目の前…だと？「どう言う…」「あ、このサングラスかけると景色が変わるー！」すでに話に飽きた保がサングラスで遊び始めた。一度殴るか…

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「保」 「なんです所長？」 「ちょっと殴らせろ」 まるでジャイアンのような言葉を発し、保の手からハート形サングラスを奪い取る。さぁ殴るか、と手を振り上げた瞬間 「サスガ55代目！そのサングラスDeath！」 イラっとしたので滝の眉間へと拳の軌道修正。

ゐつき @itukikashima

@tccakk しかし振り上げた拳は虚しく空を切った。滝は既に遥か後方に飛びすさっていたのだ。「55代目と保のどつきあい漫才に付き合ってられるほど、暇じゃないんDeath！焼き芋が焦げマース！」「待て！まだ何も説明を…!!」「焼き芋がワタシを待ってるアルヨー！」

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 相変わらず滝の逃げ足は早い。捨て台詞の最後の方はドップラー効果で音が低くなっている。 「所長、このサングラス、裏に文字が ……Nasa Diyos ang awa, nasa tao ang gawa.。『神の恵みあるところ、人の行いあり』ですか。」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「へぇーそうなんだ。…ってお前読めるのか?!」「はぁ。フィリピンのタガログ語ですね」「何で?!」「親父が転勤族だったんで、小さい頃から世界中行ってましたから」「まさかの帰国子女?!」「ん、まぁそうっスね。10ケ国語ぐらいは」…ただの馬鹿だと思ってたのに…何か悔しい

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「しっかし先代さんも変なもの残しますよねー。ハートサングラスと、ロケットと、手帳と、あと鼻フックでしたっけ。故人の事を変に言うのはアレですけど、変な人だったんですね」 「保。お前は2つ間違えている。一つは、先代はまだ生きている……はずだ。もう一つは、

ゐつき @itukikashima

@tccakk 変な人じゃなくてオカシイんだよあの人は！良い意味でも悪い意味でも！」先代にシゴかれた悪夢の日々が脳裏に蘇り、変な汗が流れて来る。「何かあったんスか？」「あったどころの騒ぎじゃない。ほぼ毎日死にかけたわ！」思い出したら止まらない。「滝に突き落とされ、熊と戦わされ、

ゐつき @itukikashima

@tccakk 八甲田山雪中行軍させられ、青木ヶ原樹海サバイバルもさせられ…」「やっぱ探偵の修行って苛酷なんスn…」「ちっがぁーうっ！ただの趣味だ趣味！先代のただの悪趣味！気分だ！」「うわぁ…ジャイアンw」「ジャイアンの思い付きで日々殺されかける身にもなってみろ！」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「うわぁ。マジドSw」悪夢に激昂して保を見ると、既に話に興味を無くしてまたサングラスをかけて遊んでいた。よし、こいつにはお仕置きが必要だ。絶対必要だ。おもむろに鼻フックを保の鼻に引っかけ、全力で引っ張りあげる。「いたたたた！ちょ、しょちょ！馬鹿！痛っ！」