【腐】奏馬と音羽がルームシェア拗らせて事実婚してる話

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

ルームシェア拗らせて事実婚してる奏音ください

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大学進学を機に俺たちはルームシェアをする事にした。俺は地元の短大に進学するつもりだったが、彼が東京へ行くというので東京にある短大に変更した。慣れない土地での新しい生活に不安を感じていたけれど、ここすっかり隣に居ることに慣れてしまった赤色の存在が妙に心強かったのを覚えている

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彼の親の援助でとても良い物件を沢山紹介してもらった。だけど俺は彼に負担をかけたくなくて、自分の力でやっていけそうな古いアパートを希望した。一緒に物件を見に行った時、彼はぽかんとしていたから少し悪いなと思った。

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それでも物件契約時、彼は文句も言わずじっと契約書を眺めていた。これからきっと今までより不便な思いをするだろうに、俺の意見を尊重してくれた。もともと長く一緒に居るつもりじゃないのかもしれない。けど、嬉しかった。契約書と新居の鍵を抱えた帰り道、俺は彼の手を握って離さなかった。

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俺の荷物なんてそんなに多くない。お気に入りの本と勉強道具、必要最低限の衣類と親戚から譲ってもらった家具家電。でも彼の荷物はもっと少なかった。お互い一番初めに自分のトランペットケースを荷台に積んだのを見て少し笑ってしまった。これから先、何処かで吹くときが来るのかもわからないのに。

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親元を離れて知らない土地で暮らす最初の夜、一人じゃなくて本当に良かったと思った。右も左もわからず、見慣れもしない天井で、全てが変わって、全てが初めての土地で。不安と疲労で目が冴えた俺のすぐ横で目を閉じるたった一人の存在が、こんなにも心強いと思わなかった。

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多分、俺よりもずっとずっと怖かったんじゃないかなと思う。飄々としているけれど、彼が案外寂しがり屋なのは高校時代にわかったことの一つだ。強がりだから弱音は言わなかったけれど。眠っていないだろうけれど静かに握ってくれている手の感覚に、何故かはわからないけど、彼を護らなければと思った。

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それからしばらく慣れない生活を送っていた。大学入学まではもう少し時間があったから、2人で色々出かけて回った。はじめは観光気分だったけど、次第にここで暮らすんだという実感が湧いてきた。そのころ、とうとう彼が根を上げた。所謂ホームシックというやつか。居間で膝を抱えて、俯いていた。

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本当に泣いていたかはわからない。でも、帰りたいと、あの場所に戻りたいと、心が泣いていたのはわかった。俺も無性に泣きたくなった。暫くの間2人で並んで座っていた。なんて声をかけていいかわからない自分がとても情けなく感じた。彼を護らないと、彼を助けないと、思うたび心が苦しかった

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ふと視線を上げた先に俺たちの宝物が見えた。俺たちの宝物は何一つ変わらず、主を待っている様に思えた。この近くの河原の場所も、人のいない屋上もわからなかったから、俺は彼の手を引いて、俺たちの宝物を抱えて、近くのカラオケボックスに向かった。

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個室に案内されるや否や、機械音を下げて、あの日と同じように、あの懐かしい日々と同じように宝物を取り出して軽くフィンガリングの練習をする。唖然としながらついてきた彼も、俺の行動を見て察したのか、自分の宝物を取り出してバズィングを始める。何も変わらない。俺たちの日常。

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何の曲を合わせようとか何も考えていなかったから、ただスケールとハーモニーをひたすら一緒に吹いていたと思う。ハーモニーが会うたびに、懐かしいみんなの音も聴こえる気がした。俺たちは何も変わっていないよ、何も怖がることはないよ。 いつの間にか、彼は泣いていた。

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今思えば彼が泣きながら弱音を吐いたのはあの時くらいだったと思う。大声で泣き喚く事は無かったけど、静かに大粒の雫を落としながら手元の金色を眺めていた。暫くして、彼はぱっと顔をあげると喉が渇いたとドリンクメニューを開いた。俺もメニューに目を落とす。もう彼は何時もの表情に戻っていた

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運ばれてきたアイスティーの氷をかき混ぜながら、彼は本当は親元離れるのが嫌だったこと、実はあの家のトイレの鍵のかけ方がわかっていないこと、大学の授業についていけるか不安な事、ぽつぽつ話してくれた。俺も、迷子になりそうで怖いこと、やっていけるか不安な事、思っていることを話した

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2人で暮らし始めて、お互いになんとなく言わないように努めてきた不安なことを言い合ったら、びっくりするほど心が軽くなった。彼も同じようで、表情が随分明るくなったように思った。不安な事も楽しい事も、俺たちは何も変わらないよ。いつも一緒に居たじゃないか。これからもきっと、変わらないよ。

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それから近所のスーパーに寄って適当に食材を買って帰って、一緒に夕飯を作った。彼は猫舌なのに早く食べようとするからよく口の中を怪我する。代わりばんこに風呂に入って、布団に潜りながら今日のセッションの反省点について語った。相変わらず手厳しい。音が硬いだのいろいろダメ出しを受けた。

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ズバズバと辛辣な言い方で改善点を述べるあたり何一つ変わってないなと思いながら、久々に天才トランペット奏者様のレクチャーを受けた。明日は役所に行かないといけないからそろそろ眠ろうよ。そう思って、彼の肩まで布団をかけて、軽く抱き締めるように腕を回す。そうするだけでずいぶん大人しくなる

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

ぽかぽかする彼の体温を心地良く感じながらうとうと微睡み始めた時、彼は本日のレクチャーのまとめを言い放った。 俺はお前の音色が昔と変わらなくて安心した。お前が一緒でよかった。これからもその音色を大事にしてほしい。ありがとう俊平。

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

ここまで。 んでこの後何で名前で呼んだの！？って聞いても、気分だとしか答えない音羽にエーーッ！？！？ってなる。朝起きておはよう音羽って言ったらめっちゃ睨まれて、あ、これはそういう流れかと悟りつつもなかなか呼び捨て出来ず、お昼くらいまで拗ねてる音羽にとうとう妥協して、悟偉サン…って

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

それから俊平、悟偉さんが癖になってしまって、同窓会とかで集まった時に「しゅ、そ、奏馬」ってなったり「さと…ぉとわ」ってなる。最終的に奏馬氏が「悟偉さん」って口滑らす

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

もうそうなればやけくそだよね。同期がいようが後輩がいようが関係なく俊平、悟偉さんって。 だってー川和だってー金井淵を涼って呼んでっしょ〜みたいなノリで。 いやそうだけど、なんか違う、なんか違うだろって突っ込みを受けつつ、バカップルは爆走する

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

はーリア充滅べ

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

ｴｯﾁしてる奏音でもしてない奏音でも二人仲良くしてればまったく問題ないんだけど(？)してない奏音の場合、社会保障やらなんやら二人の関係をいちいち説明するのが面倒になった音羽がしきりに結婚したいって言い始める。奏馬はえ～？っていいつつ内心ドキドキしてる。

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

「そんなこと言って、未来のお嫁さんになんて説明するんだよ」 「第一そんな人もいないし、面倒だし、お前でいいよ」

覚醒とも姉さん @tomoaneeesummer

お前「で」いいよってなんだよ！！妥協かよ！！！って珍しくご機嫌急降下奏馬氏。 でもしばらくして「そうだよな・・・素敵な女性が現れたらそれが一番だろうし、男同士なら妥協に落ち着くよな・・はは・・」って自棄になる