N-Ryo セフレ

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あ阿々。 @rainbow_solara

1 「ちょ待って!今から行くからそこ動かんといて!」 『え、ちょっと待って…?』 大きな声で叫んで、一方的に切られた電話。 30分後、インターホンにうつる亮の姿。 扉を開けると息を切らせて飛び込んで来た。 「どういうことなん!?」 汗かいて必死な顔で、一言目にそれ?

2015-06-12 00:06:42
あ阿々。 @rainbow_solara

2 どういうことって…っていうか、仕事は? どうやって来たの? 疑問を口にする間もなく、腕を引かれて胸の中に閉じ込められる。 ぎゅうぎゅう力いっぱい抱き締めて、肩口に顔を埋めて来る亮。 ちょ、痛いし苦しいし、靴履きっぱなし。 「他の男と飯って、何なん?」 『何なん…って…』

2015-06-12 00:06:55
あ阿々。 @rainbow_solara

3 言葉通り、だけど。 「そんな服着て?二人っきりで?俺おんのに?」 え、ちょっと…? 何言ってるの? 戸惑う私を見て眉毛を下げて泣きそうな亮。 確かに…亮と寝たことあるよ。 最初はお酒の勢いで…気付いたら隣で寝てた。 それから何回か、成り行きというか…何ていうか。

2015-06-12 00:07:04
あ阿々。 @rainbow_solara

4 でも、それだけでしょ? 何もないでしょ? 「…何でなん?」 『何でって…』 子犬みたいな顔で覗き込まれて、何も言えなくて口を噤む。 何か、私間違ってる…? 「お前、俺の彼女ちゃうん?」 『…え?』 「ぇぇ…?」 二人で顔を見合わせてポカンとして。 「嘘ん…」

2015-06-12 00:07:17
あ阿々。 @rainbow_solara

5 呆然と呟く亮と立ち尽くす私。 『何、それ…?』 いつからそんな話に? 「…一番最初、お前と…、時に、言うたやん…」 『…何、て?』 「…好き、やったって…ずっと…」 顔をくしゃくしゃ擦りながらチラッとこっちを見る。

2015-06-12 00:07:29
あ阿々。 @rainbow_solara

6 「お前も好きって言うてくれて…俺、ホンマに嬉しかったんに…嘘やん…」 『…ぇ、ぁ?』 「何かおかしいとは思っててん…。でも照れてるだけかなって…」 『…』 「覚えてへんの?」 …全然。 覚えてるのは、布団の中で眠る亮の寝顔だけ。 後はどうしたって思い出せなかった。

2015-06-12 00:08:25
あ阿々。 @rainbow_solara

7 亮のことが好きだっていうのは、本当。 あの日、隣に寝てる亮を見て死ぬほど吃驚して、嬉しくて…でも悲しくて。 あー、やっちゃったー…って。 だって、亮だもん。 今、彼女がいないっていうのは知ってたから、だから…私も適当に持ち帰れる相手だって思われてたんだなーって…。

2015-06-12 00:08:41
あ阿々。 @rainbow_solara

8 まあ、実際にそうだったわけだけど。 こんな関係になっちゃった以上、今更好きだなんて言えなくて。 でも何も気にした風もなくご飯や買い物に誘ってくる亮を拒むことも出来なくて。 誘われたら勿論嬉しいし、好きな人には触りたい。 でもやっぱり虚しい。

2015-06-12 00:09:00
あ阿々。 @rainbow_solara

9 仕事早く終わりそうやから飯行かん?って、亮からの誘いを断った。 先約があるからって、まっとうな理由で。 そしたら電話かかって来て、誰と?男?みたいな。 何でそんな気にするんだろうって思いながら答えてたら、今のこの状況。 「あーもーマジかー…」

2015-06-12 00:09:13
あ阿々。 @rainbow_solara

10 がっくり力が抜けたようにしゃがみ込んで、首を傾げて見上げて来る。 「うーん…!」 頭をガシガシ掻いて、よっしゃ!って勢いよく立ち上がるから、思わず後ずさった。 肩を掴まれて顔をじっと見られて…ちょっと、やだ…恥ずかしい…。 「こっち、見て?」 『…』

2015-06-12 00:09:22
あ阿々。 @rainbow_solara

11 「もっかい言うで?…好き、です。俺の彼女になって…ください」 照れ屋な亮が真剣な顔で目を反らさずに言うから、見惚れて何も言えなかった。 「…アカン?」 今度は、唇噛み締めてコテンッて首を傾げておっきい目をうるうるさせて不安げな顔。

2015-06-12 00:09:37
あ阿々。 @rainbow_solara

12 そのギャップが可笑しくて、思わず吹き出してしまった。 「っ、何やねん!?」 今度は怒ったように地団太を踏んで。 『ごめん。…こっちこそ…亮の彼女にしてください』 ギュって手を握って言ったら、今度はへにゃって力の抜けた笑顔。

2015-06-12 00:09:47
あ阿々。 @rainbow_solara

13 「ホンマに…?嘘ちゃう?」 『嘘じゃない…ほんと』 よかった…って、チュッてキスして抱き締めて頭をグリグリ擦りつけてくる。 犬がマーキングしてるみたい。 くすぐったいってば。 「もー…今まで俺のことなんやと思ってたん?」 「…セフレ?」

2015-06-12 00:15:08
あ阿々。 @rainbow_solara

14 私のって言うか、亮の。 だってさ、ほら…亮だし。 でもそれでもいいやって思ってた自分と、やっぱり嫌だって泣いてた自分との間で揺れてた。 「嘘ん…」 その台詞呟くのも何度目だろう。 ごめんね。 嬉しくて、背中をギュって握り締めた。 …!?

2015-06-12 00:15:23
あ阿々。 @rainbow_solara

15 『亮、仕事は?』 「あ!ヤバ!!」 バタバタと焦る亮。 あーもう靴履きっぱなしだってば。 扉に手をかけて振り向く。 「今日!飯!行かんといてな!断ってな!」 『はいはい』 「お前俺の彼女やからな!俺、お前の彼氏やからな!」 『…うん』

2015-06-12 00:15:35
あ阿々。 @rainbow_solara

16 「連絡するから!終わったら来るから!」 『…はい』 「もう忘れんとってな!」 腕を引っ張られてバランスを崩した私の頭を掴んで、キス。 「絶対やで!」 叫んで、走って出て行った。 嵐が去って、部屋に一人。 とりあえず今日の予定を断って、ソファに座って一息ついた。

2015-06-12 00:15:52
あ阿々。 @rainbow_solara

17 彼女…亮が、彼氏…。 じわじわ嬉しさと恥ずかしさと何かよくわからないものが込み上げて来て、その場にうずくまる。 終わったら来るって言ってたよね? あの…するんだよね? あーどうしよう! 今更どんな顔して亮のこと見たらいいの? 出来るの? 何が? 何を?

2015-06-12 00:16:16
あ阿々。 @rainbow_solara

18 何考えてるの私!? ぐるぐる、亮の裸が頭の中を駆け巡る。 一番最初こそ覚えてないけど、後は全部しっかり…。 亮の唇も手も体温も…、も、全部。 恥ずかしくてどうしようもなくて、クッション抱えてソファの上でゴロゴロ悶えてたらいつの間にか寝てたみたい。

2015-06-12 00:16:39
あ阿々。 @rainbow_solara

19 インターホンの音で目が覚めた。 震える手でドアを開ける。 「…ただいま」 今まで見たことないくらい真っ赤になった亮の姿。 そうだね。 亮も同じだね。 きっと負けないくらい、私も。 『…おかえり、なさい』 へにゃって、亮が笑った。 …大好き♡

2015-06-12 00:17:14