とある誰かの記録～艦娘の出自・世界情勢～

Sayum@1日目 東 Ｍ16b @Sayum110

環太平洋造山帯を軸とした海溝の底から現れた深海棲艦たちは瞬く間に太平洋をその支配下に収めてしまった。

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太平洋での出現を皮切りに、大西洋、インド洋と各地の海に姿を現した彼女達は、不可解な力により人類の保有する数多の兵器を無効化、核兵器ですら自然を汚すだけであった。

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万事休するところまで追い詰められた人類であったが、わずかな希望を見つける。海辺のとある町に深海棲艦が現れたとき、ある少女に憑依した霊的な何かが、彼女らを追い払ったのだ。

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誰かと聞かれたその何かは、かつて製造された艦艇の名を名乗る。後に、そうなった者のことを人類は「艦娘」と呼び、深海棲艦との戦いに投入していくのであった。

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時は西暦20xx年、場所は地球、人類の存続を脅かす存在は突如現れた。環太平洋造山帯に連なる海溝の底から現れた「深海棲艦」と呼ばれる軍勢は、人類が持つ数多の兵器を無効化し、核兵器ですら自然を破壊するだけの物にした。

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なぜか高位になる程ヒトの女性に近い体形になる彼女達は、その兵器を無効化する不可解な力によって瞬く間に太平洋をその支配下に収める。また、太平洋での出現を皮切りに、大西洋、インド洋と各地の海に姿を現し、地球全土で猛威を振るい始める。これに人類は打つ手をなくしていた。

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万事休する所まで追い詰められた人類であったが、一筋の希望を掴む。とある国、海沿いの町に深海棲艦が現れた。しかし、その時ある少女に憑依した「何か」は不可解な力を発揮し、彼女らを追い払ったのだ。

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誰とも分らず名を聞くと、その「何か」はかつて建造され、戦に使われた艦艇の名を口にする。発する言葉はいずれもその船に乗りでもしなければ知る由もないことばかり、このようなことが世界各地で発生し、人類はこの状態となった者を「艦娘」と呼び深海棲艦への対抗打とすると決める。

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当初は年端も行かぬ少女を最前線に立たせるのは人道に反するとする意見が多く、実戦への参加は遅れたが、敵揚陸艦から上陸してきた存在は極めて濃度の高い瘴気を拡散し、生物の生存を許さない状態となることがわかると一転、目の前の脅威に対抗するべくやむなく了承されるのであった。

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ここにおいて、艦娘の実戦投入が開始されるのであったが不思議な点が浮かび上がる。十代の少女にのみ発現するのもさることながら、最新鋭の兵器はまともに扱えないが、その艦艇が存在した頃の、所属軍隊の兵器(を模したもの)であれば訓練次第で使用できる点は特筆すべき点だ。

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また、仮説の域を出ないが、彼女達が発現する条件として、母体となる少女が当該艦艇の乗組員の血筋である可能性が示唆されている。特に、乗艦年数が長く、船のことをよく知っている者の血筋であればあるほど強くその力を発揮できる傾向にあるのではないかと考えられ、調査が進んでいる。

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能力の発現度合は様々で、その力を全て引き出せる少女はほんの一握り、一隻につき数万の候補者のうち、一人いればいい方で、場合によっては全く見当たらないこともある。また、世界各地の呪術を駆使し人工的に降臨を行おうとも彼女たちは降り立たないのも特異な点に挙げられる。

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これらを全てクリアし、実戦に配備された彼女達は赫赫たる戦果をあげ始める。深海棲艦の支配下となっていた太平洋は、ユーラシア大陸東岸伝いに東南アジア諸諸島までの近隣海域の多くを奪還、一応の安全を確保するに至る。

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太平洋東岸、南北アメリカ大陸側はいまだ激戦が続き、深海棲艦出現までは最強の座に君臨していた米国が現代海洋兵器の多くを失い、今度は深海棲艦の物量の前に苦戦するという状況に陥っている。また、ハワイ島以東はいまだ彼女らの完全な支配下であるため増援を送れずにいる。

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太平洋西側海域は現在、艦娘発現数が米国に比肩する割合の日本国が周辺各国の支援を受けつつ深海棲艦との戦闘を行っている。彼女たちときめ細やかな連携を取るべく各地には専用の港湾が設けられ、有事の際はいち早く駆けつけることができる体制となっている。

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その植民地支配を行っていた欧州列強は、大西洋、地中海方面にも深海棲艦が出現したことで自国の防衛に専念せざるをえなくなったことからアフリカ大陸の重要地、インド洋の大陸沿岸を除きほぼ放棄されている。

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欧州方面では主に英国海軍が奮闘中である。仏、独、伊軍も加わり持ちこたえてはいるが太平洋側に大規模な増援は送れずにいる。定期的に独軍によってアジア方面へ期限付きの増援が送られては来ているが、そう多くはない。

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最後に深海棲艦についてだが、彼女らもまた謎が多い。不可解な力、女性型等様々あるが、その正体こそが謎に包まれている。一説によれば彼女たちは深海の底で暮らす、もう一つの人類が生み出した戦闘兵器で、地上を追われた彼らが奪い返すために使役してるのではないかとの見方がある。

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少なくとも言えるのは、彼女らは怨霊の一種が何かに憑依したものではないだろうか、ということだ。艦娘の外見と類似する点も見受けられるため、その可能性は十分にある。だとすれば、人類は自ら生み出した者に滅ぼされようとしているのかもしれない。

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私は終りの見えない戦いに絶望しつつも、今一度平和を目指せる時が来るように、すべての謎が明かされるように祈っている。　 (筆者不明、対深海棲艦戦中期ごろの記述とみられる)