【フィクション】ついったーでありそうな怖い話【フィクション?】

友人が書いたツイッタープチ小説まとめ。ちょっとしたホラー。
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@vegetablehero

フォローされましたメールが来たのでURLからプロフィールに飛んだら大学で最近付き合い始めた彼女だった。よく見つけたなと感心しながらもフォローし返した。その日一日あった事は夜にメールや電話で、リアルタイムな事はツイッターで報告し合うようになった。

2011-01-06 12:48:00
@vegetablehero

付き合ってすぐの所謂ラブラブ期ってやつだから出来るんだろう。講義中にツイッターを覗くと、『ご飯一緒に食べよっ』とのリプライが。前の席の彼女を見るとちょうど向こうもこちらを振り返って、こっそり笑い合った。

2011-01-06 12:52:33
@vegetablehero

講義後、『どこでご飯食べたい?』と聞くと、大きな目を一瞬さらに大きく見開いて、パッと笑顔になった。『じゃー学食!』こんな事で嬉しそうにはしゃぐ彼女が可愛かった。『嬉しーなー』『何が?』『○○君からご飯誘ってくれて。初めてじゃない?』

2011-01-06 12:55:34
@vegetablehero

『一緒に行きたいって言うからだろー』『えー言ったっけ?』何とぼけてんだ?『それよりさー何にしようかなーご飯』何の食券を買うか悩んでいるらしい。カレーとハンバーグで悩む彼女が可愛いくて、我ながらバカだなと思いつつもツイッターを開いた。

2011-01-06 12:59:59
@vegetablehero

『××がカレーとハンバーグで迷ってて可愛い。俺はお前を食いたい!!w』後でどんなリプライが来るか楽しみだ。『○○君カレーね、私ハンバーグにしたから』『えー買っちゃったの?』『半分こね~』『全くー』食券を押しつけられた時に後ろにいた人にぶつかってしまった。

2011-01-06 13:03:09
@vegetablehero

真っ赤なスライド式携帯が脇腹に当たってちょっと痛かった。『あぁっごめんなさい!!』『いえ…』『○○くーん!』彼女はもうカウンターに移動している。全く…。背後から舌打ちが聞こえて、俺はもう一度謝罪してから小走りに彼女の元へ逃げた。

2011-01-06 13:05:55
@vegetablehero

家に帰ってから30分程電話して、パソコンでツイッターを開いた。正直、彼女はぶりっこ声で間延びした喋り方をするのであまり長く話していたいとは思えない。メールもデコメがちゃがちゃで読み辛い。しかしツイッター上では絵文字もなく落ち着いた文面で、凄く関わりやすい。

2011-01-06 13:10:04
@vegetablehero

先ほどのツイートにリプライがあった。彼女からだ。『食べて。笑』たったそれだけのリプライで思わずにやけてしまう。一番上に別のリプライがあった。『明日の夜会いたい』さっきの電話ではそんなこと言ってなかったけど。『いいよ!じゃあ十時に学校近くの駅でね』

2011-01-06 13:13:22
@vegetablehero

翌日、空き時間が重なったので彼女と喫茶店で時間を潰してた。『今夜どこ行こうか』『今夜?ごめんあたしバイトが…』『え?会いたいって言ったくせにー』『今夜に?言ってないよー』『ツイッターでさぁ』『…私ツイッターやってないんですけど』

2011-01-06 13:16:32
@vegetablehero

浮気を疑われた。キレかける彼女を抑えて、彼女のプロフィール画面を見せる。名前、自己紹介、一致する。講義内容についての呟きもすべて彼女がとってるもの。しかし『私登録してないよ!!こんなの知らないよ!!』彼女には嘘を吐く理由なんてない。じゃあいったいこれは誰なんだ。

2011-01-06 13:23:43
@vegetablehero

今夜十時に俺は誰と会うんだろう。彼女は気分が悪くなったと言って、先に店を出てしまった。TLを見る。彼女と思っていた誰かのツイートがあった。『キャラメルラテ美味しかったね』気持ち悪い。口の奥の甘い匂いを吐き出したくなった。全部。全部。

2011-01-06 13:27:15
@vegetablehero

すっかり日が落ちた通り。駅前には学生やサラリーマンがちらほら。約束の十時より10分早く着いた。券売機の側の明るい場所にいるのに、不安と恐怖で気分が暗い。帰りたい。だけど、いったい誰が何の為に彼女になりすましていたのか。それを突き止めなくてはならない。

2011-01-06 13:30:33
@vegetablehero

ツイッターを開く。リプライがあった。『着いたよー。○○君はまだ着かないか。券売機の所にいるね。』ぞわっと、全身の毛が逆立った。この近くにいるのか。しかし見回しても俺以外券売機の側にはいない。そして約束の十時を過ぎても誰も近づいてくる人はいなかった。

2011-01-06 13:34:00
@vegetablehero

少し肩の力が抜けた。もう帰ろう。パスモにチャージしようと券売機の方を振り返った。そこに、忘れ物だろうか。携帯が置いてある。見覚えのある携帯だ。赤いスライド式。どこで見たんだっけ。その携帯の黒い大きな画面がパッと光出し、着信の画面が映し出された。持ち主からか?

2011-01-06 13:37:26
@vegetablehero

取るべきか悩んでいるうちに着信は切れてしまった。待ち受け画面に着信アリの文字。その待ち受けに目を疑った。俺だ。大学内だろうか、誰かと話して笑っている俺の横顔。遠くからズームにして撮ったようで、少しブレてて画質が悪い。しかし確かに俺の横顔だった。

2011-01-06 13:39:42
@vegetablehero

情けないけど腰が抜けた。いたんだ。確かに、券売機の所にいたんだ。座り込む俺を心配して通りすがりの人が駅員さんを呼んでくれた。ちょっと貧血で、と嘘をついて立たせて貰った。車いすを使うかと言われたが、それは遠慮した。とにかくパスモをと思い券売機を向くと、赤い携帯がなくなっていた。

2011-01-06 13:44:06
@vegetablehero

ツイッターはやめた。少ししてから彼女とも別れた。同じ講義が多いから少し気まずいけど、お互い離れた席に座ることで変な空気を出さないようにしている。

2011-01-06 13:46:30
@vegetablehero

あの時は無性に怖かったけど、時が過ぎてしまえば恐怖も薄れる。今度の飲み会でネタに出来るんじゃないかと思えるくらいには気を持ち直していた。『今口頭で説明した所は試験に出しますので皆さん覚えておくように』『えっ』しまった、考え事をしていたら聞きそびれた!

2011-01-06 13:49:07
@vegetablehero

隣に座っている人は、話したことないけど…。『ねぇ、今の所なんて話だった?』大人しそうな女の子だった。『あ…ノートとってあるから、後で見せてあげる』落ち着いた喋り方だ。前の彼女とのギャップが凄い。それに綺麗な顔をしている『ありがと、じゃあメアド教えて。後で図書室で会おうよ』

2011-01-06 13:52:36
@vegetablehero

『いいよ』にっこり笑った。こんな子がいたなんて知らなかったな…。講義中だけど、一番後ろだからバレないだろう。お互いこっそり携帯を取り出して、赤外線ポートを向けた。『○○君…よろしくね』真っ赤なスライド式携帯を覗きながら、その子は低く囁いた。終

2011-01-06 13:55:13